田んぼの放射能対策
どうも私が良いお米を作る方法として、進めていた稲作法がお米に放射能を集める結果になっていたようだ。深いトロトロ層を作り出す為の様々方法は、放射能を集める結果になる。美味しいお米を作り出す、山からの絞り水のような、豊富なミネラルを含んだ水をふんだんに使う方法が、これまた放射能を集める。心底、がっかりである。もう負けてしまいそうである。良いと思ってやってきたことが、実は一番悪いことだったようだ。これからしばらくは、良くないのだが、と思いながら田んぼをやらなければならない。頭の切り替えが出来るのか、心配である。考えていると折れてしまいそうになる。何故これほど苦しめられなければならないのだろうか。原発事故は生きていく上で、私という人間に対しては、何を意味しているのだろうか。無駄なことなど何もないはずである。どのように受け止めればいいのだろうか。
生き方の甘さを問われているということになるのか。この失敗から何か学べるものがあるのだろうか。原爆を投下された国であるにもかかわらず、その悲惨さを人類の中で一番自覚していたはずの日本国であるはずであった。それが原子力に依存する方向にひたすら走ってしまった。原子力の研究がよその国より進んでいたということだったのか。反対する力が足りなかった。その自分がみじめである。憂鬱が繰り返し襲う。それでも今年の田んぼは始まっている。力は入らないのだが、出来る限りの削減対策を考えてみる。第一に水の量を減らす。特に穂孕み期以降は水を最低限にする。第2には根を水根にしないように、トロトロ層を作らない。第3に入水口に溜池を作る。溜池にはもみ殻やゼオライトを入れる。第4には牡蠣ガラの粉末を田植え直後に蒔く。思いつく対策をしてみる。どれだけの効果があるかは分からないが。
土壌の放射能が問題にされていた。それはチャルノブイリ事故の結果から学んだことだった。基本は土壌の汚染が強ければ、作物に移行する。カリウムの沢山ある田んぼでは、移行が少ないだろう。こういう考え方は、殆ど畑の作物の考え方であった。稲の場合は全く違うようだ。例えば、レンコンとワサビを比べて考えてみる。レンコンは泥の中に比較的深く根が入っている。ワサビの場合は、砂利に植えられ水が根の周辺を通過する状態である。この場合、ワサビはセシュームを吸着しやすい。レンコンはしにくい。つまり、自ら直接栄養分を吸収する根とつまり、水生植物の水根のばあい。球根などのように、水からでも根は直接栄養分を吸うことが出来る。稲の場合は、深く体を支える根が初期段階で生育する。その後、栽培によっては、水根と言っても良い根がトロトロ層の中に縦横に広がり、かなりの部分で水から直接栄養分を吸収する。、もちろん水中でも微生物の手助けもあるのだろう。
この水根に当たる根は、ホバラミ期以降に多くは広がりながら、穂を育んでゆく。この時の吸収の傾向を変えないとんらない。根が表土をはわないようにする。泥の中に深く入る根は、土壌のフィルターを通して栄養分を吸収する。水から直接のトキのように、ごく微量の水であれば、普通の田んぼであれば、総量で水から1万ベクレル入ったとしても、土壌に置いて1キロあありの量で考えれば、まったくたいし量にはならない。しかし、1万ベクレルが直接玄米だけに移行すれば、そこそこの量になる。すでにセシュームの水に溶けやすいもの、陽イオン化したものというらしいが、その多くは流れ出してしまったようだ。今土壌や、何らかのものに吸着しているセシュームは相当に、結合が離れにくいものらしい。植物に吸収されたものは、水に溶けやすい形になっている。この違いを考えると、今年の水にある量は、極めて少ないと想定される。そう心配するほどではないらしい。今年は、10ベクレル以下のお米を作ることは出来そうである。