ひこばえ農法に取り組む

   

 
 手刈りをした稲をコンバインにかける。ハーベスターの方が良いのだが、石垣ではハーベスターはないから、コンバインの中古を購入した。籾にしたお米はメッシュのコンバイン袋に入れて干す。3日ほど干すと15%以下になった。これも一種の天日干しなのだろうか。

 1時間おきぐらいにこの袋をひっくり返す。その方が均等にお米が乾く。メッシュの袋なので乾きが悪いのだろうが、直射日光でないくらいが丁度良いのかも知れない。強い風が吹き続けているから、送風状態の乾燥機に入れられているようなものかも知れない。

 雨が突然降り出すことが毎日あるので、干している間はお米の脇にいるほかない。と言ってもどのみちのぼたん農園で絵を描いているので、その点ではかなり効率よくお米が干せている気がする。一週間に2畝分くらいなら、たいした手間ではない。随分楽な方法が見つかった。



 ひこばえ農法の田んぼ2番の様子である。稲刈りをして2日目のイネ株の姿。品種はトヨメキである。いねかりをする1週間前に肥料を入れておいた。太い無効分ゲツに成らない、立派なひこばえが出て欲しい。毎日その辺をじろじろ見てしまう。

 大きな株からはやはり多数のひこばえが出てくる。1期でよく採れた田んぼがひこばえも多く出来るのだろう。それでも3週間経過した田んぼでも出てきたひこばえが太く立派な物になってきたという感じがない。どこか普通の稲とは違う感じでひょろひょろ居ている。

 ひこばえ農法を本格的に始めたのは、インドネシアスマトラ島と言うことである。SALIBU農法という。

 この研究からすると石垣島であれば、可能な農法である。確かにいままで観察では、このままではしっかりした稲には成らないように見える。再度株を刈り取ってみるつもりだ。スマトラ島と石垣島で 収穫は通常の収穫よりも 1 週間早い生 理的成熟期に手刈りで、地表面から 25~40cm 程 度でいわゆる穂刈りをします。その収穫の 1~2 週間前に次世代のための 1 回目の施肥を行い、 このとき施肥と同時に落水して、以降 3~4 週間程度の間、土壌水分をフィールド・キ ャパシティー(湛水せず地表に水はないが、土壌内は水分で満たされている。圃場容水 量ともいう)の状態に保ちます。彼によれば、収穫適期である生理的成熟期の判断は、 見た目で稈 かん (イネの茎のこと)や葉が黄茶色に色づくもまだかなり青みも残っており、 穂にも帯緑色籾の割合が通常(たとえばコシヒカリでは 10~15%とされている)の 2 倍程度の割合で残っている段階とします。その趣旨は、株(稈と根)の活力が少しでも 多く残っている間に収穫するということです。 土壌水分をフィールド・キャパシティー状態に保ったまま、収穫の 1 週間後に動力草 刈機を用いて、穂刈りで残った長さ 25~40cm の株(稈束)を地表面から 3~5cm のと ころで再切断します。その 1 週間後に深さ 1~3cm 程度の灌水を開始して湛水状態を保 ち、その 1 週間後に蘖が 15~20cm 程度に育ったら湛水深を通常の 5~10cm に保ち、 1 週間以内に次の 4 点を実施します。

① セパレーション・アンド・アディション(分げつの多い株から分げつの少ない株 に根付きの稈の束を一部移植し、株の大きさを均等化する)、 稲株を示す Erdiman 氏(2017 年 5 月) 4
② インサーション(気中根が多い株をその位置で数 cm 土中に押し込む)
③ ウィーディング(除草。落ち穂から出た芽や、異常に早い出穂稈も雑草と見なし て除草する)、
④ 2 回目の施肥

問題解決の鍵は「親株の桿の根元から蘖を生えさせる」 ことにあり、そのために「穂刈り(地上高 25~40cm の高刈り)で収穫した後に、地表 面から離れた節が取り除かれるように親株の桿を 3~5cm に再切断する」ことを基本に 据えたのです。そして、土壌水分を収穫の前後の 4 週間、インドネシア語で「マチャマ チャ」と呼ばれる「フィールド・キャパシティー」状態に保つことが、この親株の切断 長と並ぶ重要なポイントであることを発見したのです。 

 石垣島とは気候も違う。稲の種類も違う。石垣島には石垣島のひこばえ農法があるはずだ。スマトラでは旨く田んぼをずらせて、田植えをしないで、毎月お米を収穫して出荷していると言うことで、小さな農家が成り立っているという。
 これが出来ると、のぼたん農園ではお米の保存の問題が解決できる。10ある田んぼがほぼ毎月新米が採れて配れるという状態が出来れば、お米がいつも新線で美味しいことになる。一つの田んぼから例えば60キロ収穫が出来れば、参加者に6キロづつお米が配れることになる。これはかなり期待できる。

 どうなるかは分からないが挑戦だけはしてみたい。



 2番田んぼのひこばえが出始めたところの写真。刈り取った藁はそのまま田んぼに戻した。2週間ぐらい経つと稲わらは水の中に沈む。二ヶ月ぐらいでとろけてしまうだろう。コロガシをしてみたいと思うが、コロガシをする邪魔になりそうだ。


 0番田んぼの3週間経ったひこばえの様子である。かなり茂ってきたが、株はそう太い茎ではない。ここは肥料は入れていない。このまま様子を見たいと思っている。溜め池を直したいので収穫まで行かないでも良いかと思っている。肥料を入れない場合と入れた場合で差が出るかを見たい。
 この田んぼは刈り取った。少し遅れたが実感なので、3週間で刈り取った。


 1番田んぼのハルミの田んぼである。ここも肥料は入れていない。ハルミはそもそも余り良い状態ではなかったので、ひこばえが良く育つとは思えなかったのだ。ところが田植えしたときより現状では良いくらいに見える。
  これではいいお米には成らない。中には大きな葉の株もある。そういう株はまだ穂は出ていない。この違いはどこにあるのだろう。そもそも稲刈りの時に幼穂が形成されていたと言うことになる。

 むしろ無効分ゲツが出るような状態の稲だったと言うことになるのかも知れない。1期の稲の栽培方法も考えなければならないものかも知れない。無効分ゲツを出さない農法。水を切って分ゲツを止めるような方法が必要かも知れない。
 この田んぼもすべての稲を刈払機で刈り払った。さらに2,3,4番田んぼも刈り払うつもりだ。こちらは1週間経過したところで、予定通りだと言える。どうなるかは分からないがともかくやるだけはやってみたい。

 - 楽観農園