鶏の遊び場

   

鶏を小屋の中に閉じ込めておくのでは、良い鶏を育てる事はできない。平飼い養鶏の問題点である。鶏は本来、草原や茂みの中で、一日中地面を掘り返して餌を探している。掘った地面にもぐりこむように、土浴びをしている。自然の土壌というものがどれほど鶏の生活に不可欠なものであるか。ところが、放し飼いと平飼いでは、その手間暇が大きく違う。鶏の視点で見ていない人のなかには、外に出しても同じことだと主張する人も多いい。それは、外に出すと言ってもただ出せばいいと考える人である。茂みや草原に出さなければ、外に出す効果は半減する。そこで考えたいのが、遊び場のローテーションである。遊び場が草一本ないような状態になったら、遊び場を休ませ、自然回復を待つ。そして、草や茂みが回復したら、又鶏を遊ばせる。これを上手く回してゆけば、本当の放し飼いが出来る。

遊び場の大きさは、当然広いほどいいが、最低どのくらい必要か。せめて鶏小屋より広い必要がある。鶏小屋は寝に帰る場所だから、10坪100羽でもいい。しかし遊び場は、20坪が3箇所が必要である。そして出来れば遊び場は全体がネットで覆われる必要がある。上から鷹が狙うからである。中国では広いお茶畑に鶏が放されていた所があった。お茶のような低木の隠れ場があれば、上部からの外敵を防げる可能性はある。遊び場全てがネットで覆われていないでも、春に出す場所は必ず、全てをネットで被う必要ある。ネットはいわゆるゴルフネット程度である。しかし、とても高価なものだ。それで、魚網を貰いに行く。大抵の漁港では、魚網は産廃になっている。お願いしておけば、廃棄が出たときに分けてもらえる。魚網がいくら丈夫なものであると言っても、ネズミなどに必ず食い破られる。だから、金属の網と2重にしなければならない。

この金属の網も結構高価なのだが、コンクリートの中に埋め込む、鉄の網が案外に安い。これを外側にぐるりと回して、さらに内側に魚網で囲う。屋根トタンの廃棄品が手に入るなら、下部だけトタンで回すのもいい。もしそこが人家から離れた場所であるなら、その外には電気柵がさらに必要になる。電気柵をつけると、草が触れないように管理しなければならないから、管理に手間取ることになる。年5回の草刈が必要。これはあくまで環境によるが、生活をかけて本格的にやるなら、増えている獣の害を考えて、設置した方が安心である。現在、新しい鶏小屋に、二つ目の遊び場を増築している。鶏が少し増えたので、遊び場を増やさなければならなくなった。昨日は3人で片づけから、一気に支柱の設置にまで進めた。一番の課題だった、その遊び場への人が歩ける道も作った。この竹やぶの中の道が、なかなか美しいもになった。そうなると竹薮ももう少し綺麗にしたくなる。

作っている遊び場の上には、少し平らな土地がある。何となく雰囲気のある場所なので、いい利用法がありそうだ。そこから遊んでいる鶏を眺めているだけでもなかなか良さそうだ。そう、お茶お飲む場所。ともかく鶏を飼うには長くそこに居ることが一番だ。ゆっくり鶏と一緒に居れば、鶏の事が分かる。鶏からもらえるものも出てくる。今回の鶏の遊び場は周りが、竹林だ。鶏小屋の中にも、すぐ竹が生えてくる。この環境が素晴しくいい。竹林の中と言うのは、実に静寂なものだ。竹の持つ独特の力がある。他の土地とは全く違う、竹には独占してゆく力がある。この清浄力とでもいう生物の力を上手く取り入れたいものだ。病気を起こすウイルスなど、竹やぶの中では到底存在できないだろう。こうした自然力こそ、自然養鶏の一番大切にする力である。

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