除草剤を使わないイネ作り
除草剤を使わないイネ作りというホームページがある。山下農園の山下正範さんが運営されている。このホームページの特徴は、メーリングリストと連動している事だ。「農家どうしの相互交流(ネットワーク)のためのホームページ」と目的が表示されている。見ていただくと、即解るのだが、今はやりの体裁から入るホームページとは、全く違って実用一点張りの見栄え無視の清々しいものだ。このホームページの中に入ると、実に奥行きが深い。実際の農家、(ちょっと一くくりには出来ないのだけれど)普通の農家の方が情報を発信している点が貴重な情報になっている。本当の声が時折聞こえてくる。わたしはメールを最近書かないでいるのだが、それは自分のようなタイプの人間の声は不似合いだな。と言う感じを持っているからだ。管理者の山下さんはもちろん普通の農家の方では無いとにらんでいる。除草剤を使わない、と言うくくり方がなかなかの知恵者である。
自然を愛し環境を考える百姓「赤木 歳通」さんが発信の核をなしている。「菜の花除草」で現代農業ではとてもいい記事を書かれいる。この方の文章がなかなか読ませる力量がある。冷酒をあおりながらの文章と言う事であるが、とても用意周到に作られている。自然に対しての、作物に対して、農作業についての、洞察も独特のものがある。最近はメール便の方は、途切れがちであったのは、引っ張りだこらしいからやむえない所であった。その赤木さんが最近、刺激的な文章を投稿された。頭の芯がガツンと反応をした。「糞尿を使わない」農業をどうかと思う。と言う主旨である。頭の芯から、全身に電波が走るほど爆発してくる、様々な想念が沸く。「青森のりんごの木村さん」に対する、批判である。世間では、一番持てはやされている農家である。持てはやされている理由は、自然に従う。の一点である。それの相応しい、ここまでに到る、物語がある。
原理主義対現実主義の起こる対立。農の会の作物に対しても、「動物性肥料を入れていますか。」こういう問い合わせがある。一体、牛糞という物は動物性堆肥なのだろうか。草食動物の糞尿を動物性考えるのだろうか。一昔前は、福岡さんの自然農法。その後に続いているのが、川口さんの自然農。そして、最近のりんごの木村さん。正直、当たり前の農家は大変である。消費者と言う王様の指示が出る。裸の王様は原理主義が大好きだ。自分が作るわけではないのだから、どんな要求でも出来る。それは置いておくとして、自給的農業の道は、原理主義とどう関係するのだろう。「持ち込まず、持ち出さず。」の家庭菜園。と言うような本も結構ある。自分の出す生ごみや、糞尿も「持ち出さず」なのだろうか。江戸時代の農業の姿は、限りなくそれに近い。確かに現代人の糞尿は牛糞よりも、使いたくない。何でも食べるし、抗生物質まで入る、薬剤入りである。
自分の暮らし方だろう。草食系の男子が流行るようだから、そういう人は自給農園も草食のみだろう。4つ足は食べなかった江戸時代を手本とする、私としては、鶏の卵、鶏肉、鶏糞は循環に入れる。その循環は最小限の労力で、最大限の成果を目指すものとなる。一人100坪の土地で、一日、1時間の労働で、自給する。話がだいぶそれてしまったが。除草剤を使わないイネ作りのメーリングリストは、とても刺激的である。今同時代に生きて、この悪環境の中で、除草剤を使わない営農を続けている人の、意見が聞ける。技術論もあれば、精神論もある。是非とも赤松大臣にも入ってもらいたいぐらいだ。