テレワークの仕事場で、ブログを書いた。

南足柄市の駅前に、ベルミ3という再開発ビルがある。大雄山駅前は再開発し一変している。成功したものか失敗したものか。しなければもっと衰退していたのか。どこの地方都市も難しいところに来ている。人口が減少してゆく中でのことだから、自然に従えば、商業は衰えるのだろう。
そのベルミ3のなかに、ベルミは駅の周りに3棟あるのだ。コワーキングスペース「ヴェルミminami」という施設がある。共同仕事場南足柄ということのようだ。大きなダイソウがあってその奥にある。協働仕事場に興味があることもあり、Wi-Fiが使えないので出かけてみた。
大雄山はなかなか趣の深い町だった。再開発される前の街は団塊世代であれば懐かしくて、グッとくるような街だった。レコード屋さんがあって、そこで買い物をしたことがある。そこお店には妙に派手な奥さんがいて、突然「あんた学校の先生でしょう。」というのだ。
当てられたということより、初めての人に職業を突然叫ぶ人に驚いてしまった。「何故分かるかって、私は占い師なの。」レコード屋さんで人相見も営業していたのだろうか。私が教師だと見た人は初めてだった。でも案外そんな風体だったのだろう。
「あんたなかなかいいよ。」運勢がいいということらしいのだ。料金を払わなかったので、この先どんな運勢が待っているのかはわからなかったが。こうして元気でブログを書いていられるというのは、運勢は良かったようだ。これであんた危ないよ。などと言われたら困る。元気に絵を描いているのは何よりだ。
そもそもこの田舎町にと言っても、富士フィルムがあるから企業城下町ではある。レコード屋さんがあることが不思議だったので何度か入ってしまった。再開発になりあのレコード屋さんもなくなった。きれいな街になり失われるものがある。あの失われたものは、レコード屋さんの派手な占い師だけだろうか。何かが消えてゆくのが人生だ。
ベルミ3の向かいには桃太郎という焼肉屋さんがある。今でも大繁盛である。なかなか良い雰囲気の店だ。安くておいしかった。あのお店も再開発後にできたのだろうか。生レバーが禁止になるだいぶ前のことだと思う。生レバーがうまいから食ってみろと言われた。いやだと断った。
生肉は危険だから食わない方がいいと考えていた。大丈夫だから食べてみろと、何度も親切のつもりで言われた。あの桃太郎のお兄さんも人間らしく生きていた。店が昭和レトロで統一している。昭和的なお兄さんでいいのだが、まさか昭和生まれではない。
そう、このコワーキング施設も不思議なところだった。私がいる間誰も来なかった。そのはずである。何しろ無人施設でアプリを持たないと、入れないのだ。どうやってそのアプリを探すのかが分からない。やっとそのアプリにたどり着いても、全く使いずらい。一度中に入ると、トイレに行きたいからと言って、ドアを開けることができない。
なんとかチェックアウトボタンの小さいほうを押すとドアが現れる。これは表示がなければたどり着けないで、お漏らしになる。大きい方を間違って押せば、そこで清算されるからまずいはずだ。この複雑怪奇な方式でやれるはずがない。年寄りには登録するといってもなかなか厄介なことだ。若い人なら何でもないのかもしれないが。
そして私は帰る時どうすればいいのかと、思って心配していた。いろいろ教えてくれた、ビルの管理組合の方が5時半になったら現れて、自分はこれで帰るから、勝手に帰っていい。何なら泊まってゆけと冗談まで言う。今日は初めてだし、登録が出来ていないから、無料でいいと言われた。
有難いことに無料でいいのかと思い、6時半まで作業をして家に帰った。そして家に帰って朝パソコンが直り見てみると、チェックアウトがなかったので、9時までいたことで清算しました。というメールが来ていた。1500円という事だった。何か話がおかしいのだが、まあいいか。今でも南足柄には人間が暮らしている。
ともかく人が来ている様子が感じられないが、人が来ないので仕事がやりやすい。一人で作業させてもらうには申し訳ないように広くてきれいだ。パソコンも置いてあるから、使ってもいいのだろう。またネットの速度がすごく早い。照明もいいし、個室まである。
一番有難いのが、駐車場が無料になる点だ。このやりかたも教わらなければ難しいのだが、入り口でもらった駐車券を部屋まで持ってきて、駐車券を入れるボックスがあり、そこに入れる。すると帰るまで無料になる。これは有難い。しかし、ここの駐車場はダイソーで100円ジュースを買えば、2時間無料券がもらえる。これ走る人ぞ知る裏技だ。
なぜ、南足柄迄来たかといえば、懐かしかっただけではない。家のネット環境が壊れたのだ。よく壊れるのだ。理由はわからないが、小田原に4回来て1回は壊れている。私が管理しているのではない。黒柳さんに便乗させてもらっているだけなので、なんかなあと思いながら、ありがたく使わせてもらっている。
今回この文章を書いているのも、そのコワークスペースである。家で書けないので仕方がなく来たのだが、これが案外よい場所で、4時間も作業させてもらった。ブログも書いているが、疲れもしない。なにしろ、家に戻ればネット環境がないのだから仕方がない。しかし、家に帰り寝たと思ったら、お隣さんから電話があり、今治ったという事だった。何という事か。文章を書き直した。
こーしたワークスペースができたのは、コロナでリモートワークが広がったからだろう。南足柄で暮らして、東京の会社のリモートワーク。悪くないだろう。南足柄や夕日の日本一美しい街だ。生活するには素晴らしい場所である。しかし、リモートワークもだんだん減ってきたようだからあまり人がいないのか。
慣れればこのコワーキングスペースはさっぱりしていて、仕事のしやすいいい場所だと思う。やり方次第ではいろいろ広がりそうだ。団体利用で一日使って、3000円というのだ。個人であれば、1か月1万円。団体ならば2万円だそうだ。ただ団体という意味が分かりにくい。農の会で団体登録できるのだろうか。
好きなだけ仕事をしていってくださいという話だったが、9時までの料金が取られたので、終わりは9時までという事のようだ。今度またWi-Fiが壊れていた時にはゆく場所が見つかった。駐車ができてパソコン作業が出来れば、ファミレスなどより長時間居られていい。
山北の山の中で開墾生活で暮していたころの思い出が、大雄山にはある。山北から南足柄まで行くにはまるで旅行のような時間がかかった。それでも私は小田原に出るよりも、南足柄に行く方が好きだった。買い物というよりたまの街歩きが楽しかった。
山北駅まで歩いて降りて、御殿場線で松田まで出る。松田からバスで30分かけて南足柄へ出る。2時間もかけて出かけたのだ。山中の開拓小屋から、街に出るという感じが良かった。そして小さな町をぶらついて、帰るだけのことだったが。
園部さんという優しいお嬢さんがいてドイツに行かれたケーキ屋さんがあって、その小さな喫茶店でいつもコーヒーを飲んだ。やはり再開発で店を作り直したはずだが、今どうされているのだろうか。