焼土の苗土つくり

   

苗土作りは、有機農業を行う上で大変重要な要素になる。先日あった福井でのJAS法違反は、苗土への化学肥料の混入だった。苗に化学肥料が混入したぐらいたいしたことはない。そういう考え方もある。確かにその程度の化学肥料が、半年先のお米に残留する事は先ずない。そうした極端なこだわりは、こだわりすぎる消費者的発想で意味がない。ともいえる。しかし、苗を作るために化学肥料を使うことは、後々まで生育に影響するからだ。最初に甘やかしてしまうと、後から厳しくしても、苦労するばかりなのは、人間だけではない。私も買ってくるので、大きなことは言えないのだが、種苗店で売っている野菜苗。これは化学肥料で大きくしてある。当然の事でそれの方がはるかに楽できるからだ。見栄えもいいから、お店では売り安い。所が、これが畑では作りづらい。苦労しても実りがすくないという事がある。若い内の苦労は買ってでもしろ。とはよく言った。

種が、発芽する時の環境は、孟母三遷で、その後の作物の態勢を作る。なかなか厳しいぞ。頑張って肥料を吸わなければ生きていけないぞ。こう根の細胞が感じた方がいい。このために、初期の土は肥料は少ない方がいいと考える。しかし、少ないからと言って、なければ成長できない。根そのものの吸肥能力で頑張って、肥料を探して土深く根を伸ばす。根量を大きくする。これを可能にする苗土を作る。稲の種は発芽して、1,5葉までは種にある養分で生育する。根も2,5センチぐらいは伸びている。そこで、そろそろ肥料分が必要になるのではないか。植え替えをするか。少し伸びて、肥料分のある土に根が届く構造にしてやるか。

焼土は、田んぼの土で行った。大きなカマドに1畳の鉄板を載せそこで、湿った土を焼いた。1、土を70度まで上げる。当然ゆげがもうもうとでる。2、土を切り返す。3,10分程度焼き続ける。それで出来上がり。袋につめて、蓋をする。
雑草の種が死滅する事が一番の目的。苗土としては、これに、籾殻薫炭を加える。軽くする事と、ペーハー調整の役目。苗土の再発酵も抑えられる。病気の広がりも起こらない。朝9時前から、夕方5時まで、みっちり行った。久し振りの一日の外作業。たぶん重量で、25キロ袋で、30袋。として750キロぐらいの焼土を作った。これに体積で4分の1の籾殻を混ぜて、セルトレーに500枚ぐらいになる予定。これはやって見なければわからない、おおよその推量だ。

今回の仕事、買ったほうが安いという話が出ていた。苗土を買うのはともかく。赤土を買えばいいじゃないか。こういう意見はあった。正にその通りだ。何故そうしないか。いや、出来ないか。田んぼの循環と言う事がある。他所から、土を入れ続ける農法は嫌だ。そんな農法は永続性がない。とはいえるが、確かに、若干こだわり過ぎ発想である。出来る限り、自分でやりたいと言う気持ちじゃないだろうか。今まで苗床で作り、それが、苗とりで限界が来た。それでセルトレー方式がでてきた。その土はせめて、自分で作りたい。こう言う事じゃないか。初めから、安いというなら、お米を買うのが一番安い。外米を輸入して食べればいい。全く経済とは違う所で、稲作をしている。自給で暮らしたいと言う思想は、生き方の事だ。坊さんに、お金にならないから、座禅などしている場合ではない。と言った所で、次元が違う。と言いながら、実は、焚き火が好きでやっている。一日火が燃せて満足した。

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