カンムリワシ・ロード 石垣島
カンムリワシが元旦に交通事故に遭った。石垣島で起こった悲しい出来事である。何とかならないものだろうか。小田原ではスピードを出して運転をしていたが、石垣に来てからは速度違反はしない。のろのろ運転である。カンムリワシが好きだからだ。
今度車には「カンムリワシを守るために法定速度を守ります。」という表示をすることにした。といっても、余りに直裁で感じも良くないので、「カンムリワ・シロード」と書いてみた。これを車に貼って運転することにした。果たして意味が通ずるかどうか。
水彩紙に描いて、ラミネート加工をして貰った。ありがたいことに石垣島ではラミネート加工もすぐ出来る場所がある。A3サイズで300円だった。車にテープで貼っただけだから、そのうち剥がれてしまうかもしれない。
石垣島では鳥や蝶が多いいので、法定速度を守って走ることにしている。特にカンムリワシがいそうな所では、よほど注意して運転をしている。もしカンムリワシに事故を起こすようなことがあれば、もう石垣島に住む資格がないと思っている。真剣に事故を起こさない運転を心がけている。
一年でも永く石垣島に住みたいから、ともかくゆっくり写生地まで車で行くことにしている。すると、ドンドン私の後に車が溜まって行く。そして追い越し禁止区間でも、追い抜いて行く車がほとんどである。私も今まではそういう運転の一人であったのだが、カンムリワシの交通事故が多発している状況では、速度違反をするわけには行かない。
年齢から考えても、安全運転はさすがに良い選択になると考えた。自分がカンムリワシロードと表示していながら、スピード違反は出来ない。安全運転を行うようになり、年齢相応の運転になる。転ばぬ先の杖である。
ドンドン私を追い抜いて行く。大抵の車がスピードの出し過ぎである。それほど広い島ではない。カンムリワシを守るために、スピード違反は止めようではないか。そう呼びかける方法を考えて、車の後ろに見えるように、カンムリワシロードの表示をした。
それでも今のところ、ドンドン追い抜いて行く。今のところ効果はほとんどない。市役所の車や、市会議員、公務員の車のすべてに、安全運転ステッカーを貼ったらどうだろうか。
観光に見える人にも言いたい。カンムリワシは昨年は8羽が交通事故で負傷をした。そして5羽が死んでしまった。せっかくのすばらしい島の動物が、交通事故死では申し訳ないではないか。西表島ではイリオモテヤマネコが交通事故死している。やはり100頭ぐらいと推定しれていて、2018年には9頭が交通事故に遭っている。
カンムリワシは絶滅危惧種ⅠA類、国の特別天然記念物。石垣島では生息している数を数える調査が行われており、その調査では2012年には石垣島で110羽、西表島で78羽確認されている。現在もほぼ100羽程度とみられている。
その大切なカンムリワシの生存数100羽のなかの8羽もが交通事故に遭うのだ。道路に出て来て餌をとる習性が災いしていると思われる。水田や畑でも見かける。道路の脇などに良くいる。道に出てくるヘビや、蛙を餌にしている。そのために交通事故に遭いやすいのではないだろうか。
西表島での営巣が1981年に始めて確認されている。渡りをする鳥ではなく、余り移動はしない鳥のようだ。縄張りを持っていて同じところで繰り返し確認できるらしい。保護運動をされている方によると、名前を付けて見守っている人もいると言うことだ。その方のお話では見るとどの鳥か判別できるという。
車を止めて静かに見ていると、特に人間を恐れている様子もない。のんびりした鳥である。一度はタブレットの動画で撮影したこともある。そのときも何か餌を食べていた。
いつも鳥を気を付けて運転しているのだが、今年になって三回見た。週に一回は遭遇するくらいの頻度である。八重山民謡では鷲ぬ鳥節が唄われており、「あやぱに」と呼ばれてきた。綾織物のような美しい羽と言う意味だろう。確かに羽の白黒の模様が実に美しい鳥である。
その大切なカンムリワシ8羽もが交通事故に遭うのだ。なんとかしなくてはならない。そこでゆっくり運転して、全体の車の速度が遅くなるようにしている。しかし、これをやっていたら、追い抜く車がほとんどでかえって危ない状態になってしまった。
ゆっくり車を走らせている理由を伝えることにした。何故遅いのかを知ってもらうための表示をすることにした。それが冒頭のカンムリワシ・ロードである。あまり効果がないようなら言葉を換えようかと思う。
石垣島は街の中は30キロ制限である。町中での交通事故はまずないだろう。そのほかの多くの場所が40キロ制限。そして一部が50キロである。大体の人が、60キロぐらいで車を走らせている。ねずみ取りの取り締まりもあると言うことだ。
島を一周しても三時間あればぐるりと回れる。あわてることはないと思う。特に観光に来た人はゆっくり景色を見ながら走って貰いたい。上手くすれば、カンムリワシやアカショウビンを見ることが出来るかもしれない。オオコウモリだって見られる。
ゆったりした時間こそ島時間である。石垣島の道はすべてカンムリワシロードだと理解して貰いたいものだ。