フジテレビ問題
2025/04/24

フジテレビ問題は全く肝心の所がずれた取り扱いなので、話題沸騰ではあるが無視してきた。しかし、あまりに興味本位に扱われていて、テレビによる一億総白痴が起きているという、問題の核心を誰も扱わないので腹が立ってきた。
テレビが報道番組までエンターテインメント化した罪は深い。フジテレビは「面白くなければテレビじゃない」が、日枝会長の思想とされている。そしてテレビ界を制覇する勢いであった。つまりフジテレビという悪貨が競争するテレビ各社をだめにしていったのだ。
面白くなければいけないという思想がおかしいのだ。テレビは面白い必要など全くない。テレビは見る人を健全で、知性ある人間に育むものであってほしい。待たそうあるべきだったのだ。テレビは何もかもを興味本位のものにしてしまい、本質を隠して生きたのだ。
政治問題でも、ウクライナ戦争でもテレビは面白そうな取り上げ方をしている。そうだろう、面白くないものはテレビではないのだ。しかし、あの国民民主党の減税の主張など、あれこれ解説していたが、財政再建との関連を深く掘り下げたものはあっただろうか。税金は安いほどよいと言うことではない。
正直、テレビで見るのはニュースと天気予報とNHKの連ドラである。しかし、今回の連ドラ糸島ものは見るのも不愉快で、最初の数回以外は見ていない。糸島は好きな場所なのに残念だ。つまらないだけでなく、腹を立てて止めた。だから、このところテレビはまずほとんど見ないことになった。
では何を見ているかといえば、ユーチューブである。YouTubeで将棋を見ているか。あるいはスポーツ中継を見るかである。今なら王将戦第3局。頭の中で、一日目終了図面が浮かんでくる。藤井7冠の封じ手をつい考えている。後手番で新手を出して、永瀬挑戦者の構想をそらした。
将棋は実にいい。面白いだけではない。だからフジテレビでは将棋はやらないのだ。頭の深そうな所に素晴らしい刺激がある。人と将棋を指したことは30年以上ないが、YouTubeの将棋はよく見ている。特にアユムの解説付きがいい。アユムという人は元奨励会にいた人らしい。
コンピュータの将棋ソフトを利用して、指し手を分析してくれる。ディープランニングというものが、どういう力量があるのか、またその弱点も何となく理解してきた。AI革命が何を起こすかはユーチューブ将棋で学んだようなものだ。他の人の将棋番組も見るが、またその解説の違いも面白い。
プロの将棋指しの解説もあるが、それよりも将棋ユーチューバーの解説の方が、将棋ソフトを駆使して研究しているから、手の読みの奥が深い。人間の思考の特徴もこういう中から見えてきた。将棋ソフトは10手先の奇想天外な人間には考えにくい一手を、最善手を前提にして、次の手を予測する。
所がその10手先の最善手を人間が指せないとすると、次の一手の最善手は全く違うものになる。コンピュータを利用したアユムさんのような解説がない限り、その一手の深い読みの魅力はわからないわけだ。将棋の一手などどうでもいいとはいえるが、深く深く次の展開を考えてみるのだ。
何か脳髄を絞りきって出てくる読みの発想に出くわしたときに、実に深い感動に浸る。絵を描くときは全く考えないで、描くことに没頭している。没頭していて、突然霧が晴れるように天国に到着している。どうやってこの絵を描いたかと言うことも不明である。そうなったとしか言い様がない。
この喜びが人間の喜びなのだと思う。いい絵が出来るかどうかと言うことより、自分の肉体が絵を描く道具になり、ある世界観を描ききることが出来れば、こんなに愉快なことはない。まさに絵を描くことの醍醐味がここになるのだと思う。受け手から、発露する脳髄の絞り方。
この醍醐味はユーチューブの将棋以外では味わえないものだと思う。テレビを見ながら脳髄を絞る。だから、テレビの将棋中継よりも興味深いのだ。昼間テレビの将棋中継を見ていることはない。眠れないときに仕方がなく見るのにちょうどいいと言う範囲のことだ。
テレビでは、アユムさんの将棋解説はあり得ないだろう。あまりにマニアックなものになる。1万人が見るくらいではテレビでは成り立たない。YouTubeがちょうどいい位のものだ。好きな時間に好きに見て、どうでもいい箇所は飛ばして見れる。
アユムさんは多分ユーチューバーで生計を立てているのだと思う。棋譜の権利に対してお金を払って、番組を作っていると言われている。その意味ではテレビ局と何も代わらない存在だ。ユチューバーといわれる個人の発信の方が、個別性の時代には適合する。もう人間を一億ではくくれない。
もうテレビの時代は終わっていると言うことを説明したくて、アユムさんの将棋YouTubeのことを書いた。テレビにはまっとうな世論形成力が失われている。これからは1億人いれば、一億種類の映像が作られる。個別性の方が意味を持つようになる。
マイコス菌のことを調べるので、様々なYouTube番組を探した。数々の実践例が流されている。玉石混交で、大半はつまらないものだ。よくもまあこんなにつまらない実践例を放映できるかと驚くものばかりだ。マイコス菌の一番知りたい点は発見できなかった。
マイコス菌は自然界にあるものを発見したものなのか。あるいは何らかの形で人為的に作り出した微生物なのかである。5つの微生物の混合と言うことはYouTube番組で出てきた。正しいかどうかは判断できないが、ないとはいえない。EM菌は結局の所、実態がわからないが、比嘉氏に新種の微生物を想像する力はないと思う。
もし、マイコス菌に人為的に変異した微生物が混ざっていた場合、自然界を変えてしまわないかという不安がある。アメリカで作られたマイコス菌は乾燥地対策と言うことらしい。アメリカの農業は地下水をくみ上げる農業である。この電気代がいらなくなれば大変な恩恵である。しかし、人工微生物を自然界に放出する安全性はどう確保するのだろうか。
フジテレビ問題から、話はYouTube番組に飛躍してしまったが、テレビは面白くなければ、視聴率がとれない。テレビ局はお金がなければ回らないから、くだらない番組に劣化していった。見る人も劣化したから、さらに低俗になっていった。大宅壮一さんの予測通りだったわけだ。
テレビは面白いだけではだめだったのだ。批判精神を喪失したことが劣化の原因である。大衆の顔色をうかがい迎合するだけになった。それがお笑い芸人ばかりのテレビになったのだろう。お笑い芸人とアイドルの報道番組では情けない限りである。