ガザ戦争で台湾侵攻は遠退いた。

アメリカが二つの戦争を抱えて、財政赤字が倍増している。ウクライナも、ガザもそう簡単に終わる戦争とは思えない。世界は戦争の時代が続くことになった。悲しい辛いことだが戦争を終わらせるためにやれることもない。今は耐えて、自分の暮らしをしっかりとさせなければならない。
台湾侵攻問題はこの二つの戦争とくらべると、アメリカの立ち位置が違う。アメリカにとってイスラエルとウクライナの戦争は、引くに引けない立場にある戦争だ。イスラエルはアメリカにとって半分位国内問題なのだ。アメリカ経済はユダヤ人の影響が強い。ウクライナはヨーロッパにとっては直接的な防衛戦になっている。
中国の皇帝習近平にしたら、何も台湾への軍事侵攻などしないでも、数年まつことでアメリカが力を失い始める可能性が出てきたのだ。孫氏の兵法である。「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」 習近平は戦い上手である。だから中国で皇帝になれたのだ。
アメリカが台湾にまで力を及ぼすことが出来ない状況が生まれつつある。日本の対アメリカの同盟国論議も変らざる得ない。未だこれが起きないことは日本の国防族の甘さである。これでトランプに変れば、間違いなく、台湾は守らないと言うだろう。トランプはお金を出さなければ、手を引くというに違いない。日米同盟には莫大なお金が必要になる。
当然台湾の世論も変る可能性が出てくる。平和交渉に基づきに台湾が香港化するかも知れない。こんな状況が生まれそうな時にわざわざ台湾進攻をするほど習近平は愚かなはずがない。日本の国防族は何しろ去年に台湾侵攻があると主張して、日本人を脅かし続けた。
しかも、まったくその予測がはずれたにもかかわらず、何の反省もなく、当然のように、今年中にはあるというような馬鹿なことをまた言っている。国防族と言いながら、発言が軽すぎる。明日にでも台湾侵攻があるかのように主張するのはいい加減に控えろ。
混乱の続いていた中国で、これほどの経済成長を成し遂げ、長期政権のを維持している習近平の能力は極めて高いとみるべきだ。一帯一路も大きな成果を上げている。その成果は日本から見ても、旨く便乗すれば、大きな経済効果のあることなのだ。ところが中国が良くなることを困るとするのが日本の政府である。
世界は独裁国家と民主主義国家の対立が鮮明になってきている。中国、ロシア、イラン、ミャンマー、カンボジア、北朝鮮、スーダン、シリア。思い出す範囲だが。独裁国の人口が世界の71%「55.6億人」 と言う数字がある。一方民主主義国家側は29%「23億人」に下がったそうだ。
年々独裁国側が多数派になり、民主主義陣営は押され気味なのだ。その理由は明瞭である。資本主義経済は終末期に入り、競争主義が独善主義を生み、悪い結果を出すようになった。一人が決める独裁政治の方が有利に働くという事だ。
それでも民主主義の方が個人の人権を尊重する意味で、優れた考え方ではあると言うことは忘れてはならない。末期資本主義の人間性を失った競争主義では、独裁政治が有利に働く。民主主義での本質は、人間を能力によっても差別しない思想だ。ところがこの平等の考え方が、資本主義の競争による努力効果を損なうと考える社会なのだろう。
中国は黙っていることで有利になる状況で、戦争など起すわけがない。これからの台湾の変化を見届けようとするだろう。台湾は半導体で世界をリードしている。もしこの力が中国側につけば、アメリカの世界一の大国はいよいよ終わると言うことになる。この台湾を中国が破壊するわけが無い。利用しようとするはずだ。
中国経済は確かに高度成長期を終わったが、アメリカや西欧諸国よりもまだまだ経済成長率が高い。上手く漁夫の利を歩み、中国は繰返しアメリカとの和解を提案している。アメリカの弱みを上手くついているともいえる。今アメリカは中国と対立している余裕がなくなった。中国と休戦できれば御の字である。
中国には13億人の中には教育の高い、良く働く向上心の強い人達が世界で一番多くいる。その上資源大国でもある。農業大国で食糧自給率も高い。まだまだ経済成長余地がある。その成長の限界に達して停滞したときには、戦争という選択も無いとは言えないが、現状では戦争をしなければならない事情は考えにくい。
日本で台湾進攻の戦争に備えろと叫ぶ人達の感覚は、中国という国の理解が足りないからだ。中国を自分の思い込みの強い頭で判断しても無駄だ。中国は黙っていれば有利に働くときに、戦いを選択するような愚かな国ではない。
アメリカが台湾まで手が回らなくなった時に、アメリカとの交渉に入る。それが正攻法である。過去にはアメリカが中国と突然国交を回復して、台湾を見限ったのだ。アメリカ人にとって台湾は、日本人にもそうなのだが、黄色人種に対して偏見が強い。アメリカにしてみれば、気持ちが通ずる同盟国と言うことでは無い。
このことはいつも考えておく必要がある。日本の右翼がアメリカ信者なのには驚く。一方では中国に飲み込まれるという恐怖で状況判断ができない。軍国主義者たちが、戦略的にあえて中国脅威を叫ぶのは、分かりやすいからまだマシなのだ。実際は今にも中国が攻めてくると信じさせられている人たちが日本人の多数派になってしまったことだ。
そういう人たちが、これは裏情報なのだけど、などと物知り顔で、中国脅威論をしゃべるのだ。何度も何度もここで中国の台湾進攻はないと書くのは、騙されている人が多すぎるからだ。特に石垣島では日米共同の軍事訓練が始まり、いかにも臨戦態勢の空気が出てきた。
そして、戦争の避難訓練が始まっている。こうなると人間変わり始める。台湾進攻はないなどと書けば、非国民と言われかねない日もそう遠くないかも知れない。非国民大いに結構。拷問を受けたらすぐに転向する弱虫ではあるが、言える間は書き続ける。
このブログが中国との友好を書かなくなったら、拷問を受けて転向したか、金をもらって偏向したという事だ。中国は素晴らしい国だ。問題は皇帝になった習近平独裁である。毛沢東の時代は疲弊した中国を立ち直らせるために独裁が必要だったのだが、今は状況が違う。
中国がこれ以上良くなるためには、民主主義を取り入れることになるはずだ。しかし、習近平の舵取りは極めて難しいところにきている。商売の天才
鄧小平、黒い頭の猫もネズミを捕ればよい猫だ。そう言って経済を活性化した。しかし、習近平は汚職撲滅と言って、対抗馬をすべて消した。
習近平がもし民主主義的な政治を上手く取り入れることが出来れば、アメリカを追い越し、国民全体の生活水準も上がり、経済大国になるはずだ。今その難しい分かれ道にきているのだろう。習近平は毛沢東がやったことではなく、願った方角を考えなければダメだ。