石垣島の農業と堆肥「よみがえり」

   



 石垣市の耕地面積は約7,700㏊、畑の面積が7.300㏊、一番広いのがサトウキビが1、387ヘクタール。田んぼがその次で面積は約378㏊。マンゴー223㏊、パイナップル153㏊、野菜93㏊となっている。その他の畑が96ヘクタールとなっている。(沖縄総合事務所)

 しかし、このデーターはかなり不自然で、文章には「石垣市の耕地面積は約7,700m2、そのうち田の面積は約470m2です。」と書かれていながら、表の法ではでは378㏊となっている。そもそもこのM2は何を意味しているのだろうか。

 そもそも耕地面積が、7,700ヘクタールであるなら、記載された畑面積の内、葉たばこはかなりあるはずなのだが、その他の畑に入るのだろうか。今はほとんど無くなったと言うことかもしれない。5、000㏊という利用不明の土地の大半の面積は牧草地と考えるべきなのだろうか。

 何故牧草地を外して記載しているのだろうか。そもそも石垣島の農業の生産額ベースで考えれば、73%が畜産なのだ。石垣島の農業を考える場合、畜産を考えることが当然重要になる。伝統的にはサトウキビとパイナップルと葉たばこだったと聞いたことがある。

 その畜産を支えているのが草地である。草地は放牧という所も在るが、半分以上が牧草の生産である。石垣では年間5回草を刈ることが出来る。生草を一年中与えられることが出来る所が石垣島の畜産の利点で在る。特に飼料が高騰する中では重要なことになる。

 畜産農家数が526戸で、牛の頭数が24600 頭とある。統計によっては28000頭というものも在った。人口は5万人だから、その半数に当たる数の牛が飼われていることに成る。その牛の飼料は多分ほとんどが輸入飼料と考えられる。

 以下少し古い資料では、肉用牛飼養戸数は600戸でうち繁殖経営が96%を占め、飼養頭数は2万5千頭で1戸当たりの飼養頭 数は42頭となっている。乳用牛飼養戸数は5戸、養豚農家は9戸で、畜産経営のほとんどが黒毛和 牛の繁殖経営である。温暖な気候を活かした暖地型牧草地の面積は採草地が1500ha、野草地も利 用した放牧地が800haとなっている。 ーーー石垣市大浜長嶺畜産

 長嶺畜産ではジャイアントスーダングラスでの放牧畜産をされているようだ。11.5haの放牧地を1.5~2.5haの5牧区に分け、大雨の日を除き周年輪換放牧をしている。 5牧区のうち3牧区と2牧区の2放牧場に原則として同時入牧させるが、2牧区の放牧場は牧 草の状態を見ながら適宜休牧させている。

 現在もう1牧区を造成中である。 冬は牧草地の維持のため昼間だけの放牧とし、夕方には放牧地に付属の採食場に集め、乾草や ふすまなどの補助飼料を少量与えているが夏は昼夜放牧を行っている。 放牧牛の栄養状態は良好である。 
 
 放牧地に利用しているジャイアントスターグラスは、暖地型牧草のなかでも放牧に適した草種 で、耐干性及び耐塩性に優れ高温時での再生力が非常に強く、反収は放牧地で年間70t/haが見込 まれる。

  退牧後は毎回施肥を行い、雑草がなく牧養力の高い放牧地の維持管理に努め、放牧日数や放牧 頭数を適正に管理している。 牛舎からの堆肥は主にサトウキビ畑に還元しているが、年に1~2度放牧場への散布も行っている。 

 肉用種(2歳未満)1頭1日当たりのふん量は17.8kg、尿量は6.5kg。 人間は一日200グラムのふん量だとすれば、牛1頭で人間89人分の糞をしていることになる。石垣島の牛の数が2万5千頭なので、人間でいえばが222万人の糞尿量に匹敵する。

 この糞尿の処理を適正に行わなければ、土地への負荷が高まり、不健全な窒素過多な土壌になってしまう。放牧の場合当然糞尿は放牧地に糞尿はしてしまう。この糞尿が適正に処理されるためには1頭あたり0,5㏊程度の面積が必要である。のぼたん農園での放牧はその程度で、それ以上の牛を飼うことは難しいと考えている。

 2万5千頭の牛を自然放牧するとすれば、12,500㏊の放牧地が必要と言うことになる。それは石垣市の放牧地が5000㏊在るとすれば、倍以上の面積が必要になる。適正に糞尿が処理されなければ、だんだんに草地がおかしくなって行くはずである。

 現在、よみがえりという牛糞堆肥が作られている。2009年に堆肥工場が稼働を始めた。ここに牛舎から出る糞尿が運び込まれ堆肥化されている。1日の家畜糞尿処理能力はは89..2トン。堆肥生産量は1日23トンで、年間6,900トンとなる。

 昨年度は行政が補助金は付けたので、農家には1キロ5円で販売がされていた。私も5回ほど買いに行った。ダンプの軽トラに積んできて、麦畑や田んぼに入れた。2畝の田んぼに一回30キロ入れる。これを4回入れたとして、120キロ。600円と言うことになる。

 使った感想としては十分使えるものだと言うことだ。麦畑や野菜畑にも使っているが、問題は一度も無い。完熟していないので、おかしな雑草が出るという話が流布しているが、2年使ってみて、そういうことは私の使い方では一度も無い。田んぼでは基肥、追肥と使っている。効果があるように見える。おかしな草は堆肥からではなく、どこからともなく出てくる。

 「よみがえり堆肥」は地域循環である。石垣島農業の主産業が畜産であるのだから、よみがえり堆肥を地域で利用して行くことが、何より重要なことになる。そうしなければ、牛の糞尿が地域の良好な自然環境をだめにして行く可能性がある。







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