睡蓮の増殖の仕方

      2025/04/24


 溜め池は4つある。このところ草刈りを続けて3つまで整備をした。1番溜め池と2番溜め池は睡蓮が水面を半分以上覆っている。熱帯睡蓮のティナである。溜め池の縁にはヒカゲヘゴが4本ある。最初一本だったのだが、苗を下地さんにもらい3本植えたのだ。この南国らしい姿が実に美しいものだ。

 干川さんから、サガリバナの苗を8本もらい植えた。いつか大きくなって、田んぼにサガリバナの赤い花が流れるのが楽しみなのだ。バナナは青木さんと彩花さんがくれて3株育っている。一番よく実るバナナである。風が当たりにくいのでいいのだと思う。

 ため池は一つ30㎡ほどの小さなものだ。深さは1m位である。何もなかったところ田んぼを作るために福仲先生が、構築したものだ。その作り方は実に見事なもので、年限をかけて徐々に広げて深くしてきたものだ。土手はドロドロの土と、乾いた土を交互に積み重ねて作り上げた。最初は1mだったが今は2mある。

 ため池の睡蓮は毎日みごとな花を咲かせてくれている。熱帯睡蓮のティナは一年中花が咲くのだ。ブルーと呼ばれるのだが、桃色に近いブルーだ。この鮮やかな花で田んぼを引き立ててくれている。花の大きさは15センチくらいある。


アカウキクサが前面を覆ったところ。

 それが20輪30輪と咲くのだから、なかなか見事な物だ。特に一段低くなっている一番田んぼからの目線は水面の高さになる。水面ぎりぎりの高さから見る、睡蓮池が水面に映る色を含めて一番見事なのだ。モネは池の脇に低い睡蓮池を描く溝を掘っている。

 睡蓮のない場所はアカウキクサとミズオオバコとミズワラビである。この3種は絶滅危惧種である。ここで保存維持が出来ればと考えている。どれも昔は九州から関西地方当たりまでには、至る所あった物のようだ。水辺がなくなり、田んぼが土の畦に変わり、そして除草剤で決定的に失われた。

 最近溜め池からオタマジャクシや水生昆虫が居なくなった。去年の今頃はオタマジャクシがウヨウヨ、うじゃうじゃ居たのだ。今年はほとんど見ない。理由はオオウナギがため池に歩いて来たのだ。1Mはある奴が泳いでいるのを見た。これが何でも食べてしまうのだと思われる。



 水生昆虫の宝庫としての価値は失われた。オオウナギは餌がなくなればまたどこかに移動して行くらしい。どうも雨の日に陸をウニョウニョ移動するらしい。スッポンも2匹は居たのだが、これも最近は見なくなった。オオウナギはスッポンを食べてしまうらしい。

 そもそも水生昆虫の研究者はこの睡蓮やらアカウキクサを問題視していた。水面が覆われると水生昆虫は居なくなると言うことだった。居なくなって何がいけないのだと思っていた。花が咲き乱れた池の方が私には遙かに魅力的なのだ。水面が覆われることによって生きる事のできる生物も居るはずだ。何が大切かは人によって違うことになる。

 熱帯睡蓮の種類の仲には、大きな葉の中央に生まれてくる「ムカゴ」から小さな次の世代を増殖する品種がある。のぼたん農園のため池にある、熱帯睡蓮の「ティナ」を観察していて気付いたことだ。池の底の株の根元から出てくる子供の株もあるのだが、葉の中央から現われる子株の数の方が多い。


草刈り前の2番ため池

 これは睡蓮の株が大きくなったために昨年あたりから始まったことだ。株がまだ小さかった頃にはなかった現象である。大きなはの中央に何か塊があるとびっくりしたのだ。徐々にそれが育ち、睡蓮の子供になったときにはその意外性についついみんなに伝えた。

 葉の中央から出てくるものをムカゴと呼び、熱帯睡蓮の品種によってはムカゴを作り増殖するものがあるらしい。ということはわかっていた。しかしムカゴだから山芋のムカゴのようだろうと考えていた。全く違っていた。まさか葉の中央にムカゴが出来るとは考えていなかったのだ。

 オニユリなども葉の付け根にムカゴを付ける。ムカゴはいわば栄養繁殖の一種のことのようだ。脇芽が肥大化して、次の増殖に繋がることをムカゴと言うようだ。一般的には山芋のムカゴを食用にするので、ムカゴと言えば山芋やユリを連想していた。
 

 「植物の栄養繁殖器官の一つで、わき芽が養分を貯え肥大化した部分のこと。主として地上部に生じるものをいい、葉腋や花序に形成され、離脱後に新たな植物体となる。葉が肉質となることにより形成される鱗芽と、茎が肥大化して形成された肉芽とに分けられる。」と説明があった。

 葉から出てきたムカゴが徐々に生長して、睡蓮の形になる。下から白い根が出てくると、親株の葉は黄ばみとろけてくる。すると葉の長い茎もとろけて失われ、子株は親株をはまれて水面を漂うようになる。そして水中に根を伸ばし、どこかの水底に根を伸ばし活着することになる。

 これで何故睡蓮が下の溜め池に広がったのかの理由が分った。大雨が降りオーバーフローした水に流されて、下の溜め池にたどり着いたのだ。今度この睡蓮を、C放牧地の水牛池。水牛の飲み水のバスタブ、そして9番田芋の水田に浮かべてみた。どこが一番成長するかを見たい。



 この増殖方法だといくらでも熱帯睡蓮は、簡単に増殖できる。増えた株をのぼたん農園のお土産にしたらどうだろうか。簡単に増えるのだから手がかからない。それはまた、ミズオオバコも同じことになる。ミズオオバコは絶滅危惧種ではあるが、増やすどころか、水田雑草として勝手に増えている。

 もう一つある、アカウキクサである。これもどんどん増えて行く。増えて水面を覆う。ただどういうときに増えて、どういうときに消えるのかがわからない。冬のはずの1月に一番ため池はアカウキクサが広がっている。1万端も徐々に増えてきている。
 アカウキクサは共生する藻が窒素を固定するという。この窒素を利用する稲作りが、ベトナムでは古い時代からあったという。日本で行われた稲作実験でも穂肥をアカウキクサで補えることが示されている。今年こそアカウキクサを大いに利用しようと考えている。

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