霜里農園の金子美登氏
小田原有機の里作り協議会のメンバー21人で小川町の金子美登さんの所を見学に行った。小川町がどのような経過で、町全体で有機農業に取り組むようになったかという所だった。私はまだ農業に入口でうろうろしていた時代。たぶん25年も前、窪川さんと2人で、就農場所を探して、いやそれほど明確でなく、窪川さんはかなり明確に、私は曖昧ままに、あちこちを歩いていた。その頃一度伺ったことがあった。二人ともめったにないくらい生意気な人間だった為もあって、金子さんがとても、とっつきにくい感じがした。今回こんな形で再訪することになるとは、ちょっと不思議な感じがした。最初に1時間ほど、小学校の分校跡のようなところで、金子さんの農業全般に及ぶ話を聞いた。この認識は有機農業を志す誰もが、考えている事だと思う。この時代に対する危機感と、不時着地点としての農業の位置。金子さんは自ら行う事でそのことを主張されているわけだが、農の会はそれを市民的に行おうとしているのだと思う。
下里小学校での話が終わってから、霜里農場の畑や、鶏や、牛を見せていただいた。畑が1.4ヘクタール田んぼが1.3ヘクタールだそうだ。周辺の農家が4反ぐらいのものだそうだから、地域では際立って大きな農家のようだ。町会議員もされているというので、何となく先祖伝来の場所で農業をされていると推測される。田んぼも見ていたから、おおよその作物や生き物の状態は理解できた。際立って農産物のレベルが高いとは思わなかった。エネルギーを含め、豊かな自給を基本とする農園の姿。この点では実に積極的で、薪のボイラーが、母屋にももう一棟にもそれぞれあった。ソラーシステムやバイオジーゼル。バイオガスと様々手がけていた。ベンツとフォルクスワーゲンがあったので、かなり機械好きなのかもしれない。鶏について言えば、あまり状態は良くなかった。見学させてもらって、問題点を指摘するなど立派な態度とはいえないが、キャベツや猫の方が大事なようだった。鶏好きなのでつい、その点だけは口が出てしまう。
野菜では一番興味が湧いたのは、キャベツ。現在かなり大きくなっている状態。夏中苗を育てたのだろうから。何故路地で、キャベツが青虫にたいしてやられていないのだろう。これはとても不思議だった。技術があると言う事だろう。研修生の方は虫を採っている訳でもないといわれていた。本来の土壌はあまり良いとは思えない、灰色の乾いたら硬くなりそうな土だ。そこに沢山の堆肥を入れている。堆肥の量は面積からいって、かなり多いいと思う。落ち葉堆肥も大量にあって、苗を作る時に使うといわれていた。苗はバイオガスを作るときの余剰の液肥に2回か4回だか、漬けると言われていた。バイオガスは鶏280羽で家族4人分といわれていた。直播も、苗も両方やられているようだった。若い男女の研修生を3人ほど見かけた。彼らが草取りをするのか、雑草は良く取り除かれていた。全体に程よく、当たり前に管理されている。
今回の案内はコーディネーターの高橋さんといわれる方が、午前中から合流してくれた。この方は都会から越して見えた方ご婦人で「生活工房 つばさ・ゆう」、を立ち上げている。小川町マップ作りからはじまったといわれていた。渡辺豆腐店、地元のお米を使った酒造会社。などを案内くださった。この方の活動がとても大きいと思った。販売についても実際の活動をされているようだし。エネルギーの自給についても活動を始めているようだ。農家が出来る事もあるし、市民的に出来る事もある。今回行政のかかわりは、あまりないらしいと言う事が分かった。むしろこの点は視察の目的がはずれてしまった訳だが。少数の人間の集まりが、日本全体にアピールするほどの活動になっている点は、興味深かった。間違いなく小田原の方が、全体の集積は大きい。何も世間にアピールする必要は無いが、これから農業の活性化に繋がるか、正念場になる。