のぼたんの新聞記事が掲載された。

   


  のぼたんの花が咲いた。八重山毎日新聞に記事に出来ないかお願いをした。幸い記事にしていただけた。御陰で毎日誰かしら見に来てくれている。一昨日見えたお孫さんとおばあさんは、昔畑の脇にあって懐かしくて、孫に頼んで見に来たと言うことだった。

 のぼたんを残すことが出来て本当に良かった。昨日の土曜日は10数名の方が見に来てくれた。懐かしいと皆さん言われる。石垣島の畑の脇や道沿いにはいくらでものぼたんがあったのだそうだ。それが今はほとんど見ることが出来なくなったそうだ。

 うりずんの季節を代表する花がのぼたんと月桃である。雨のよく似合う花だ。濡れ色に成って薄紫の色が一段と深くなる。のぼたん農園の群生地は整備を進めている。一回り歩いて回れるようにした。雨の季節の花だから、足下が悪いのでは見ることすら出来ない。

 のぼたんという名前ではあるが、牡丹とはまったく別物である。園芸品種の豪華な牡丹のそぼくな原種だからのぼたんと言うわけではない。のぼたんはノボタン科の植物である。牡丹はボタン科だ。牡丹とは似てもいない。

 ノボタンとして販売されている園芸種があるが、これは南米原産の近縁種の場合が多い。属が異るもののようだ。パフィオペデュラムとフラグミペデュームと同じような関係だ。パフィオが東南アジア産でフラグミが南米産。交配は可能である。同じに扱われているが、アジアのぼたんを改良して作られた園芸品種ではない。

 のぼたんは沖縄台湾中国の花である。日当たりの良い道ばたのどこにでも昔はあったものらしい。崎枝のお借りした畑で見るまでには、一度だけ、於茂登岳に青少年の家の登山で連れて行ってもらったときに見ただけである。あのときも雨に打たれて美しかった。

 この花の素朴な美しさは牡丹より数段上だ。大きさは7,8㎝ぐらいで5遍の花びらを平らに咲かせる。派手すぎない色合いは濃い者から白っぽいものまである。又葉の様子がとくに良い。小さな毛が密生して生えていて、しま模様がある。大きさは6~12㎝くらいだろう。

 花が終わればすぐに実に成る。実は熟したら食べられるそうだ。石垣でも昔は食べたそうだ。今度熟したら是非食べてみたい。そしてその種を蒔きたいと思っている。芽が出たら鉢植えにして、のぼたんを見に来た人に販売をしたい。

 姿はツツジによく似ている。葉が少し大きいと言うくらいで似たような1メートルほどの丸い形になる灌木である。昔の石垣島では群生地がいくらでもあったらしい。ところが今は見かけることも少なくない。別段弱い樹木ではない。畑を広げたり道を広げたりするのに、邪魔なので取り払われたことが多かったようだ。

 ただかなりの酸性土壌に生育すると言うことと、根には白い菌糸のようなものがまわっている。たぶん菌根菌を持つ植物ではないかと思われる。根は白く菌糸のようなものに覆われている。菌と共生しているので、移植には弱いのではないかる。水は好むようで日当たりが良く、水分がある土壌、しかも水が停滞しない傾斜地。

 まさにのぼたん農園にのぼたんが群生していたはずである。のぼたんの葉にはアレルギーをおこすとげがある。素肌でのぼたんにこすらない方が良いらしい。のぼたんの葉は間違っても水牛は食べない。だから、のぼたんの当たりで水牛を繋いでおくと、いつの間にかのぼたんだけがきれいに出現する。これがのぼたん農園の水牛との共生である。

 下の畑ののぼたんはほぼ雑草が取り払われ美しい。上の畑は水牛を繋いでいないので、のぼたんはあるのだが、ススキの中に埋もれている。ススキと余りに共生しているので、ススキを完全に取り払ってものぼたんは大丈夫なのかと思うほどである。

 新聞記事では人がいなければ絵にならないと言われて、私と車が這入るように写してくれた。うまいものだが、花にオジーでは様にならない。のぼたん農園の女性と子供に登場して貰う必要があった。たまたま私一人の時の取材だったので仕方がない。

 新聞に掲載をお願いしたのは、のぼたん農園を石垣島の皆さんに認知して貰いたいからだ。のぼたん農園は自給農業の体験農場である。のぼたん農園で自給技術を身につけて貰うための場所だ。石垣島でも農業者の老齢化と後継者不足は起きている。

 農地が放棄される前の今が、新規就農者を受け入れる最後の機会では無いか。幸い石垣島は人口減少が起きていない。石垣の若い人達は都会へ出て行くが、その分都会からの移住者が来て補っている。それで人口は5万人くらいの微増で収まっている。

 その都会からの移住者の中には自給農業希望者もいる。ところが、いままでの所その受け入れ先があまりなかった。それで折角石垣島に来ても、すぐに又離れてしまう人が多い。のぼたん農園は先ずは農業技術の研修場所であるが、自給農業を始める道筋も紹介して行きたいと考えている。

 自給農業の技術の継承の場所として、先ずは皆さんに知ってもらいたい。そのためにはのぼたんを利用させて貰おうと考えている。花は人を呼ぶ。大勢の人がのぼたん農園という、自給体験農場があると言うことを知ってくれれば、農地を借りることも出来るようになるだろう。

 移住者が農地を借りることが難しい。昨日は北部の方の活性化の仕事を役所でされている方もみえた。少し話をしたのだが、のぼたん農園が北部にあれば少しは役立てるのだが、ちょっと距離がある。

 北部で思うことは多良間田んぼである。その昔多良間島から何十件ものかたが、サバニと呼ばれる舟で石垣島まで渡り、出作りをしていたのだ。そのお米は上納するものである。上納が終わると8月踊りである。8月踊りは国指定重要無形民族文化財で ある。

 1600年代当時、重い税を課せられた宮古・八重山地方。税はお米で上納する。旧暦の7月までに農民たちが納め、翌8月に仲筋地区の土原ウガム゜、塩川地区のピィトゥマタウガム゜に完納の報告・次年の豊作祈願する。多良間島の人達は税の上納のために、石垣島まで出作りに来ていたのだ。 

 その重要な歴史的農業遺構である多良間田んぼ跡地が今は草地になっている。今はわずかに棚田の跡が残っている。今ならまだ復活が出来る。多良間田んぼを復活して、多良間島との交流の歴史を祭りのような形で再現したらどうだろうか。

 北部にはまだサバニが残っている。サバニでやってきて、お米を積んで帰って行く姿を再現したらどうだろうか。八重山の上納の歴史はとても重要な稲作農業遺産だと思う。竹富島から西表にで作りをしていた歴史もある。これをやろうという人がいれば、協力をさせて貰う。

Related Images:

 - 楽観農園