養父市の農業特区

   

能登半島 10号 金沢に居た事があるので、良く描きに行った。最近いったらば、すっかり変わっていて驚いた。この前のことだと思っていたのに、もう45年も前のことだ。しかし、あの頃の絵と今の絵は、進歩した訳ではない。あの頃の絵に戻ろうとしているような気さえする。

養父市の農業特区が動き出している。安倍政権の言う、地方創生であり、これが第4の矢と言うこはあり得ない。実際には農業特区構想にどこの市町村も名乗りを上げる所が無く、養父市が名乗りを上げたということなのではなかろうか。政府は養父市の農業特区構想に全面的に協力して行くと、菅官房長官が述べている。この農業特区については、万年野党というNPO法人が、竹中平蔵・広瀬 栄(養父市長)岡本重明(新鮮組代表取締役)新浪剛史ローソン社長をパネリストにして、シンポジュームを開催している。まさに、安倍政権の国際競争力思想のシンポジュームと言うことだろう。その内容については、5000円の会員だけに公開されているものなので、想像するしかないのだが、見なくても想像はつく。3月には特区指定がされて、4月19日にシンポジュームが開催されている。すでに5カ月が経過したのだから、養父市に何らかの変化が始まっているのだろう。7月に行われた会議での具体策が公表されている。

ごく常識的なものだ。何故このような提案が農業特区でなければできないのか。分からないが、養父市の農業の街づくりの挑戦がどのような結果になるかは注目する必要がある。養父市は兵庫県の内陸部にあり、人口の過疎化が進む2万6000人の地域だ。ヤブ医者の語源と書かれている。コウノトリの豊岡市のお隣の町で、無農薬米の伝統があることも書かれている。コウノトリはここまで飛んでくるのだろう。山深い地域で、普通に考えれば農業には厳しい地域である。京阪神まで2時間位の場所で、都会へは一定の距離がある。確かにこの地域が農業で町おこしができるのであれば、日本中の参考になるはずだ。今回の特区の意味は、シルバー人材センターの雇用期間の解除が目的のようだ。農業に国際競争力を持ち込む様な意味合いとは違う。ふれこみの割に、地方創生とも、新産業の創出とも距離があるように見えるが、大丈夫なのだろうか。

新鮮組という農業生産法人がこの農業特区に参加している。新撰組(新鮮組)という名称からして、何か滅びゆく日本農業の見回り組の様なイメージがしたのだが。どうもそうではなくて、農協に日本農業を任せておけない、日本のお米を海外輸出して行く意気込みの組織らしい。岡本重明氏が社長でかなり個性の強い人の様だ。テレビでの発言の書き起こしがあった。中山間地の条件不利地域のお米で、国際競争力があると主張されている。しかも、それを30年実践してきたというのが、主張の様だ。実際にはタイで日本向けのお米を作っている。利に敏い人なら、そうなるだろう。養父市で実践しようしているのは当然、米作りではない。今後の展開を知りたい。岡本氏がやろうとする六次産業化は、「ふるさと弁当」と名付ける地元産品を使ったお弁当を地元で作り、冷凍して全国で販売する構想。アイデアとしてはごくありふれたものである。地域にある、特徴ある素材を使って、お弁当を作って流通に乗せようということらしい。

ローソンで養父のふるさと弁当で売れば、それなりには売れるだろう。流通側の協力があれば、日本のどの地域でも可能なはずだ。別段特区でなければできないというような特殊なことではない。農業特区で地方創生、が空論であることが分る。岡本氏は実は、タイでコシヒカリを作っている。これが一番もうかると主張もしている。当然である。養父市で田んぼをやり、そのお米を海外で販売して利益が出ると言うのであれば、それは画期的であるが。農家レストランもやるらしい。これは正しい選択である。こういうことは、情熱があれば成り立つ。小田原でも、可能なことだ。しかし、それで過疎化が止まり、耕作放棄地が減少するということには間違ってもならない。私なら都市との関係を生かして、違う解答を出す。例えば、養父市出身者の自給用農地の整備などどうだろうか。ふるさと離れて、故郷の思い出の田んぼや畑と繋がりを再生。最近このことを構想するが、すでに実践している地域が無いのだろうか。

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