稲の苗の発芽について
昨日、苗代の種が発芽した。毎年、種については実験を重ねている。一年1回の事だから、遅々と進まないのだが、稲の種がどのように発芽して行くかということである。確かに、多くの農家の人にとって稲の苗は、箱苗になった。田植えが機械になったから、当然のことである。箱苗を作る技術は、良く整理されていて、機械植えに向いた稚苗である。葉が2,5ぐらいの苗である。一ミリ位の太さである。これはよく出来た技術体系があるようだが、自給農業とは別世界である。昔ながらの手植え苗の作り方を探求している。普通の農家の人には、意味のない技術であるが、自給的な農業をやる人には必要な技術だと考えている。もちろん直播でやるというのもある。これもいろいろやっては見たが、面白いのだが、実践的にという意味でもう一つであった。昔ながらの苗代をつくって、蒔いていたことも5年くらいはあった。しかし、苗取りの作業で行き詰まった。
その後2007年から始めたのが、288穴のセルトレーを使う方式である。反当たり50から80枚使う。まだ全体が完成している訳ではない。セルトレーを使う機械田植えの場合。多分1枚に1000近い穴のあるセルトレーを使う。この方法も、昔のような5葉期の分ゲツしたような苗を使う訳ではない。どうやれば、苗代で作るような5葉期苗を、合理的に作るかの研究である。良い稲作は、苗に始まると考えるからである。農の会の稲作は多様ではあるが、自然農法的に行われていて、収量的には周辺農家並みである。10俵を越える田んぼもあるのは、苗が良いということもある。どう違うかと言えば、ハウスで育てるような甘やかした苗にしない。自然環境の中で、厳しい環境に合わせながら生育する苗の方がいいと考えているからである。この厳しさは、すんなりした生育で停滞しないという矛盾したものである。
野生種の稲を考えると、稲は水位の増減する河原にある。寒い冬は渇き気味に地表にある。時には水没することもある。そして春温度が上がる頃には水位が上がってくる。そして、発芽する。この生理に合わせることがいいと思っている。水は初期は畑苗状態。そして発芽して一葉期になれば水やりの回数を増やす。3葉期になれば、周囲には水がある位になる。もう鳥の害も無くなるので、シートやカバーは外す。外気が10℃より下がらなくなっていることが望ましい。苗はこのころになると、つまり生育するに従って、寒気の影響を受けやすくなる。苗は根をセルの底穴から、苗床に伸ばす。その後は、セルの上まで水が来るようになる。根は苗床全体に広がり、切らなければ剥がせないようなものになるのが目標。今年苗土を改良した。この苗土で行けば、もしかしたら普通の苗箱でも5葉期の苗が出来るかもしれない。こう考えて実験している。
苗箱の底穴が大きなものを以前、ブログを読んだ岡山の方からいただいた。前回は失敗しているのだが、もう一度挑戦している。2葉期までハウスで生育させて、田んぼに持ち出す。底穴によってどの程度違ってくるか。種の播種量では違うか。60グラム蒔き程度かと考えている。それでも成功すれば、反30枚で済むことになる。土量を増やした、普通の野菜苗箱播種も試みている。こうした方法なら、後の洗う作業などもだいぶ楽になる。もちろん種まきも楽になる。すでにこの方法を試みている田んぼはある。しかし、苗の様子が今一つで、それがあと後まで影響している。苗床を代かきをして、セルトレーを並べた田んぼもある。広くない苗床なら、可能かもしれない。当然代かきをすれば密着性も良く、水平も採れるので望ましい。子供や女性が中に入り足を取られるという問題がある。来年こそ、実験の結果を生かして、良い苗作りをさらに深めて行きたい。
昨日の自給作業:夏野菜の25トレーへの種まき、島村インゲン、さくさく王子、マクワ瓜、おくら、麗夏とまと、夕顔、朝顔、2時間 累計時間:19時間