楽しみにしていた東京オリンピックは延期。
14日大相撲が終わると、安倍総理の記者会見が続いた。いよいよ、オリンピック延期かと固唾を飲んで聞いていたが、長い会見の割に今までの話を蒸し返しただけで内容は乏しかった。何のための記者会見だったのだろう。
新型コロナウイルスで、東京オリンピックは危うくなるだろうと書いたのが、1月30日だった。まだその頃は対策次第では可能かと思っていた。それから45日が経過して、残念ながら世界は悪い方に進んだ。もうオリンピックは予定通りには開けない状況である。
ヨーロッパの状況が開けるない。IOCはスイスローザンヌに本部がある。会長のバッハ氏はドイツの人だ。ドイツノメリケル首相は60~70%の人が感染するだろうと予測している。中国のように一見抑えきったように見えても、油断をすればすぐ感染が広がる。正しい状況判断が今こそ必要な時だ。
中止の決断は早いほどいい。中止には様々な障害はあるだろうが、開催はもう不可能だ。この状況でも予定通り開催すべきという考え方をする人がいるが、どういう人が何故そういう考え方をするかは、よく見て置いた方がいい。
まだ感染症の恐ろしさの認識が不足しているのではないか。オリンピックを引き金に何万人が死亡するような事態が起る可能性だってある。ある意味原子炉の爆発事故よりも始末の悪いことなのだ。放射線被害も始末が悪く不安を増幅したが、今度は具体的に次々と人が死んで行く。誰もが加害者になる可能性が有る恐ろしいものだ。私が感染するのは仕方がないとしても、若い人を感染させて死なせたらと思うといたたまれない。オリンピックの中止は当たり前のことなのだ。
中止はパンデミックなのだからしかたがないと言える。誰の責任でもない。人間が間違った文明に進んだ結果である。今回の感染症は大半の人が健康なまま感染を広げるという、始末が悪い物ではある。しかし、近い未来に確実に来るだろう、さらに恐ろしい感染症を思えば手に負える範囲である。
ここで人類が気づくことができるかどうかである。オリンピックの経済効果などもうどこかへ飛んだ。欲に目がくらんで正しい判断が遅れているようでは、無理だろう。どのみち最後まで開催を画策して延ばせば、よりひどい状況が待っているだけだ。一刻も早く判断が必要なときだ。
トランプ大統領はさすがに決断が早い。勘がいい。いち早く中国を入国禁止にした。ヨーロッパも即入国禁止だ。そしてオリンピックの1年延期を提案した。日本が延期の判断をしやすい環境を作ってくれたのだ。さすがにアベさんのお友達だ。話はついているのかもしれない。
無理をして開催するとすれば、唯一可能な形は観客を入れないでの開催である。選手の感染チェックも大変なこととになるだろう。過去に前例のない、悪評のオリンピックになる。必ず選手間でトラブルが起こるだろう。止める以外にない状況を見通さなければならない。
オリンピックは人類が祝う平和の祭典だ。祭典の主体は観客である。都民であり、日本人であり、参加する人類全体である。観客は人類を代表して現場に立ち会っている。無観客と言うことはあり得ない。目的は平和のための祭典なのだ。単なる世界選手権であれば、無観客もないとは言えない。
大相撲は無観客で行われている。これはこれでいいものだと思った。どこからも悪評は無いはずである。そもそも大相撲は神前における奉納相撲と言うことが建前の興業である。何かコロナウイルス退散の神事として、相撲を取ってくれているようにさえ見える。
今回の大相撲の無観客の様子はそれなりの良さがある。しかし、オリンピックが無観客では様にならないだろう。そもそも経済重視のアベ政権としては、許されないことになる。大赤字を誰が負担できるものでもない。
一年延期はまっとうな考えだ。オリンピックをよして、経済対策に集中すべきだ。今国を挙げて集中しなければならないことは感染症の広がる中で、どう経済を維持するかだ。今回の感染症は折り合いがつく範囲の物だ。老人は重症化するが、若い人は軽いと言うことが幸いしている。
老人は家で静かにしていて、余り人混みには出かけない。若い人は状況を判断しながら経済活動を継続する。学校も再開する。休んでおくれた分だけ春休みに学校に行く。若い人は自己治癒力を高めながら、通常の生活に戻る。老人が家にいても暮らせるような社会的な態勢をとる。
企業はこの機会に在宅勤務体制を構築する。家でできる仕事は家でして貰い、ネットを使い移動を極力少なくする。早くからこういう事態に備えていた在宅に切り替えられた企業もあるようだ。
先行する企業からノウハウを学び、新しい勤務態勢を作り出すことだ。交通費が浮くし、会社のスペースも小さくてすむ。しかも、かなりの地方にいても仕事になる。これが確立すれば、地方の活性化にもつながるはずだ。人口の分散という意味で災い転じて福となるかもしれない。これが都市崩壊の論理か。
東京オリンピック中止を避けるためには延期である。そもそもオリンピック開催には反対であった。しかし、ここまで来てしまった以上中止より延期の方がいいと思う。こういうときにお金の問題を持ち出す人がいるが、これはお金ではなく命に関わる問題である。眼を曇らせてはならない。
判断が遅れれば遅れるほど、東京オリンピック2度目の中止の可能性が高まる。日本は二度目の中止となり、余りに情けない国と言うことが歴史に残ることになる。どの道を選択しても喜べないことだ。延期に伴う様々な問題が予測されるが、ここは小池都知事が器量を見せるところだろう。
ここで延期を決めれば、都知事としての評価も上がる。マラソンの北海道開催を考えてみれば分かる。どのみちごねたところで小池さんの思うようには進まない。開催の権限は持っていないのだ。しかし、延期をごねれば、ごねたことで中止の責任の矢面になる可能性がある。そうなれば、小池都知事の評判はがた落ちである。それこそ歴史に残るだろう。
それよりは延期の決断を安倍総理より先にして、進言することだ。できるかなぁー。できないだろうなぁー。