市民活動の範囲
あしがら農の会の活動とピースカフェの活動は市民活動だと考えている。農の会の活動を営利活動とし、ピースカフェを政治活動であるので、公共施設の利用禁止は当然という意見があった。農の会も、ピースカフェもサポートセンターを利用できるような団体ではないとしている。意外なことであったが、そう言う理解の人が案外にいるのかもしれない。この機会に少し市民活動の意味を考えてみる。農の会については、活動はホームページで公開し、会計も毎年県に報告しているNPO法人である。定款では、「主に足柄地域住民に対して、市民農の活動を中心にして、新規就農者の研修などに関する事業を行い、環境保全、経済活動の活性化、職業能力の開発、福祉の増進に寄与することを目的とする。」とある。野菜の宅配については、新規就農した農家が行って居るものであリ、農の会が直接行うものではない。
ピースカフェについてもすべてをホームページで公開していた。憲法9条を大切にする地域の暮らしを模索してゆく、月並で地域の通信を発行する組織であった。確かにこの活動を政治活動と言えば、言えなくはない。しかし、政治活動と政党活動や選挙活動とは違う。公共施設での政治や宗教の利用制限は、政党活動や選挙活動を意味している。ピースカフェのように憲法を大切にする政治的活動は、市民活動そのものである。公務員こそおこなうべき職務である。憲法前文においては、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」とされている。さらに憲法99条において、「公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」となっている。もし、平和憲法を大切にする市民活動を政治活動として禁止するとすれば、それは日本国憲法に違反することになる。
この点の判断は、現在指定管理者の組織がご都合主義で行ったのではなく、正式に市役所に文章で確認を行い、出た結論に従っている。公共施設の政治的利用の禁止の国会での確認では、「憲法に規定する信教、結社及び表現の自由が侵害されることのないよう配慮し、特定非営利活動の自主性を損なうことのないよう十分に注意して適正に行う」とされ、政治活動一般が禁止されるものでないことを国会審議で明確にしている。路上生活者の支援、川掃除の活動、久野の里地里山を守る活動、有機農業の里づくり、段ボールコンポストの配布、一見政治とは距離があるように見えるが、背景には政治的な判断が働いている。政治的な主張が時として必要になることは、どの活動でも起こりうることだ。
政治では地方自治が課題になっている。特に市と市民の協働の事業は、どこの地域も模索している所である。予算がいくらでもあるなら、公務員の数を増やし給与を上げ、市が直接行うことが出来る。しかし、ごみ問題一つ考えても、予算が削減されてゆくなかで、市民にごみ減量の努力をしてもらわなくてはならない。どうしても市民の協力体制が必要になる。市民協働の姿を、暇がある人のボランティアなど言われたら、全く心外である。市民が市の事業にかかわることで、行政職員だけでは進みにくい事業が、推進されるということがある。多くの市民の暮らしは、少なくとも公務員より厳しい。暇もお金もないが、やらなければならないし、やりたいから様々な市民活動にかかわっている。人間はお金だけで動いている訳ではない。それが分からない公務員では困る。