石垣島で農の会方式の田んぼが始まるかもしれない。

竹富島と石垣島の間を帆船がゆく。40人乗りの船だ。
タイトル「自然農法の水田見学会」と「小さな田んぼのイネ作り勉強会」
講師 笹村出氏(小さな田んぼでイネ作りー農文協)著者
日時 5月9日(日)
集合 13;30分名蔵公民館
趣旨
前半:石垣島で何十年も継続された自然農法の田んぼがあります。石垣島の自然に即応したすばらしい耕作がされています。自然農法の田んぼの風を感じてみませんか。
後半:自給のためのイネ作りをあしがら平野で30年間、200名で続けています。この活動の話をさせて貰います。イネ作りは野菜より、ずっと簡単です。だからお米は主食になったのです。自然農法の田んぼを冬期湛水すると、田んぼが生物多様性の維持に繋がります。赤土の流出も防ぐことが出来ます。名蔵アンパルに隣接する水田であれば、ラムサール条約の指定地に編入の可能性もあります。
13;30分名蔵公民館→下地さんの水田(名蔵)→中新城さんの水田(新川)→⒖:00頃、結ケアセンターククル(大川)笹村出氏「自給の田んぼ運動」勉強会→終了16:30分頃
参加費 150円、保険料150円(任意)
主催:アンパルの自然を守る会
連絡先 山崎 090-6785-8692
山崎雅毅
アンパルの自然を守る会
090-6785-8692
フェースブック
https://www.facebook.com/anparu.org
石垣島で農の会方式の田んぼが始まるかもしれない。小さな自給のための田んぼである。石垣島では田んぼを始める事が無いように、決意していたのだが、どうも成り行きで、避けてばかりとは行かないようになってきた。
石垣島でも自給の田んぼをやられている方はきっといるのだろう。いままでの所では、自給の田んぼかなと言うようなものはまだ見つけてはいない。ただ、自給の田んぼをやってみたいと言われる方には何人かお会いした。関わると、田んぼをやりたく成りそうなので、なんとなく近づかないようにしてきた。
田んぼをやることは小田原を最後にして、石垣島では始めない決意をしていた。しかし、名蔵アンパルで良く絵を描いている。周辺には素晴らしい田んぼが沢山ある。もったいない放棄された田んぼもかなり存在する。水張りだけでもすれば良いのにと思ってきた。
名蔵アンパルとは湿地のことである。名蔵湾沿いに一〇キロほど続く、湿地がある。昔は一面マングローブあるいは湖だったのだろうか。その一部は田んぼになっている。水は於茂登岳から流れ出る水が豊富で、田んぼとしての条件は良い場所である。
アンパルとは網を張るという意味らしい。湿地で漁業をしてきたのだろう。古くから人は住んでいたと思われるが、やはりマラリヤの発生地で、名蔵には住まないで、川平や石垣から通って農業をしてきた人が多かったらしい。
名蔵アンパルはラムサール条約の協定地である。湿原を守る世界の条約である。湿原の持つ水鳥を主とした生物多様性を大切にする環境運動である。釧路湿原の丹頂鶴。伊豆沼のマガンの飛来地。など日本でも51カ所もあるが湖が多く、琵琶湖などもそうである。
ラムサール条約の大切なところは、「交流・学習、賢明な利用、保全・再生。」の3つが柱になっているところだ。環境運動に良くある、環境原理主義ではないと言うことになる。環境に望ましい形の農業であれば、むしろ利用が推進されている。ここが世界自然遺産などとは意味が異なる。
その柱が水田である。宮城県の伊豆沼・内沼は田んぼの溜め池機能として残された沼である。周囲は広く田んぼで囲まれている。その田んぼの中には冬期湛水をするところもあり、田んぼを湿地として生物のために生かしているのだ。
田んぼが水鳥の餌場になってきたのは、佐渡島のトキ、豊岡のコウノトリなど良い事例だろう。こうした餌場である、田んぼに生き物がいなくなったことがトキが絶滅した理由である。コウノトリは危ういところで、豊岡の有機水田運動で救われたのだ。
田んぼを湿地として考えるという「賢明な利用」が重要な考え方である。環境原理主義者の中には、一切手つかずの自然こそ尊いものとして、農業利用を毛嫌いする人も少なくない。特に農薬を使うと言うことで、自然の破壊行為と考える人もいる。
しかし、農薬を最小限に使う稲作であれば、荒れ地にしておくより、総合的に考えれば、田んぼは環境を豊かに育むものである。とくに、冬期湛水を行うことで、水を貯水するようにすれば、生物の多様性を維持する大きな役割を担うことになる。
田んぼを放棄して、荒れ地に戻る経過を見ていると、乾燥化してしまうことが多い。湿地に戻るのではなく、乾いた荒れ地になって行く。それは水を保持する機能が衰微していることと、水道水などの貯水ダムによって、流入水そのものが減少している事に由来している。
それ故に農薬を最小限使いながら、行う稲作農業であれば、むしろ放棄するよりも生き物のためになることもある。決して環境をあらすものでないと考えるべきだ。赤土の海への流出を防ぐ機能、地下水を豊富にする機能、洪水を防ぐ機能。など環境に田んぼは大いに役立つものである。
農業利用という意味では湿原を乾燥させて、サトウキビやパイナップルを作ることが一番問題がある。ラムサール条約流に言えば、これは賢くない利用である。赤土の流出が起こり、珊瑚が死に絶えて行く。湿原なくなることで、多くの生物が生息できなくなっている。
カンムリワシを守るためにも、水田は重要である。冬期湛水の水田はカエルの生息地である。カエルを増やせば、鳥たちの餌に困ることはない。
ラムサール条約に言われる、交流・学習を考えれば、自給のための小さな田んぼを行うことは、未来の環境保全をする人を広げて行くという意味で、極めて重要なことになってくる。自分の食べるものを作るというのであれば、農薬を使わないと言うことは普通のことになる。
そして、小さな自給の田んぼであれば、農薬や化学肥料を使わない有機農業であっても、十分な生産性の上がる田んぼができると言うことを実戦することが出来る。この小さな実践が必ず他の農家にも影響を与えることになる。
どうすれば雑草が生えないのか。どうすれば、化学肥料を使わないで多収出来るのか、これはその場所で実践して見つけ出す以外に方法はない。田んぼは10枚あれば、一〇種類のやり方がある。石垣島の土壌に見合う方法は石垣島で見つけるいがいにない。
以上のようなことを石垣島に来て以来考えていた。そして、名蔵アンパルの環境を守る会に出会った。そして、考えをつい話してしまった。そこから話が始まり、石垣島で有機の田んぼをやってきた干川さんと出会うことになる。
干川さんは四〇年前石垣島に移住されて開墾から初めて、石垣島で有機農業を実現された方である。とても立派な方で、見識がある。他の有機農業者の方を紹介していただいた。石垣島にもすばらしい農業者がおられる。こうした方と出会うと、いよいよ、何もしないではいられないような気分になってきた。
名蔵アンパルの環境を守る会の事務局長の山崎さんという方から、石垣の塩の専務の東郷さんを紹介していただいた。海が汚れたらよい塩が出来ないという事もあり、環境保全にとても熱心な方で、農地を購入して利用して行くことを考えられている。名蔵アンパルの田んぼを保全して行くと言うことを熱心に考えられている。
だんだん、形が見えてきたようなところである。次の段階は自給の田んぼに取り組んでみたいという人に呼びかけると言うことになる。これは以前からの感触では、すぐに集まると思われる。今回見学会と自給の田んぼの話を聞いてもらい。一歩前進できるといいと思っている。