沖縄が返還されて50年

トヨノカの穂は随分大きい。大きな粒が120粒は付いている。穂もあとからだんだん増えてくる。直播き部分は20分ゲツぐらいまで行きそうである。直播きの部分だけなら、数年先には畝取りも夢では無い感じがする。
石垣島に暮らしながら、復帰50年を明日15日に迎える。50年前は金沢にいた。あれからの50年の自分の年月と沖縄の50年が重なる。絵を描いて生きて行こうと考えて生きてきた。金沢での4年間で生きる方角が決まった。沖縄の50年も、なかなか複雑な50年であったのだろう。
高坂正堯 という京都大学の国際政治学者が、沖縄の返還に関して、まず返して貰い沖縄の基地を少しでも減らして行くことが日本の政府の行うべき事だと主張していた。当前の事だができなかった。沖縄の基地軽減は出来ないまま今に至る。
ベトナム戦争が終わるのが、1975年である。沖縄が返還されたのが1972年である。返還された前後の沖縄は、ベトナム戦争の前線基地である。それはアメリカの敗北する戦争であった。爆撃機が沖縄の米軍基地からベトナムに毎日飛び立っていたのだ。
今ウクライナでロシアの侵略戦争が行われている。世界は有効な手立てを打てないまま、ロシアの暴虐に手をこまねいている。人間の愚かさは繰返し殺戮に向かう。戦争が何も解決が出来ないことを、何故学ぶことが出来ないのか。
沖縄では50年経った今も世界一危険な普天間の米軍基地は移設が出来ない。その理由は辺野古移設が唯一の解決手段だと政府が決めつけたためである。国際政治に、唯一の解決策など口にして繰り返すのは、無能な言い訳の表れである。軍事基地はどのような方法も、解決策にならないのだ。
あくまでいくらか増しな解決以外にない。アメリカにとって増しな方法。日本にとって増しな方法。これを粘り強く探すのが、政府の役割である。日本政府の50年は米軍基地を沖縄に集中させて、日本のそれ以外の地域の負担を軽減してきた歴史である。それが自民党政権の沖縄を犠牲にした保身である。
全国各地に130か所の米軍基地がある。米軍専用基地は81か所で、他は自衛隊との共用。主な米軍基地は、三沢空軍基地、横田空軍基地、横須賀海軍基地、岩国海兵隊基地、佐世保海軍基地、と沖縄の米軍基地群。
沖縄県には、31の米軍専用施設があ り、その総面積は1万8,484ヘクター ル、沖縄本島では約15% の面積を占めている。 沖縄が本土に復帰した1972年当時、全国の米軍専用施設面 積に占める沖縄県の割合は約58.7%だったが、現在では全国の米軍専用施設面積の約70%が 集中している。
沖縄返還の重要な目的のはずであった沖縄の基地負担の軽減は、むしろ後退したと言うことになる。日本政府は沖縄に負担を押しつけて、ほかの地域の基地負担を軽減してきたのだ。日本全体の米軍基地負担は明らかに減少しているのだ。
日米両政府は仮想敵国を中国として、琉球弧全体に自衛隊基地を作っている。安全保障の重要事項として、ますます沖縄への基地負担が増加しているのが現実である。にもかかわらず、腹立たしいことに政府は口先では沖縄の基地負担の軽減と言うことを軽々しく繰り返す。
実際にはアメリカ側の要請に従い、宮古、石垣、与那国と自衛隊基地を建設し、米軍との共用を可能にする、敵基地先制攻撃ミサイル基地群を作っているのだ。それが仮想敵国中国に対する日米の極東戦略である。沖縄を防人の島にする日本政府の間違った50年の歩みである。
日本政府には国際紛争は平和的手段で解決する事が憲法によって定められている。にもかかわらず、平和的手段を諦めて、あるいは無駄なことだと決めつけて、平和的解決を何もしてこなかったのでは無いだろうか。その代表例が尖閣問題である。
何もしなかったのではなく、むしろ尖閣諸島を棚から下ろして、日本の再軍備の世論形成に利用してきたのが、自民党政府のやり方であった。尖閣に中国が領海侵犯することをむしろ歓迎利用しているのだ。これ幸いとセンセーショナルに報道して、中国の軍国化と覇権主義の宣伝に利用しているのだ。
確かに中国は覇権主義である。覇権主義と言う以上にそもそも巨大国家である。日本の10倍以上の人口があり、面積は25倍もある。つまり、GDPも日本の10倍以上あって当たり前の国なのだ。国の規模がアメリカよりも数倍大きい。日本が縄文時代に頃にすでに国家が成立しているのだ。
中国がその規模に相応しい位置づけになることはむしろ自然の成り行きである。中国と親しく平和的な関係を構築することこそ、日本の安全保障の絶対的要件である。対立して中国を追い落とそうとしているのは、日本よりもむしろアメリカである。
アメリカは中国よりも覇権主義である。アメリカの覇権主義は日本は同盟国として、その覇権の傘として享受しているので気がつきにくい。ウクライナのNATO加盟も、ロシア側から見ればアメリカが覇権主義で支配を広げていると見えることになる。
ロシアのウクライナ侵攻を契機に、中立政策だったフィンランドやスエーデンがNATO加盟を模索している。その結果、中国とロシアという二国を中心に独裁的国家が孤立してより軍事化を強めて行くことになる。これは世界が望まない戦争と対立の時代に進むと言うことを意味している。
日本国憲法の平和主義だけが世界の希望だ。この50年日本は少しも平和主義の外交が行えなかった。その一番の原因が日米軍事同盟である。口では平和を主張しても、その背後にアメリカの武力がちらついているためだ。日本はずる賢い信用のおけない国にしか見られなかったのだ。
世界が戦争の時代を回避するためには、核兵器を持たないと決めた国が連携しなければ成らない。日本は核兵器不拡散条約には加盟している。次には核兵器禁止条約 に加盟しなければならない。被爆国日本が禁止条約に加わり、核兵器の新しい抑止力を模索すべきだ。
特定の国だけに許された核保有国であるロシアが、核攻撃をちらつかせて侵略戦争を行っている。このことは従来の枠組みが機能しなくなっていることを意味している。北朝鮮の核保有すら正当化されてきている。これは人類の生存の危機である。
沖縄の返還50年は平和への50年とは言いがたいものがあった。むしろ、戦争が近づいた50年と言わざる得ない。沖縄に暮らす人と、その他の日本人とでは、国防に関する意識が違いすぎる。このままでは沖縄の島々がミサイル基地の島になってしまう。それでも日本人の多数が仕方がないと考えはじめている。