アベノミックスの評価
アベさんはリオ五輪の閉会式にマリオの振りをして奇術師のように登場した。やはりアベ人形だと再認識した。経済が国の基本だという考えに異論はない。日本の経済は,特に財政状況は相当危機的な状況だろう。それでも日本国民はアベノミクスを繰り返し選択している。自らの選択の愚かさも忘れることになるだろう。G7の国の中では極端に悪い。欧米はそれほどの財政危機ではない。中国やロシアや韓国、そして日本の経済が危機的な状況なのだ。アベ氏はアベノミックスが悪いのではなく、世界経済が悪いというすり替えを行った。財政が悪いのも世界経済のせいだと言いたいところだろう。世界全体で言えば経済は凸凹が目立つ。中国や韓国が急成長して、そして減速をした。これは誰が見ても自然の成り行きである。安い労働力や今までにない工業製品を創出して競争に勝利してきたからである。当然安い労働力はそれなりの水準に上昇する。競争力のある製品も横並びになる。
やはり、資源大国や社会インフラの完成している国とは違うのである。違う条件を前提にして、世界の中で日本の位置と方角を見出す必要がある。その時に世界企業をどう日本という国との関係を考えるかを、整理しなければならない。アベノミクスは日本出身の世界企業に依存した極めて保守的な経済のことだ。為替と株価をいくら操作したところで、実体経済としての新産業の創出が出来なければ、経済は平均値まで下がるという事だろう。外国のことは見えやすいことだが、日本が欧米先進国とは違う経済状況の国という事なのだろう。ではどうしたらいいのか。日本らしい国づくりに方向を変えるべきだという事である。日本の経済政策は、欧米先進国とも、後から追撃する中国や韓国、そしてアセアン諸国とも違うはずである。欧米的要素も持ちながら、アジア的な伝統も残している国である。
経済を考えるうえで最も重要な要素は、今の日本人の暮らしと未来であるはずだ。暮らしを大切にして、競争に翻弄されない社会構造を作ることだ。その一歩が食糧自給である。すべては食糧自給を達成したうえで考えればいいことだ。食糧生産を輸出産業にしようという事がアベノミクスの主張なのだが、その前に食糧自給を達成するための、日本農業全体の計画を示さなくてはならない。大型農業であれ、小農であれ、どうやって40%で停滞している食糧自給を立て直せるかである。世界は不安定化している。中国も背伸びを続け、いつヨロケルカわからない。日本自身の安全保障はまず食糧自給である。軍備をする云々の前に食糧の安定供給が出来なければ、まともな国とは言えない。まして、瑞穂の国美しい日本をアベ氏は目指していたはずだ。食糧自給の具体的な政策を考える。農家所得の倍増など適当なことを口にする前に、きちっとした農業政策を出さなければならない。
食糧生産をないがしろにして、輸入に頼り、外国人労働者に頼るようでは、安定した暮らしはあり得ない。これがアベのミックスの最大の失敗の方向である。日本帝国が満蒙開拓に国の未来をかけたように、これから日本は世界企業の為に暮らしを犠牲にしてゆくことになる。日本にも貧困階級と富裕階級が出来ることだろう。そして貧困層は暮らしの苦しさゆえにさらに弱い者をつくり不満をぶつけることになる。その暴力的気分が軍事的傾向を高めてゆくだろう。政府は国民の目を隣国に向け、不満のはけ口を作ろうとする。これは悪い予測である。国家として競争から降り、世界企業と国の関係を見直すことである。今の日本に在る状況で、日本が競争に勝たないでもやって行ける範囲を見極めることだ。無限に発展する未来など地球にはないのだ。何処に世界の安定を見つけるかである。日本は日本らしい文化国家になればいい。暮らしを充実させ、日々を落ち着いて豊かに暮らす道を見つける。幸い人口も減少を始めている。十分の農地が確保されている。自給的な暮らしをそれぞれの生き方に織り込んでゆけばいい。