あら起こし
いよいよ田んぼが始まった。苗作りをしていても田んぼの開始という気には案外になれないものだ。田んぼを耕すといよいよ始まったという気持ちになる。あらおこしともいうが、春起こしの方が気分がすがすがしいが、もう夏起こしだ。暑い。田んぼは緑肥がまかれている。枯れてきているものもあるが、今盛りのものもある。いずれにしてもハンマーモアーで細かく砕く。そしてすぐに漉き込む。ハンマーモアーが途中で動かなくなり、刈払機であとは刈った。すぐに漉き込むと土壌によくないという事を言う人がいるが、すぐに漉き込む方が抑草の効果が高い。すぐに漉き込みすぐに代掻きである。生の草が腐敗してゆくときに、抑草効果が高くなる。また、冬の間に藁は田んぼにまき散らしておく。そこに緑肥が生えてくる状態である。藁はほぼ分解している。藁は分解していることが重要である。生の藁を張る漉き込むと、良い代掻きができない。田植えがやりにくい。コナギが異常発生する。藁を田んぼに戻す場合、藁を分解してから漉き込むことが条件である。
緑肥は出来るだけ細かく砕く。ハンマーモアーで出来るだけゆっくり刈り取ってゆく。草刈り機で刈るとしたら、紐で刈ると細かくなる。しかし機械の故障で粗いままだが何とかはなる。トラックターはたいていの場合土壌が湿っているので負荷がかかるのでゆっくり耕運する。深く耕さない。代掻き用のロータリーである。5センチ程度ではないか。深く耕すという考えもある。その方が収量が上がるというのだ。一時その考えに影響され、ずいぶん深く耕したこともあった。しかし、作業全体を考え、出来るだけ浅く耕す事に落ち着いた。手植えの田植えでやる。草取りや、田車を通すことを考えても、田んぼが深いと作業が大変になる。深い方が草も増える。代掻きは極端にえば、田植えが出来るだけ耕せばいいと今は考えている。その浅い層に腐食がたくさん入れば、より抑草効果が高まる。浅く耕す場合、粉砕した緑肥や藁が土壌に混合されない場合がある。手間がかかっても2度耕すと土によく混ざる。
上手く耕運しておけば、代掻きがきれいにできる。水を入れてから良い代掻きをしようと考えても、ぬかるみ状態で操作が難しくなり、田んぼの硬い層がでこぼこになる。これによって水平の代掻きでなくなる。春起こし、代掻きで重要なことは田んぼの深さが一定であることだ。浅く1定でありながら、水を抜きたいときには一気に抜ける排水が出来る状態を目指す。入る水は、全体で少しづつ水を動かし、停滞する部分が出来ないようにする。これも抑草である。流水では草は生えない。静かに水が動く状態では、コナギは生えにくい。その基本があら起こしにある。少し時間がかかってもいいのでゆっくりとたいらに、田んぼの隅々まで耕す。
今年はお隣の3反の田んぼのあら起こしもやった。頼まれたのだ。何度も断ったのだが、どうしても頼むしかないという事でやることにした。もう80歳を超えた方で、昨年は田植えまではしたがそのあと放棄した。草だらけになって、夏の暑い盛り草取りは無理だった。田んぼをやりたいという人がいるから紹介してあげたのだが、やはり自分でやりたいという事で、貸してあげなかった。何しろ、機械が入る道がない田んぼなのだから、やる人はもういないと思う。私たちの借りている田んぼから、畔を乗り越えて機械を入れた。だから、私たちの田んぼの田植えが終われば入ることは出来なくなる。代掻きはどうするのだろう。頼まれてはいない。何しろ畔がない田んぼなのだ。水が溜まらないから、容易なことで代掻きは出来ない。私がやるならまず畔を作るところからだが、さすがにそこまでやることは出来ない。自分の田んぼで手一杯である。もし借りる人が居たら、道を作ることから始めなければならない。そして、しっかりとした畔を作り直すことからだろう。それにしても代かきが気になる。