機械小屋の建設

   

 のぼたん農園には機械小屋を作る計画がある。この機械小屋は小さなライスセンターの機能を持つようにしたいと考えている。最終的には販売もふくめてである。石垣島で有機農業を始める人が、共同でこの機械小屋を管理して行ければと考えている。

 機械小屋の建設に関しては、石垣市の農業委員会や建設課や村づくり課、あるいは県土木の建築班には農道の使用許可や建設確認に関して相談に行き、建設は可能と言うことだった。それでもまだ実際に届けてみないとまだ分からないところはあると思っている。以前の経験ではそれほど簡単ではないという気がしている。 

 地主さんの国仲さんは大いにやって欲しいと快諾してくれた。これは有り難いことだった。この機械小屋が未来の石垣島の為の、みんなの小さなイネ作りに役立って貰いたい。石垣島にはコイン精米機が無い。小田原には10以上あるだろうか。精米機が営業として成り立っているのだ。

 私が石垣島でコイン精米機商売を始めたいぐらいだが、今はそれどころでは無い。何故農協のゆらていく市場に置かないのかが不思議なくらいだ。農協が精米して販売しているからいらないと考えているのだろう。農家から直接玄米を買う人が増えることを恐れているのかも知れない。

 籾すり精米機方式の機械を置けば、必ず需要はあるはずだ。石垣島でも昔は各集落に精米所があったという話は聞いている。JAの稲作部会は守りの気持ちにあるのかも知れない。守りでいれば、遠からず稲作は衰退をする。それが沖縄本島の姿だ。石垣島の伝統文化に繋がる、よりどころである米作りは何があっても消しては成らない。

 たぶん小田原に水車小屋の精米所があったと言うことと同じことになるのだろう。多く農家がお米を作り、親戚などを中心にそれを分けて食べていたのだろう。それを保米缶にもみ保存していて、取り出して食べていたに違いない。籾保存なら一年問題が起きないからだ。

 ところが稲作農家数は減少して、残った農家は大型化していった。そしてほぼ全員が農協のライスセンター出荷になった。その流れで、地域にあった精米所は無くなった。こうして、農協に出荷しない小さな農家は、お米を作ってもそれを脱穀も出来ないし、精米も出来ないと言う事になった。

 今田んぼをやられている農家で農協に出さない人は滅多にいない。いるとすれば、昔から稲作を行ってきて籾すり機や精米機を持たれている方と言うことになる。そうした方が、機械を使わせてくれているのかも知れない。それでも新しく小さいイネ作りを始めようという人は難しいことになる。

 今後の石垣島の稲作の変化を考えると2つの方向が考えられる。大規模化して自分でお米の販売力も持つような大きな農業法人。米穀店が農業法人を作り経営しているところが2つある。逆に経営を考えない小さな第3種兼業農家である。いくらかそういう農家が存在するが、自給のためのイネ作りは私の他には知らない。自給にいくらか販売を加えるような形に二分されてゆくのではないだろうか。

 自給のための小さなイネ作りが新しく生まれないと、石垣島の水田稲作は縮小されてゆく可能性が高い。大規模農業法人は条件の悪い場所は取り組まないだろう。農協へのお米の出荷価格は徐々に下がっている。逆に生産コストはかなり上がっている。石垣島の場合水を水利組合から購入して行う水田がほとんどである。農協に出すのでは利益が出ないという状態は遠からず来る。もう来ているという話も聞いている。

 大きいにしても、小さいにしても、自分で販売力を持つ農家で無ければ、生き残れないと言うことになる。もし新規就農者が現われないとなれば、石垣島の稲作はさらに減少してゆく。石垣市行政の方針でも水田を維持してゆくという政策はほとんど無いように見える。
 
 新規就農を希望して石垣島に来る人はいないわけでは無い。一年に数人は現実に来ている。しかし、水田を始める人はほとんどいなかったようだ。始めても、維持することが難しすぎるのだ。その難しさを増しているのが、稲作機械である。

 そもそも稲作農家を始めるには2000万円が必要と言われている。どのような職種でも新規に事業を始めるには資金は必要だ。稲作農家を始めるに辺り、最低限の機械をそろえ、機械小屋を持つためにはかなりの費用が必要になる。

 しかし、ほとんどの機械は小さな農家が個別に所有する必要は無いものだ。極端に言えば、アパート暮らしでも小さなイネ作り農家が可能でなければおかしいのだ。やりたいという気持ちがありさえすれば始められる。その条件を作る必要がある。

 それがのぼたん農園の機械小屋の役割だと思っている。有機農業で新規就農を希望する人がいれば、その体験をして貰い、先ずは体力と技術を身につけて貰う。そして石垣島で就農をする。その就農の手助けをするためには、機械小屋が必要になる。とれたお米を一次的に置いておくところも必要になる。

 機械で一番の問題は必ず壊れると言うことだ。壊れないような使い方といっても、どうしても壊れる。直せなければ機械は使えない。壊れた都度農機具屋さんにお願いしていたのでは、費用が馬鹿高いものになる。壊さないような使い方。壊れたら自分で直せる技
術。この確立である。

 機械整備の知識を学んでゆかなければならない。機械の整備技術の講習も行う必要がある。幸い、石垣島には機械に詳しい方が沢山おられる。福仲先生や干川さんは農業機械の専門家と言えるほどの知識がある。その知識を学ぶ場も必要になる。原さんも詳しい。

 のぼたん農園の機械小屋はそうした機械講習会の場所にも成りたい。そういう考えで機械小屋の計画を進めているのだが、なかなか進まない。お願いした会社が、見積もりを一ヶ月以上しても出してくれない。仕方がないので他の方にもお願いした。

 ヨドコウの沖縄強風仕様の農業用倉庫は一応可能なようだ。シャッターの仕様になっている。これがどう考えても問題である。シャッターは風には弱い。前面がすべてシャッターではもろに風を受けて吹き抜けてしまうはずだ。そこはどうにかして補強できるのだろうか。

 販売をしている、木田商会では石垣の風では無理なので、これは販売出来ないと言われるのだ。ではどうすれば良いのだろうか。また振り出しに戻り、鉄工所で作ってくれるところを探すほか無いのか。その場合設計の方はどうなるのだろう。

 農業用倉庫の設計と言うことに成ると、設計事務所ではなかなかやってくれない。建設業者の中で、そ言う仕事を専門にやるところを探すほか無いのかも知れない。なかなか先が見ない状態が続いている。

 それでも、予定地の整地だけは始めた。できるだけ広い平ら地を作る。そしてコンクリート舗装する。広い土間があれば作物を干したり、様々な仕事に便利である。できれば、6月末までには機械小屋を作るつもりだったのだが、このままでは少し無理になってきている。

 

 - 楽観農園