生物多様性条約

生物多様性条約がある。持続可能な地球を永続するためには、生物多様性が不可欠だ考え、作られた国際条約である。この条約に一番お金を出しているのが日本だそうだ。重要な考えではあるのだろうが、実際的には地球環境という複雑な絡み合いの中で、様々な方向があり、生物の多様性を守ることはそう単純なことではない。
生物の環境は経済成長のために破壊され続けている。世界中が高度成長して、人口が増加している以上、生物はどんどん滅び続けている。そして、一部の生物だけが異常繁殖をする状況になっている。日本でも特定外来植物の除去活動が続いている。
コロナ流行で盛んに言われたことだが、経済が停止すれば、人間は生きていけないと言うことである。生きていけないとなれば、自然環境どころではなくなる。そして、3年が経過して、コロナと妥協する道が選ばれた。すべてに経済を止めてはならないと言うことが、現実世界の選択になる。
止まることのない経済発展の道は、地球環境の破壊を伴う物だ。人類がより快適な暮らしを求めて輩出するCO₂のために気候が変動し始めた。地球の環境変化は限界を超えて、急激に気候の劇症化進んでいる。世界中が問題にはしているが、有効な手段があるとしても、経済が優先だ。
それに伴い、毎年何千種の生物が絶滅し続けている。恐竜絶滅の時代に次いで2回目と言うことだそうだ。こうして人間が滅び行くという姿に見えてくる。今はそれも受け入れて生きるほか無いような気になっている。まあ、私が生きている間はなんともつだろう。
もちろん気候変動だけではなく、もっと直接的に、農薬や化学肥料を使う食料生産に伴い、多くの生き物が絶滅している。特にネオニコチノイド系農薬は、ミツバチの深刻な消滅状況を作り出しているが、日本政府はそれを危険な物として使用の禁止にはしていない。
殺虫剤という物は昆虫をころすための物だ。土壌中の残留性が強く、地下水にも混入し、水を汚染してゆく。必要悪ぐらいに考えていたら、とんでもないことになる。ミツバチが居なくなればその影響を受ける植物の連鎖的消滅が予測される。
一方でネオニコチノイド農薬の登場で、農業は大きな恩恵を受けている。今に至っては一切の禁止をすることで、たぶん相当の餓死者が出現するはずである。農薬と化学肥料の御陰で、世界の人口増加はかろうじて支えられている現状も無視できない。
もし農薬と化学肥料がなければ、これほどの人口増加は起きなかったはずだ。安定期に入った国の人口減少の傾向は、人間という生き物の本能的な感受性なのだろう。もう危うい時代が近づいていると思えば、子孫を残そうなどと考えるはずも無い。
身近なことで言えば、沖縄にはハブが居る。ハブに噛まれて死ぬ人もいる。果たしてハブは居ない方が良い生き物なのだろうか。生物多様性から言えば、ハブだっていた方が良いに決まっている。ここが難しいところで、コロナのような病原菌はいた方が良いのだろうか。たぶん居ない方が良いのだろう。
コロナを造り出すというのは生物多様性に貢献しているのだろうか。そんなはずがない。ただ、そうした病原菌が登場する原因も、畜産のひどい飼育に原因がある。ミンク養殖の劣悪な環境がコロナを生んだ可能性が強い。人間にも感染を始めた、鳥インフルエンザも養豚と養鶏から来ている。
畜産の多頭飼いが限界を超えているのだ。それも経済合理性からそう言う病原菌の変異が始まる。これらの判断は個人的見解だが、それを野性の世界に人間が近づきすぎたことだけの理由にしているのは、大型畜産を禁止したくないがためだ。
ハブはいても良いかもしれないが、コロナ菌は絶滅した方が良い。この辺の線引きはどこにあるのだろうか。のぼたん農園ではネズミの食害で非常に困っている。このネズミを殺して良いのかどうかと言うことがある。ハブはこのネズミを食べるために増えているようだ。
良い生き物の調和の中に、人間がどう折り合いよく割り込めるのか。これはもう哲学の問題かも知れない。あるいは宗教の問題なのかも知れない。どちらが良いというような善悪の付けようのないことではないか。どの道を選ぶかしかない。拝金主義者は大嫌いだが、環境原理主義者も好かない。
ネズミが増えてきたと言うことは、今度はハブが増えてくるはずである。ハブが増えれば、農作業は難しいことにも成る。特に子供の作業には不安がある。人間が生きてゆくのはなかなかやっかいで、自然の中に人間の暮らしを織り込むことがなかなか難しい。
人間の暮らしが肥大化して、地球の永続性を損ない始めているのだろう。人間が豊かに暮らすと言うことが、地球の多様性を維持することと、反比例している。人間は寒ければ、暖房と言うことになる。暑ければ冷房だ。その普通のことが地球を損ない始めている。
WWFと言う組織がある。石垣市のユニマットリゾート開発計画の反対に協力してくれている。名蔵アンパルの生物多様性が失われるということをいわれている。名蔵アンパルはラムサール条約に締結されている湿地である。石垣島の希少生物がさまざま生活するところだ。
特にカンムリワシという石垣島の固有種は100羽しか居ないとされている。特別天然記念物に指定された生き物が暮らす湿地である。この湿地で今年は営巣が見られなかったと聞いた。カンムリワシもいつまで石垣島に生きていられるのか微妙なところである。
その大切な残さなければならない名蔵アンパルの上部にゴルフリゾートが出来て、下の干潟が干上がるほどの水を汲み上げるというのだ。この事業は市が後押しをしている。そもそも畜産団地を公共事業で作ったという農振農用地を、転用して作る計画なのだ。あってはいけないような、信じがたい事業なのだ。
ゴルフをするなら島の北部にゴルフ場を作ればいい。場所が悪すぎる。前回の暴挙の自衛隊のミサイル基地建設も、石垣市の水源の山である於茂登岳の中腹に作ったのだ。さすがに場所が悪すぎる。もしミサイル基地から、ピーフォスのような化学物質が流れ出たら、石垣のお米が汚染されて人体に入る。
石垣島では、自衛隊基地の場所の選定、ゴルフリゾートの場所の選定、どうも所有者への配慮が見える気がするがそんなことはないのか。狭い島での政治のように見える。そうした恩恵を振りまく市長が良い市長で、すでに3選である。石垣市の生物多様性どころではないのだ。
批判していても始まらない。溜め池のある農業の場所を石垣島の各地に広げてゆきたい。農薬化学肥料を使わない、水面を広げてゆきたいのだ。まず10カ所ぐらいが目標である。こうした水面が50カ所ぐらいになれば、生き物の居場所のネットワーク化が出来る。
昆虫でも3キロぐらいは飛べるものが多いから、何とか多様性が維持できるのではないかと期待している。やりたいことが色々出てくる。時間が足りない。