6,7,8,9月と酷暑が続いた石垣島

   




 今年の石垣島の暑さはただものではなかった。10月に入っても相変わらず夜の気温が昨夜は26度だった。冷房がなければ寝れない夜がもう4か月も続いている。雨ばかりですごい湿度で窓を開けていることもできない。小田原に行けば、冷房なしでぐっすり寝れるのだから、石垣島の夜の蒸し暑さは、半端ではない。

 異常気象と言われているが、明らかに前例のないような気象の変化が続いている。以上と言うより、暑い夏が定着したのだろう。暑さもおかしかったのだが、台風の様子もおかしかった。南のほうで停滞し巨大化する。そして例年とはまるで違う進路になる。始まりの頃は予測が難しかったが、18号はこうなるだろうと想像した通りの進路と消滅だった。

 ともかく台風は一回は巨大化する。それは海水温が高い地域が広いからである。石垣島は海水温が6月から27℃と高い日々が続いている。海水温が高すぎるから、いくらでも水蒸気が蒸散して、台風はどんどん気圧を下げる。しかし、偏西風がないせいか、移動できずに停滞する。

 だから夜温も下がらない。これが稲作には大きなダメージになっている。海の温度が高すぎて、石垣島のサンゴは次々に白化し、死滅が続いている。海は荒れる日が長いと言うことになるから、漁師の人も漁が出れない。輸送船の欠航も続くから、荷物の輸送に時間がかかる。

 石垣島ではサンゴを守るための活動が盛んなのだが、例えば赤土の流出をどう防ぐかなど、いつも問題にされていて、国の補助金も出ている。ところがサンゴは海水温の高さで枯れてゆくのが実情である。もしサンゴを守りたいのであれば、熱帯性のサンゴを移植するほかない。

 こういうことは環境派の人には良くないことなのだろう。自然の霍乱になるのだろう。自然保護は昔にそこにあった珍しい物を、ひたすら守るべきものなのだ。自然の豊かさを守為には、砂漠に無かった乾燥に強い樹木を植えることも必要なことなのだ。食料生産の農業のために、新しい植物を栽培することも自然を豊かにすることなのだ。

 しかし、観光としては熱帯珊瑚の移植をやる以外にもうサンゴ礁を維持することはできないところまで来ている。自然のサイクルを考えれば、黙っていても1000年後は熱帯サンゴの島になっている。これだけ海が暑くなると言うことはそういうことなのだ。熱帯珊瑚が石垣島に自然に来るまで1000年末のだろうか。

 この気象の変化は人間が地球で暮らしている間は続いてゆくはずだ。すべては人間の暮らし方が悪いのだ。暑いから寝れないで冷房をつける。そうしなければ死んでしまうのだから仕方がないのだが、冷房は電力である。石垣島では石油で発電している。石油を燃やしてCO2を排出して、温暖化を推進しながら汗をかいて寝ている。

 だから、海水温が高いのも受け入れるほか無い。台風が巨大化するのも受け入れるほか無い。来年はもう一ヶ月ぐらい夜の気温が25度を超える歳になるのかも知れない。稲がこのままでは危ない。稲の栽培を考えると、熱帯稲を栽培する以外にないのだろう。それが食料安全保障である。

 雨の降り方も変った。ここ数年来日本各地で線状降水帯が出来て、土砂災害が頻発している。石垣島も同じ傾向にある。降るときは大量に降るが、降らなくなれば何ヶ月も降らない。今年前半は過去にないほどの日照りだったのだ。そしてこのところ雨続きである。

 だから、雨量自体は十分あるのだが、湧き水の量を見ると季節変化が大きすぎる。気象庁の統計には表れにくい変化と言えるのかも知れない。水不足の土砂災害。石垣島で言えば、雨量で比較してみると、15キロしか離れていない字石垣と崎枝では全く異なっている。

 異常気象は気温、降水量などの気象要素が過去30年以上にわたって観測されなかったほど著しく高いか、あるいは低い値を示す場合と定義付けている。30年に1回以下の出現確率の現象(平均値から標準偏差の約2.2倍以上偏った現象が発生する確率に相当)としている。 
 
 日本の年平均気温は、さまざまな変動を繰り返しながら、確実に上昇している。上昇率は 100 年当たり1.24℃とあるが、上がり方はこのところ著しい。気温の上昇に伴い、真夏日、猛暑日、熱帯夜等の日数が増加し。夏は熱帯夜だけになった。冬日の日数は有意に減少している。 

 将来予測で、今世紀末の日本の年平均気温は、高い確信度で20世紀末に対して全国的にかなり上昇すると予測されている。全国平均気温は、気候変動問題に関する政策を何も行わない現状の場合 4.5℃も上昇するとしている。ロシアの永久凍土もなくなるのだろう。

  4℃上昇がおこれば、21世紀末には20世紀末と比較して、降水の観測される日数が全国的に減少する。これの方が、農業には影響が大きいことになるだろう。雨量自体が減少するのではないから、まとまって線状降水帯が出来ることになる。土砂災害は頻発する。

 気象学的にもこれから、大雨、渇水が繰り返され、スーパー台風が発生する。気温は今よりもさらに高くなる。この大きな方向は変らないだろう。とすると、今年の暑さなど序の口と言うことになる。大変な気候がこの先待っていると言うことと考える必要がある。

 平年値よりも平均気温が1.76度高かった年が2年続いた。これからの平年値が今年ぐらいになると思わなければならない。それよりもさらに高温の夏が来るのだろう。温暖化を止めるための技術があと10年、あるいは20年すれば実用化されるだろうからそれに期待するほか無い。

 空気中のCやO2を集める技術が開発されるのだろうか。回収して新しい燃料になるのではなかろうか。回収費用が現状では市場価格の数十倍になるが、将来的には産業化される価格になるはずだ。そうなったときにまた石炭火力発電が復活するのだろう。

 その10年後には石炭火力発電よりも合理的な発電の仕組みが出来るだろう。技術革新はまだまだ続いて行くに違いない。技術の革新は経済競争がある以上必ず進んで行く。問題はその時に人間の暮らしがどうなっているのかである。

 稲作を続ける事は気候を穏やかにする一つの方法である。世界中がお米を食べるようになって、田んぼが出来るところでは水田稲作をする。これが気象変動の歯止めになるかも知れない。稲作が減ると言うことは気候変動をまともに受けると言うことになるだろう。


  

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