田んぼ穂揃い期の管理
写真はすべて8月12日早朝のもの。中央の2枚の田んぼは穂揃いになっている。手前はまだ出穂より少し前段階。湧き水で耕作している水が冷たい田んぼ。
今年の稲作は早く進んでいる。例年より、5日は早いのではないだろうか。8月8日を今年の出穂の日に決める。田んぼが棚田で繋がっているので、50%~60%穂が出た時期の判断が全体ではなかなか難しい。8月8日にはすでに9番では穂揃いに近い。しかし、3番などはまだ走り穂状態である。そこで、出穂期はあまり厳密に考えないで、全体で決めている。そして、出穂から1週ほどで穂揃いになるが、今の調子で行けば15日くらいか。天候が急速に悪化して、病気が心配の状態になっている。高温のこの時期の雨続きは稲の病気には危険信号である。何とかしのいでほしい。オロオロ祈るばかりだ。稲の病気はお天気次第だ。いかにも病気の出そうな株でも、好天が続けば何とかなる。雨続きとなれば、病気は全く出そうにもない株でも病気になる。窒素過多だと病気が出るとよく言われるのだが、土壌の状態が悪いと病気が出るという感じの方が強い。湿度があると病気が出ると言われているが、田んぼを乾かし気味にした方が、病気は出やすいような気もする。ともかく健全な生育を目指す。
追肥をした8番田んぼ。穂はこの時期は見えているが、もう少しするとすべて止葉の下に隠れる。奥の黒い色の田んぼが、12番の喜寿糯の田んぼ。現在、走り穂段階。
この時期の健全な稲の姿は、大きな止葉が出て、大きな穂が出ている状態だろう。穂は掌より大きく。止葉は肘までより長く。あちこち触りながら確認している。良い状態だと稲に癒される。穂が揃い、稲は障害で一番の大量の水を消費しながら、稲穂を重くしてゆく。垂直に立ち上がる止葉の立ち上がり方が着目点。太陽を突き刺すような強さで、天を指し示していなければならない。この時期垂れ下がるようなことはまずはない。葉の幅が20ミリあれば良い。葉はゴワゴワと硬くなければならない。止葉が充分であれば、少々の下葉枯れが来ても影響はない。根は田面全面を覆いつくし、白い糸状な状態である。水はどんどん吸い上げている。この時期の水がどのようなものであるかが大切になる。溶存酸素が豊富な生きた水であってほしい。という事は水温はある程度低い方が良い。夜は20度以下になってもらいたいが、それも難しい。水を温め手田んぼを作るという考えは切り替える必要がある。そして土壌には窒素分がなければならない。
先日の測定結果によると、欠ノ上田んぼでは入水の窒素より、排水の窒素の方が低かった。稲穂が出て今一番窒素の要求が高くなっているという事だろう。反対にリンの吸収がなかったのは、もうこの時期はリンは吸わない時期になっていたという事では無かろうか。稲の生育の段階が穂づくりに変わったという気がする。田んぼの水の変化で追肥の時期を決めるという事が可能かもしれない。子の神田んぼではリンの吸収がまだされていたのは、一段階前状態だからではなかろうか。今後の観察課題だ。穂肥を与えた、8番田んぼの穂の姿が他と比べて見事になってきた。背の高さも他とは変化がない。やはり穂肥を行う事には有機農業でも効果があることが見えてきた。同時に穂肥が倒伏には関係しないという事もわかった。問題はどの時期に与えるかである。有機農業では速効性の肥料という訳にはいかない。有機稲作では葉色で見れば窒素過多に見えるが、実はそうとは言い切れない。葉色の割に窒素不足に陥っていることもある。
写真に見える縞のある田んぼが苗代の田んぼ。その上がお隣の慣行農法の田んぼ。色の違いがはっきりとしている。
苗床の葉色が濃い場所が2度代かきをした場所であるという事ははっきりしてきた。2度代かきをすることで、窒素が出てくるという事はない。やはり2度代かきによって土壌の活性化が起きていて、稲の根にも良い影響があるように見える。代掻きのし過ぎは土壌をダメにするような心配があったが、どうもそうでもないようだ。田んぼの畔際はいつも稲が黄色っぽくなっていた。何処の田んぼでもそういう傾向がある。その原因も、代掻きが畔際は不足するから稲の色がさめやすいのではないだろうか。来年は田んぼ全体を2度代かきにしたい。稲刈りの時に、根を比較してみると少しわかるかもしれない。