JR事故報告漏洩

   

福知山線事故調査委員会の中立性に問題があった。気軽に事故責任者が会える、元同僚を調査委員長にすることがおかしい。これでは内部調査の域を出ていない。内部調査だけで被害者に対応してきた事になっている。この事故の焦点は二つ。1、運転手の勤務状態に問題がなかったか。2、JR西日本の安全軽視問題の本質調査。どちらも、充分な調査がされたようには思えない結果だった。運転手がどんな勤務状況で、どんな心理状態でいたのか。なぜ、あのような急カーブ地点で速度を上げたのか。この解明こそ、今後の安全管理に不可欠なところだろう。ところが、明確な解明はないまま、うやむやになってしまった感がある。運転手が速度を上げて急いだ可能性の一つに、自分の運転ミスを取り返そうとしたかもしれない点が指摘された。運転ミスをしてしまい、運行に遅れが出た場合の、罰則や社内での評価問題。

記憶だけで書くのも気がひけるが、指摘があまりないので、書いておく。国鉄時代から引き継いだ日勤教育問題。再教育的意義とはかけ離れた懲罰的・暴力的な内容が行われていた。安全教育とは無関係な研修内容が非人道的な職場内暴力があった可能性。国会などでに取り上げられた記憶がある。運転手はホームで行きすぎて、戻るミスを何度か犯していた。その時の指導がトラウマになっていたために起きた事故。JR西日本では懲罰的指導が行われていた可能性がつよい。こう言う職場は空気が悪いものだ。そのためか、又ミスを犯してしまったとき、速度を上げて、カバーしようと言う心理が働いた可能性がある。乗客の安全よりも、懲罰の方が先に意識に来ていた可能性。もしそうであるなら、ミスを犯した時の指導のあり方を直す必要がある。この点の充分な掘り下げ調査と、改善策の指摘があったんだろうかと言う疑問。

もう一つは直接の事故原因と会った、ATS装置の設置基準の問題。前社長山崎正夫氏が本部長当時、設置不要と判断したATSの設置がなされていれば、事故はなかったのではないか。と言う問題。事故調の最終報告書は、現場が急カーブに改造された際にATS(自動列車停止装置)を優先的に設置すべきだった。と指摘きしている。山崎前社長は元委員を接待して報告書の内容を公表前に知り、自分が鉄道本部長時代にかかわったATS設置問題と事故の因果関係の記述を削ることも依頼した。とされている。何たることか、一番の焦点になっていた所が、事前に山崎氏は情報を得て、発表前に手を打とうとしたことになる。記述が削られていないとされているが、中立性のある調査報告がされたとは言いがたい。社長としては止めることになったが、まだ明確な責任を取ったとはいえない状態のままだ。

今回の情報漏えい問題は事故調査委員としての犯罪行為である。鉄道の関係者が加わるのは、当然の事である。しかし、ここに元上司だの、元部下と言うような関係者を加えること自体が、公正な調査を意図しているといえないだろう。鉄道会社は複数ある。むしろ、経営的には対立するような会社の人間が調査をすべきだ。徹底解明しなければ事故の再発を防ぐ、事故調査にならないだろう。結局身内でごまかしあってきたと言われても仕方がない人選だ。こんな人選をしている監督官庁の責任を先ず明確にする。まして、佐藤泰生元部会長の会見での、情報漏えいがなければ問題なと言わんばかりの、弁明は話にならない。誤解を与えたのでなく、会うこと自体が犯罪行為と言う自覚が足りない。軽率とかいう範囲で済ませることではない。

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