自国主義の広がり
トランプ氏がアメリカの大統領になりそうだ。その時日米同盟はどうなるのだろう。核保有をしろと言われて日本はするのだろうか。世界中で自国主義が大手を振って主張を始めている。イギリスではブリテンファーストという極右団体が、EU離脱を主張したそうだ。自国主義と右翼は同根なのか。そしてイギリスは2年後のEUを抜けると決まった。その背景にあると思われるものは、激増する移民や難民にある。世界の貧困と格差の広がり。イギリスでは東欧からの労働者の流入が問題らしい。シリアを中心にしてイスラム諸国の政情不安からくる難民。イスラム国の暴力主義のエスカレート。またそこに複雑に介入する、世界の大国。国家間の経済格差の拡大も今後さらに広がる。各国の国内での格差も広がる。階級社会の固定化が見え始めている。国際競争に勝利することだけが、自国の経済を安定させる道だという事になっている。TPPはアメリカの一人勝ちになるだろう。自由な競争であると言いながらも、国家の潜在能力を超えることは出来ない。そして国家を超えた大企業との関係が見えない。
イスラム社会の混乱の原因は、石油資源であろう。石油資源がたまたま存在した国が、勝者になり、富裕層が存在する。自由な能力競争の前に、資源による格差が立ちはだかる、絶望的な構造。そこに石油資源の利権をめぐり、経済大国と石油企業の力学が働く。そして、その圧倒的な序列を決めていた石油が揺らぎ始めた。脱石油の時代が視野に入ってきた。大きな動揺が渦巻き始めている。その混沌の中で、暴力主義が広がる。難民は増大し、ヨーロッパへの避難が起こっている。ヨーロッパ各国とも大量に押し寄せる難民に苦慮するなか、自国主義の台頭が起きる。難民とヨーロッパ各国の伝統的な社会の軋轢。移民労働力によって支えられるヨーロッパ社会の現実と同時に、安定化した保守的な階層社会に動揺が起き始めているのだろう。そして、自国主義の台頭となる。
自民党の保守主義は、日本という国柄をどのように考えているのだろうか。果たして、保守主義と言えるような、守るべき日本が根底にあるのかが疑問。農業分野に外国人労働者を入れることには、反対である。食糧自給は国家の基本だからである。外国人労働者で維持される食糧は輸入食料と同じことだ。しかし、現実には不法就労者として、着々と外国人労働者が農業分野に増加している。政府は国際競争力のある農業を目指し、大企業の農業参入の前提として、すでに、外国人労働者を受け入れる方針のように見える。アベ政権の日本主義はちぐはぐで理解しがたいものだ。日本の保守主義者は、外国人労働者を、国際競争に勝つために必要としている。アベ政権は、保守主義者というより、企業主義者と呼んだ方が良いのではないか。一体自民党憲法草案が明治憲法を目指すとするなら、それは失敗した日本主義ではないのか。
なりふり構わず、利己的に生きる国家では、世界はたちまち戦争に陥るだろう。自国主義という意味では、農業は自国主義でなければならない。プランテーション農業のアメリカが何故自国主義を主張できるのだろうか。単なる利己主義なのではないか。農業は自給主義が根底になければならない。自給は個人で始まり、地域での自給、そして国での自給で終わる。それが健全な社会であり、健全な国家である。日本の国柄が瑞穂の国だったという歴史。イスラム圏が石油という国際商品によって、本来の国柄が失われ、イスラム教がゆがんでしまったのだろう。日本も、世界企業という国を超えた利害を求める存在によって、国柄が不安定になり始めている。一見日本主義者に見えた、アベ政権は実は大企業政権そのものだった。日本の国を守るよりも、明らかに企業の利害に動かされている。そしてそれが日本全体の利益にいつかなるなのだと、弁解ばかり叫んでいる。