ロシアのウクライナ侵略後の世界

   



 ロシアは世界の平和を大きく後退させた。帝国主義の確信犯国家である。この殺戮行為は誰からも裁かれることは無い。本来であれば国連がこの違法行為を取り締まるべきだ。残念ながら国連にはその力は無い。国連の常任理事国のロシアが戦争犯罪を犯したのだ。

 この侵略戦争を境に世界は変わる。新しい対立軸が明確に出来たのだ。中国とロシアを中心としたグループとアメリカとヨーロッパを中心にしたグループである。日本はアメリカと同盟国であり、東にはあるが西側諸国の一員と言うことになる。

 中国の姿勢はこのウクライナ侵略によって、反西欧社会という姿勢を明確にした。ロシア、中国という古い形の帝国主義国家の反自由主義国家のグループと言うことも言える。中国はロシアを利用し従える立場に立つのだろう。ロシアは中国に依存しなければ成立できない国になった。そしてその中間に位置する、トルコやインドのような国もある。

 韓国のように中国よりを強めていた国は、今後立ち位置が問われることになるだろう。今後経済戦争が厳しく続いていく。ロシアと中国の連携にたいして、どこまで中間に位置する国が関われるかという、緊張が生まれるだろう。日本はロシアの天然ガス開発にどのように関われるのかは、難しい選択になるのだろう。

 今回のロシアの侵略戦争を見ると、ロシアは思ったより弱かったと言うことだ。陸続きの隣の国を突然侵略して、勝てない程度の能力だったと言うことになる。このことを露呈してしまったことは、ロシアの国際社会での立場は失われたとも言える。ウクライナにはたいした軍事力は無いようだ。それでも泥縄式に欧米諸国が軍事物資の支援を行った。最先端武器を供与された市民兵組織のようなウクライナ軍にキーウでは跳ね返された。

 東部地域ではロシア軍が優勢である。やはりこの地域は親ロシア勢力が存在すると言うことなのだろう。侵略戦争ではすべての民衆が敵であれば、簡単には占領など出来ないと言う事がみえた。戦争は結局の所沖縄の地上戦のように沖縄の人は4人に一人が死んだという殲滅作戦になる。

 今後東部地域で戦闘が続くことだろう。そして、膠着状態になり、停戦協定が成立する。これはロシアが侵略する前より、親ロシア地域が拡大されたと言うことになるのだろう。しかし、大きな現状変更はない結果になる。

 ロシアと中国への経済制裁は相当な期間続いて行く。特に中国の今後の姿勢で世界経済は大きく影響を受けることになる。さらに深刻な経済の停滞期になるだろう。特に、エネルギーと食糧を海外に依存している日本は経済への影響が大きくなる。中国がどの程度中間派の国を引き込めるかが鍵となる。

 世界はウクライナの二の舞が台湾で起きないような戦略を組むことになるだろう。台湾への中国の軍事侵攻は当面無くなったと見てよい。中国にしても、侵略戦争を行えば、どのような困難が待っているのかは、目の当たりにしたことだろう。

 ロシアが経済的に行き詰まるところまで追い込まれる必要がある。これほど一理も無い犯罪行為を行った国は、制裁を受けなければならない。ロシア人自身がプーチンを支持した責任をそれぞれの痛みとして受け取らなければならない。悪い事をして、得をするという結果のままというわけにはいかない。

 そのことが、中国の覇権主義を抑えることにもなる。世界は明確に台湾支持を打ち出す必要がある。自由と民主主義の正義を守る必要がある。専制的政治よりも良いものとして、ロシアや中国に見せなければならない。そのことでいつか中国やロシアが、民主主義の国に変わるように進んでゆかせる必要がある。

 プーチンの狂気だと見る向きもあったが、現状でも国民の支持が70%を越えていると報道されている。もしこれが正しい情報であれば、ロシアという国柄にあるおかしな正義が存在すると考えるほか無い。歪んだ国なのだ。お隣の兄弟国というウクライナの子供達まで殺している戦争を支持している国民の異常さは恐怖である。
 
 ロシア人すべてが狂っているわけでは無いだろうが。ロシア人全体が追い詰められ、心理的におかしくなっている。NATOへのウクライナの加盟が、NATOのさらなる東への進出が、ロシア人を追い詰めると言われても、日本人には実感できないことになる。戦争をしなければならないほどのことだろうか。

 「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」 これがアベ氏のプーチンとの会談後に語った言葉だ。確かにアベ氏はロシアと同じ武力主義者だ。軍事力に頼る国はよその国の軍事力が脅威に見えるのだろう。今こそ愚か者アベ氏は自分のロシア観を語るべきだ。

 日本でも中国を一番恐れていたのが、石原慎太郎である。アベ氏もその類いだ。武力を持たないでは安心できない弱さがあるのだろう。本当に強い人間は平和の力を信じることが出来る人間だ。ウクライナは防衛的武力しか無かったが充分強かった。問題は日本人一人一人にウクライナの人達ほど、国を守る力意識があるのかだろう。

 日本は西側諸国の側に立つ国だ。だから、ロシアの主張しているNATOの脅威論が見えないのかもしれない。北方4島を返せないのは、あそこに米軍基地を出来れば、ロ
シアの危機になるとプーチンは言っていた。その意味の深刻さをアベ氏は理解できていたのだろうか。日本人全体が深刻には理解できなかったといえる。

 もしそうではないというなら、なぜアベ氏は今語らないのだ。アベ氏は世界情勢をどのように見ていて、ロシアと関わったのか。ウクライナに侵攻したロシアに対してどんな意見があるのだ。プーチンの友人として言って見ろと言いたい。言えないだろう。西側諸国から、経済封鎖されている中で、日本だけが接近すればロシアを何とか出来ると考えたずるい抜け駆けだったのだ。

 この愚かさは恥ずかしくなるくらいだ。ロシアはそんなあまい国では無かったのだ。相手を分からなかったらば、平和交渉など出来ない。中国の習近平政権のことも、本気で研究しているのかが問題だ。ただ、仮想敵国にして日本の軍備を強化するという相手に課変わらずの反応では、関係が悪化するばかりだ。

 ウクライナの首都キエフはロシア語表記だから、ウクライナ語のキーウとかわったらしい。ロシアはキーウ攻撃を断念して、東方方面に軍を展開している。ロシアはウクライナが生物化学兵器を使用していると主張している。これは自分たちが使うことをごまかそうと言うこととしか思えない。東方方面にいる親ロシアの人々もその犠牲になるのだろうか。

 今回のロシアの侵略戦争で、世界は変わる。経済は停滞に入る。日本は厳しい状況を迎えるだろう。それぞれが覚悟をして、暮らして備えて行く必要がある。スガ前総理大臣が言っていたように、自助の覚悟である。それぞれが自分の暮らしを国に依存すること無く確立する。国には何も出来ないの覚悟をするほかない。

 どのみちいつか日本人の暮らしは厳しい状況にまで行くはずだった。その日が早まったとみなければならない。老人はまだ良いが、若い人達はこの厳しい方角の中でそれぞれの生き方を見付けなければならない。自給の生き方も一つの参考になるに違いない。

 のぼたん農園では自給の生活のモデルを作り出す。次の時代の生き方の一つの選択肢になるように、提案して行きたい。みんなの力と知恵を集めて、なんとしても実現しなければならないことが、ますます身近に感じられるようになった。
 

 - Peace Cafe