100歳を生きるための免疫

   



 コロナの流行で免疫が話題になっている。福島原子力発電所の崩壊の際も免疫が注目された。鳥インフルエンザの流行の際も免疫が問題だった。問題が起こるたびに、古くて新しい着目点として、免疫のことが話題になる。

 人間の身体は細胞で出来ているが、その細胞の数よりも多いと言われる微生物と共生して、人体は出来ている。自分であって自分だけで無い人間の身体。だからこそ、病原菌やウイルスに対して、免疫機能が働くということで、生命は維持されている。

 コロナに感染しても、アメリカ大陸やヨーロッパの人より、アジアの人の方が死亡率が低い。何かが作用している。若い人であれば、普通の風邪と変わらない。老人は重症化して死亡してしまう。これも何か理由があるはずだ。

 自然養鶏をやってきたので、発酵と酵素と言うことを鶏の餌から考えるようになった。健康に鶏を飼うためには三つのことが重要である。1,豊かな自然環境のかなでの放し飼い。2,二つの醗酵飼料を組み合わせた飼料3,自家鶏種、自家育雛。ーーー詳しくは「発酵利用の自然養鶏」を参照

 この養鶏の基本は江戸時代以来の鶏の飼い方の再現である。そして、鳥インフルエンザが蔓延したときに、ますます、自然養鶏の重要性を確信するようになった。ところが政府は小さな養鶏場を辞めさせて、管理の行き届いたと言われる大規模な工場養鶏だけに集約させようとした。

 こうした、理不尽で、科学性を無視した政府の政策と周辺住民の白眼視に、やる気を無くしてしまった。その頃から、自然養鶏から自給のためのイネ作りに関心を変えていった。自然養鶏の意味がコロナパンディミックの時代にいくつか重要な観点があると改めて考えるようになった。

 免疫のことである。日本では10万人当たりの死者数は少ない。東アジアの国では同様の傾向が見られる。そのことをファクターXとして理由が推理されてきた。そして、二つの要素があげられている。一つがBCGの予防注射。もう一つがコロナウイルスの交差免疫。

 自然養鶏では自然環境で様々な病気に感染させながら、免疫力を高めて行くという考え方である。自然環境と遮断させて、殺菌しながらの工場養鶏とは逆の行き方である。病気になることをあえて避けない。生き残った鶏で継続して行く養鶏である。

 自然を観察した結果考えたことである。シベリアの白鳥は高病原性鳥インフルエンザに感染している。しかし、そのことで白鳥が居なくなるわけでは無い。それを克服してきたから、何百万年も種として生きて来れたのだ。死ぬものが居たからこそ、生き残った鳥がインフルエンザを克服できたのだ。

 自然界に生きる生き物はすべて同じである。ワクチンがあるわけでも、特効薬があるわけでも無いが、人類よりも長く生存を維持している種が大半である。どの生き物も生存のための巧みな仕組みを確立しているのだ。ところが、人間は実にひ弱で、弱い生き物になってきている。

 それは自然淘汰の仕組みが外されたことにある。たとえ未熟児で生まれたとしても、何とか保育箱の中で生きることが出来る。様々疾患があるとしても、命を全うすることが出来る。その生活は衛生的と言われる、自然とは遮断された空間で行われる。

 汚いはきれい。きれいは汚い。衛生的であるはずの環境がひ弱な免疫力の無い人間を生み出している。ひと昔前であれば、泥だらけの子供達が野山で遊んでいた。幼児死亡率ははるかに高かった。しかし、生き残った子供はある意味強健に育った。

 昔の方が様々な病原菌やウイルスに感染して居る確率が高い。交差免疫が備わっている可能性がある。たぶん、交差免疫を獲得しているのはコロナだけでは無いだろう。そうして獲得した、自然免疫はワクチンによる人工免疫とは違うと考えられる。

 特定のウイルスの弱毒化した人工免疫は、その抗体の残存期間が短く、他の同類のウイルスに対する交差免疫の効果も弱いと考えられる。なぜ、BCGによる抗体が長く残存して、コロナに対しても効果があるのかについては、不明なことだ。ここには又別の仕組みがあるように見える。

 コロナに感染しにくい人間に成れると言うことである。コロナに感染しても、重病化しにくい人間に成れると言うことである。免疫力を高めればコロナを克服できる。コロナだけでは無い、次に表われる新型ウイルスを最乗越える事ができる。

 実際に老人がコロナに感染したとしても重症化する人は少数派である。基礎疾患が無い人であっても、あっけなく死んでしまう人もいれば、コロナウイルスに感染しても発病もしない老人もいる。濃厚接触しても感染する人としない人がいる。こうした人間による違いは免疫によるものと考えられる。

 免疫作用は人間の身体の中に微生物が侵入することで生まれる作用である。害のある病原菌やウイルスから身体を守るための作用を行う。その仕組みは多様なようであるし、複雑なようで、未だすべてが解明されたと言うことでも無い。

 100歳まで生きるためには免疫力を高める必要がある。免疫力を高めるためにはそう難しいことがあるわけではない。思いつくまま、10点あげてみる。

 1,楽しく充実して生きる。2,適度な運動をする。3,小食で多様なものを食べる。4,よく眠る。5,身体を暖める。6,新陳代謝をよくする。7,病原菌やウイルスとは安全な範囲で接触をする。8,発酵食品を食べる。9,筋肉を付ける。10,適度なストレスの中で生活する。

 以上は生活の中で実戦してきたことである。これが正しいかどうかは私が100歳まで生きたときのことである。健康法と言っても様々である。体質やそれまでの生活履歴にもよるのだろう。あくまで私の場合である。他の人に当てはまるかどうかの限りではない。

 さらに具体的に10点書いておけば
1,朝4時には起きる。2,夜は8時前には寝る。3,一日朝と昼の二食。4,動禅を1時間行う。5,絵を描く。6,発酵食品を食べる。7,サウナに入る。8,酒をいくらか飲む。9,嫌いなことはやらない。10,笑って暮らす。

 これこそ、100歳まで生きたときにのみ、参考にして貰わなければならない。
 

 

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