ホタルブクロ

   


ホタルブクロ Campanula punctata Lam. var. punctataには白花と赤花の2種がある。もちろん中間色もある。この色がなかなか面白い。寒くなってきて、ホタルブクロの話でもないのだが、「植物と親友になるために」という面白い本を読んでいて、色のことで思いついたことがあった。この本は目医者さんが書いた物だが、一言で言って、「エセ科学本」だ。評価しているわけで、いい本で面白い。それでも、どうやって植物が人間の感情を感ずるか、いかにも、科学的に分析しているように書いている、怪しげな本だ。

エセ科学本というのは、いかにも科学性があるかのように、再現性がある実験を通して証明された。等と必要以上に力説するものだ。却って、著者のその点の不安が見え隠れする、ということだろう。UFOとか、前世とか、血液型性格判断とか。水関係、微生物関係など、そんな類が多いい。病気が治る。痩せる。商売につながっているのは、大体おかしいと思うことにしている。でも面白いのだ。

エセ科学本は、その怪しげな周辺を、なんとか固める為に、中々含蓄のあることを書く場合がある。ここに、ホタルブクロの色のことがあった。著者金子和正氏によると、気温への反応で色が変わるというのだ。私は土壌の酸性度に影響されている。と思っていた。紫陽花のようにだ。所が、こういうことは意外にも、何処を見てもそうはっきりとしたことが確定していないのだ。

名前の由来が又面白い、「花の中に蛍を閉じ込めると、その明かりが外へ透けて見える」ところからきているらしい。また、提灯の古名を「火垂(ほたる)」といい、その提灯に似ているので付けたという説がある。蛍を花の中に入れるというイメージは美しい。この学名カンパヌラは鐘のことだ。この面白い形を虫篭に見立てる。提灯に見立てる。風情がある。

山北に居た頃はホタルブクロはにごった紅色の花と思っていた。だから、小田原の方に来て、白い花を見たときは、これは珍しいと驚いてしまった。ところが辺りを良く見ると白しか無い。白しかないとすると、山北の赤の方が珍しいような気になってくる。それで赤い花を、山北から持ってきて、小田原の家の庭に植えた。近所でも珍しいので、隣の叔母さんが分けて欲しいと言われた。それが、いつの間にか白くにごった花になっている。それで、土壌が山北ほど酸性で無いから、白くなったのかなどと勝手に思っていた。

それが、温度だというのだ。花芽がつく時期に、高温になると白くなる。というのだ。どうだろうか。正しいのだろうか。このように書く以上実験したのだろうか。又山北から、赤花を持ってきて、温室に入れておいて見るつもりだ。

その話ではなかった。山北と小田原は、目と鼻の先だ。それが、こんなに近いのにホタルブクロの花の色が、赤いと考えている人と、白いと思っている人が居るというのが、面白い。これが、花の色だから良いけれど、結構頭の中も、赤いと思い込んだり、真っ白だったり、思い込みというのはあるに違いない。

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