ホルムアルデヒド問題
利根川水系の浄水場から国の基準値を超える濃度の化学物質ホルムアルデヒドが検出された。群馬県の廃棄物処理業者が川に流していたことが分かった。広い下流域で汚染が広がった。ホルムアルデヒドを生成する原因物質ヘキサメチレンテトラミンを高濃度に含む廃液は約60トンで、5月10日に化学メーカー「DOWAハイテック」(埼玉県本庄市)から群馬県の産廃業者に処理が委託された。産廃業者は、廃液について十分な説明を受けず、高崎市内の利根川支流の烏川に排出した可能性が高い。今回の事件ではいくつかの解決しなけばならない課題が見えてきた。飲料水の取水口が、川の河口付近にあるような仕組みは、早く止めた方がいい。河口取水口は砂の堆積や、砂浜の減少などの問題もあり、早く撤去した方がいい。上流部に産業廃棄物の処理施設を作ることも、禁止すべきことだ。汚水を流す施設が、飲料水の取水口より上にあるなど危険なことだ。
このDOWAハイテックでは9年前も同様の事件を起こしていた。その時も問題にはなったが、結局は何も対策が取られていない。多分今回もほとぼりが冷めるまで騒ぐに過ぎないだろう。理由は簡単である。対策が取れないのだ。似たような物質だけで100以上あるとされている。それをすべてどうチェックするかということである。実際には、企業も廃棄物業者も実態を知らない訳ではない。構うことはない、法に触れる訳でもない。今言われている、合法麻薬と同じことである。規制をかけるためには、チェック方法が無ければならない。その技術も、対策の費用も、そう言う部局も、人員にも、すべて限界がある。さらに新しい、合成化学物質はあらわれている。100を押さえたとしたなら、新しい1000が登場している。企業は価格競争である。負けたら何にもならないという追い込まれた中で、より安く製造しようとする。怪しげであっても背に腹は代えられない。
今回の事件は氷山の一角である。複合汚染のひとつだろう。ヘキサメチレンテトラミン自体は食品添加物に使われるというから恐ろしい。これが塩素と化学反応を起こしたというのだ。塩素というものはなかなか厄介なものだ。塩素自体はあらゆる所に存在する。別段珍しい元素ではない。ところが、塩素は化学兵器にも用いられるような毒性がある。しかも塩となれば身体に大切なものである。水道水に含めれる塩素が化学反応を起こし、発がん性のあるトリハロメタンを生成していると、よく言われている。水道水の場合、各家庭の蛇口で1リットル当たり0.1 mg以上の濃度を保つように規定されている。そもそも良い水なら、こんな問題はない。上流の下水処理場から流された、病原菌が、下流域の浄水場から混入して、病気を蔓延させたような事故も起きている。
子供の頃もそうだったし、山北でもそうだったが、何十年も塩素のない水を飲んでいた。本来、上水と下水を分ける位当たり前のことだが、こういう当然のことが軽んぜられている。田んぼの水でも、普通に家庭の下水が流し込まれる。ちょっと工夫すれば防げることなのに、このあたりがとても杜撰になっている。下水道の普及が言われるが、下水処理場が上流部にあるようでは、下流の暮らしは耐え難いものがある。そうして、塩素殺菌をせざる得ない水になる。塩素殺菌に変えて、オゾン殺菌にするという事もある。問題はこうした、訳のわからない産業廃棄物が、違法でもなく、上流の川に合法的に投棄されている。今回は業者が内容が分からず、一辺に流して数値が上がった。内容を廃棄物業者が知っていたら、徐々に流し基準値以下で判明しない。法で取り締まれないくらい、化学合成廃棄物が複雑化している。上流域での廃棄物処理の禁止である。
昨日の自給作業:アラオコシ8時間 累計時間:22時間