丸ごとみかん味噌

   

麹造りの様子。まごのりさんの圃場で今年はやらせていただいている。素晴らしい雰囲気である。明るい林の中での味噌づくり。今日はこれから味噌の仕込みである。

味噌づくりの日には持ち寄り料理が行われる。出来れば味噌料理という言ことになっている。皆さんなかなかの工夫した料理を持ち寄ってくれるので、毎年感心する。私も新しい料理に挑戦する。今年は30年味噌づくりをして、過去一番の味噌になっているので、その味噌を生かしたいと思っている。3年味噌である。3年前に仕込んだ味噌が今丁度良い熟成になった。こんな時間のたった味噌は嫌いな人もいるのだが、静かに熟成を進めた味噌の味が好きだ。味噌もそれぞれの好みがあるから、どれがいいという事はないが、古味噌の味は子供のころから、酸っぱくなった味噌を食べていたせいだと思う。お寺では味噌は毎年仕込んであるのだが、やはり作り過ぎることがよくあったのだろう。いつも酸っぱくなっていた。酸っぱいからと言って捨てるようなことはないから、酸っぱい味噌がなんとなく向昌院の味噌の味という事だった気がする。おばあさんが味噌を仕込むようなことはとても好きで、新しい味噌を開けるときの嬉しそうだった様子を思い出す。

古めの発酵の進んだ味噌はどちらかと言えば煮込んで味が良くなる。火を入れ過ぎたら味噌の風味がなくなるなどと、調理人の人が言っているが、私には理解しがたい。即製の味噌を使っているのではないか。味噌もいろいろなのだ。売られている味噌の大半はそもそも私には味噌というようなものである。味噌とまでは言えない代物だと思っている。丸大豆味噌というような但し書きが味噌にあったりする。一体四角い大豆があるのかと言いたくなる。大豆の粉を味噌風味にしたようなものを味噌と呼んでいるのではないか。良い発酵をした味噌は煮込んでその風味を増すものだと思う。少なくとも私の家の味噌は煮込んで味が出る。味噌汁に出汁など不要である。味噌だけで十分のコクがある。などというのも手前味噌ならではの主張か。これはあくまで私の好みで、他の人には通用はしない。今年の味噌が美味しいのは、麹造りの成功にあると思っている。

20日に麹の仕込みを行い。27日が味噌の仕込みである。今年は麹を仕込んでから、千葉の方の有機の給食の見学に行った。少し手抜きになって、麹が今ひとつかもしれない。温度管理的にはうまく行ったのだが、手入れをしないで進んだ。温度が36度ぐらいまでで推移したので、ついつい手入れをしないで、手抜きをした。見た目それなりの出来だが、もう一つ発酵が深く進んでいないように見える。やはり温度が上がらなくとも手入れはした方が良いのだろうか。と言っても味噌づくりも今年を最後にしようと思っている。作った味噌を小田原に於いて置く訳だから、運ぶだけで大変なことだ。みんなでやる味噌づくりも楽しいから、まだやめるとまでの決意は出来ていないのだが。

酒粕味噌を作った。

酒粕を日本酒でクリーム状に延ばして、そこに味噌を加えたもの。日本酒とお湯でトロトロにする。そこに味噌を加えてゆく。酒粕の新鮮なものをたまたま頂いた。いすみ市の木戸泉酒造を見学に行った。この酒造会社は日本酒の古酒に力を入れている。日本酒は新酒のものだと思っていたのだが、目からうろこである。古い文献にも古酒の良さが書かれていると言われていた。古酒を作るにはその製造法で、お酒が参加されない手法が必要という事だった。55度の高温でお酒を仕込むのだそうだ。この高温での製造で保存料無しで、40年古酒が出来ていると言われていた。まったく驚きである。酒粕を頂いた。これを使った味噌料理と思い、酒粕味噌と作ってみた。焼きおにぎり、パンに塗ってトースト。

丸ごとみかん味噌

丸ごとみかんのマーマレードを作り、そこに味噌を加えたもの。丸ごとみかんは眼に良いので、何にでも使いたい。マーマレードづくりは普通でいいのだが、みかんの皮も含めて細かく刻む。それに火を入れてゆく。皮がとろけるまで煮詰める。砂糖は控えめで十分甘くなる。みかんだけだから、そのマーマレードで食べるには少し物足りない味かと思う。そこに味噌を加えて、あまじょっぱい舐め味噌を作る。これは案外にご飯に合う。

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