水彩画の戒め

   

絵を描くとき気おつけて置こうというので、壁に貼ってある紙がある。注意をすべきことが頭をよぎる。よぎるけれども忘れて違う事をしている。これではだめだと思い、注意すべきことを、気づいたら紙に目ををして張っておくことにした。その時々の気持ちを書いては張ってあったので、よく分からなくなった。そこで、まとめて置こうとして書いている。2012年9月29日の日付があるのが今張ってある紙だ。3,4回は更新されたのだと思う。日付けからすると水彩人研究会のために書いたものだ。このころはほとんど絵を描いて居なかったはずだ。

1、描く前に何を描くかを決める。

2、描く手順とか、方法を捨てる。

3、描いたこともないものを目指す。

4、真正面から、素朴に取り組む

5、自分の内部の声に耳を澄ませ従う。

6、上手に描こうとしない。下手を良い。

7、絵は自分を超えることは出来ない。

8、技術は災いする。

9、何処で始まり、何処で終わるかわからない。

10、見ているものを描く。

最近どうも考えているものが変わったので張り替えようと思い新たに書いてみた。新たに思いついたメモが溜まったのだ。絵を描くことは流されて気分になる。気分になるのが嫌なので、描いて張っておくのだ。張ってあるのは様々あって、目の前の障子は張り紙だらけである。大切なものをすぐ無くすので、目の前に張ってあるのだ。絵の個展の案内状など、すべて張ってある。ほとんど見には行けないのだが、張ってある。終わるとはがすのだが、どこか寂しい。

更新した10か条である。

1、絵は描きたい時にだけ描く。

2、絵は結論は出ない。

3、上手そうに描くのは、恥ずかしいことだ。

4、下手そうに描くのは、もっと恥ずかしいことだ。

5、見えていないものは描くことができない。

6、見えているものの奥のその場を作っているものを描く。

7、描いていて楽しくないなら止める。

8、絵は写すものではなく、置き換えるものだ。

9、絵は描き継ぐところから大切なものが生まれる。

10、これで最後だと思って描く。

最近思っていることを10か条にしてみると、変わったようだ。変わっていないところもある。しかし、以前より不明瞭と言えばいえる。まあ、いえる。

絵が良くなっているのかは気にしなくなった。絵を描いて生きていることが楽しい。絵を描くことがやっと面白くなってきた。今まではどこか修業的な気分で描いていた。苦しいところがあった。最近は面白いからだけで描いて居る。絵を描く面白さが少しでもわかったことが有難い。長いこと絵を描いてきたことになるが、ここ5年間は覚悟をさせられたようだ。原発事故以来、文明というものへ疑念がわいたままでいる。人類は進歩して、少しずつましになっているとはいいがたい、と痛感した。人類はダメなものだと思う。少しの楽を少しの贅沢をしたい、些細な事の為に、大切なものを捨ててしまう。失ってはならないものを捨てようとしている。残念なことだ。もう取返しもつかないことだろう。せめて自分勝手に絵を描いて楽しめればと思っている。

 

 

 

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