JAの脱原発路線
全農が脱原発路線を宣言した。JA全国大会 において“脱原発を”決議採択した。いままで、自民党と同じ路線を進んで来た、JAがついに、独自路線を進む画期的方針転換である。TPP反対もそうなのだが、政府の方針に従う訳にはいかないのが、農業分野に成っている。脱原発を決めることで、農業を再生できる可能性が出てきたという気持ちに成る。農業は原発事故による放射能汚染でもっとも打撃を受けた産業の一つである。にもかかわらず、今までのところ東電に対する賠償請求などで、及び腰を感じていた。原子力発電と、1次産業は相容れないものである。一次産業は自然を尊重し、自然に従う産業である。無理やり自然のあり方を改変するような、原子力エネルギーは相容れない性格を持つ。放射性廃棄物の処理も現状では出来ない。どこかへ永久保存しなければならない。引き受けた地域は必ず、汚染の不安から来る、風評被害を受けることに成る。
放射性廃棄物の地下300メートルの埋設処理は、技術的には解決している。と言うような論表を読んだが、全くのその科学的根拠は示されていない。地中奥深くその人は300メートルと言われていた、完璧な施設を作りに埋めてしまえば放射性廃棄物処理は、科学的には問題が無いと言われていた。私もその通りだと思う。しかし、何万年の間科学的に問題が起きないと保証できるほど、しっかりした施設など、コスト的に無理だと思う。原子力の生み出す電力は、安いと言う所で各電力会社が執着しているに過ぎない。その安いの原因は、核廃棄物の処理費用は全く入っていないからである。あるいは、その分は再処理と言う国の負担に成っていて、電力会社はコストに入れていない。だから、全国の原子力発電所の格納容器の上に使用済み核燃料のプールがあり、ぎりぎりまで置かれていて、すでに満杯状態なのだ。
安全対策も今後厳しく成る。あの津波に対する、巨大な防波堤だって、原子力発電の電力コストのはずだ。現状では発電とは関係のない、六ヶ所村の再処理工場の莫大な支出だって、本来電力コストと考えなくてはならない。そう言うもろもろを税金から支出し、原子力発電は安いという虚構を作り上げてきた。従来こういう虚構の上に全農も存在した。日本のコメ価格の算出は、原子力の電力コストと同じで、どこに本当の価格が存在するのか見えなくなっている。例えば小麦の価格では集落営農で補助金が出て、転作でも補助金がでる。農家の戸別保障の対象に成る可能性もある。新規参入者が作ればそう言う補助金もある。つまり、一切補助金をもらわない人の生産価格と、どう比較するかである。それはアメリカはさらに大きな補助金が農業に存在するらしい。世界全体の農業生産物の価格をどう考えればいいかは単純には行かない。これをTPPのように単純化しようとすれば、どこかの国の、農業が淘汰されることに成る。
JAが脱原発を打ち出したことは、当然である。しかし、当然でありながらも、困難な選択であったと思う。沢山の補助金の中に存在する分野である。政府に反対すれば、補助金が減額されるかもしれない。それでもさすがに、放射能の被害は、風評被害も含めは痛手だった。気持ちの上でまだ立ち直れない人がたくさんいると思う。大抵のことなら、1年半もすれば忘れることが出来る。しかし、今回の放射能に関しては、忘れる訳にはいかない。現在お米の収穫が始まっている。福島のお米はコンベアー方式とはいえ全量検査をしている。この測定が曖昧なものであるとしても、100ベクレルを越えたという事が今のところ無い。とすれば小田原のお米も昨年と比べれば、かなり低く成っていることも期待できる。JAは今後放射能被害の賠償の先頭に立って欲しい。個人の農家では賠償請求に対して対応が困難である。