水彩人展 水彩表現の美しい細部の数々

   

 水彩画には掌中の宝というような、陶酔させられるような美しさがある。現在開催中の、水彩人展の作品の中の、これぞ水彩表現という、作品の細部を並べさせてもらう。是非とも、この美しさを東京都美術館まで探しに来てほしい。



























 並べさせてもらったものは、ほんのその一部である。写真では残念なことに、水彩の持つ魅力の半分くらいしか、出ていない。紙に描かれた、染み込んでゆくような、滲んでゆくような、自然と人為の境に生まれた偶然の産物のような美しさ。ほかの素材にはないものだ。

 残念なことに私の絵にはそういうものはない。昔は色が美しいだけの絵だといわれたこともあった。今は、どういうことだろうか。私の絵にはこのような美しい細部はない。殺しているのだと思う。何故なのか水彩人展で作品を見ながら考えてみようと思う。

 色彩の美しさは天賦の才だといわれる。色の魔術師と言われたボナールの細部はまるで宝石のようである。あの色の美しさは大作よりも、むしろ10号ぐらいの絵で輝く。素晴らしい水彩画もある。

 こうした水彩画の美しさは絵画を制作しようとすると、邪魔をするときもある。というような言い訳も考えてみた。まあ、これは悔し紛れの理屈に過ぎない。天性である。いつかまた天から降ってくるかもしれない。それまで待つことにする。水彩人展に参加して感謝している。


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