ロシアのデモ
ロシア情勢が気になる。不正選挙に対する抗議から始まり、ロイター通信によるとモスクワで10日2万5千人、24日3万人規模らしい。年明けに又呼びかけがあるらしい。ロシアのこの40年間の動きは相当特殊な経過を経ている。1970年代には、資本主義経済との発展の速度、衛星国と言われた近隣諸国との関係、併合していた諸民族との紛争。1980年代のブレジネフ時代、盛んに言われたことは経済の後退と政権の腐敗。アフガニスタン侵攻を行い目をそらそうとするが、イスラム圏との対立の激化。敗北後退後、どの経済分野でも衰退が起こる。1985年、ペストロイカを掲げたゴルバチョフ時代。自由化の波と希望。衛星国の独立と国内もいくつかの国に分裂。チェルノブイリ事故の不始末。日本を思い起こす。1990年代になると、エリツィンの登場とともに保守化と腐敗、マフィアの支配。経済格差から極端な貧困層の拡大。2000年にプーチンが登場し、国家権力による統制。石油の高騰によって資源大国の復活。
そして、2008年にメドベージェフが大統領になるが、背景にプーチンが実権をもつ状態。そして、来年にはプーチンはもう一度大統領に立候補する。ロシアを窮地から救った有能なプーチンでも、反発が起こることは当然のこと。独裁政治の復活に対する不安と反発。アメリカとの対立の再燃。経済の後退。政治の腐敗。選挙の不正。隣国中国の経済的台頭。EUの経済危機。そして国内の民族主義の台頭。エリツィン時代を思い起こす不安。ロシアが不安定化するのかどうか。いずれにしろ、憂慮すべき状況が高まっている。いずれにしろプーチンがもう一度大統領に復帰するだろう。そして、旧ソビエト連邦国の経済再統一を目指すのだろう。しかし、EUへの期待がしぼんできている中で、ロシアの支配の記憶と経済的困窮とがどのような展望を持つのか。中国へ傾斜する旧連邦国に対する対応の困難。
日本にどういう影響があるか。多分経済協力の要請が起こり、北方領土が餌のように提示されるのだろう。国民の人気を失い追い込まれた民主党政権は、何の判断もさておいて、すり寄るに違いない。本来外交には思想が必要である。日本がどこを目指すのかは、日本人の思想に基づく。これがない国家である日本は、その時有利そうな所に流されるだけである。拝金主義だけが当面の思想と言えば言える。これだけの原発事故を起こしたにもかかわらず、経済が苦しくとも原発だけは止めると言うような判断が出来ない国家である。アメリカは同盟を根拠にロシアと日本が近ずく事を、阻止しようとするだろう。アメリカが北朝鮮を追い込んで、極東のリスクを高める可能性がある。日本が目指すべきは近隣諸国との友好と関係の強化である。日韓が日中が過去の歴史にこだわり、隣国を互いに許さないことは何の利益もない。
領土問題を軋轢の種にするのは、背景に意図が存在する。知恵を持って対応し、愚かな扇動的対応を止めることだ。世界経済が衰退する中、次の世界体制の中で、日本がどのような思想を持つ国に成るのか。憲法前文に書かれた理念に基づき、平和国家を目指す事ではないか。ロシアの事であった。デモは、中国の台頭が不安として存在することが原因である。世界中がそうである以上に、ロシア経済は影響を受けている。その不安定化に対する対応策が見えないことが原因。資源国と言うだけで先の見通しのない状況。つまり、プーチン時代に戻ることは、メドベージェフ時代に成長した新世代には、不満なのだ。プーチンの強権時代を良しとしない世代が何を目指すのかは見えないまま、不満だけは大きくなっている。