お茶摘
いよいよお茶摘みの日が到来した。お茶摘は自給の活動の中でも、最も分かりやすい活動だと思っている。どんな初心者にも出来て、買うものより、必ずおいしくて、しかも格安に成る。お茶摘が農業の窓口に成ればいいと思っている。
この日のために、2ヶ月間ヤキモキした。2ヶ月前は、今年は桜が早いので、お茶摘も早くなると言うのが大方の予測だった。農業普及所今は、農業技術センターに変名か。ここが、早くなると言うのがそもそもの始まりだった。私には、早くなると言う予測が、全く信じられなかった。桜の早くなったのは、冬に突然慣れない寒さに当ったせいだ。早いような要因は何もない。
花の咲くのと、木の芽が吹くのとは、その仕組みが違うのだ。花というのは時に、12月に桜が咲いてしまったりする、狂う物なのだ。そもそも、木の花は狂っても大きな問題がない。それで、簡単に気温に反応するのだろう。しかし、木の芽の方は違う。早く出てしまい霜にでも当り、枯れてしまえば、木としては生命に係る大惨事だ。稲の種の発芽も今年は遅いかと言うとこれが、例年通りなのだ。なぜ稲の種に寒さの影響がすくなかったのか。これもまた面白いが、話が離れるので、ともかく、花、種、芽では寒さの影響も違うと言う点が大切だ。
では、お茶の新芽がおそ霜にやられるので、茶畑にファーンが着いているのをご存知だろう。あれで、風力発電を同時にやろうかと言うやつのことだ。ファーンは無駄な投資か。これには2つの原因があると見ている。一つは化学肥料の影響。時期が来れば人間の都合で、大量の肥料を入れるのが、茶畑。地下水の窒素汚染の大きな要因となっている。お茶はそれは大量に肥料をぶち込む作物なのだ。この肥料のお陰で、今年はまだまだ寒いぞと、予測して、寝ている新芽を、叩き起こしてしまうのだ。
もう一つが、品種改良。とにかく味優先だ。お茶のような嗜好品はおいしくなければ話にならない。次々に改良してきて、野生的な能力は、すっかり萎えているのだ。どこの生まれかも忘れたような、地に足の着かない生き物に改良、否改悪されたのだ。
本来野生の植物は自然を予測する。寒い年はいつまでも寝ている能力が備わっている。おそ霜がありそうな年は、いくら温かくなっても反応しないで、寝ているのだ。これが自然農法で育てたお茶の能力だ。だから、私達の、育てる自然のお茶はおそ霜にやられないのだ。他所様がやられたおそ霜の年もファーンなしで、乗り越えてきたのだ。今年は多くの農家が、おそ霜でやられている。5月4日の段階で、まだ殆ど工場にお茶が入ってこないそうだ。明日は来るよ。と言っていたが、それほどでもないようだ。予測に反して、例年よりかなり遅いのだ。
そうだ、遅いのだ。これで2ヶ月ヤキモキしたのだ。始め、昨年と同じく、8,9を予測していた。それをどこで聞いても、それでは遅い。と盛んに言うので、軟弱に5,8日に変更したのだ。やはり、8,9日が正解だったのだ。13,14日がむしろ正解だ。私達のように、多くの人に連絡して、150人も繰り出してやるお茶摘は、1ヶ月以上前に、日程を決めて、通知を出さなければ成らないのだ。
今年はいいお茶に成ると思う。最高の状態で、まるで品表会に出すような、すごいお茶になるに違いない。この点、そんな事はない、それなりに成長した、茶葉でないと、しっかりした味は出ない。こう考える人もいる。しかし、今までの経験では、早いほどおいしいのだ。手摘みはどうもそうしたものだ。但し、お茶摘みの手間は、ちょっと大変だ。折角のお茶だから、おいしいのが飲めると思って、今日は頑張るぞ。