スリットドラム5
スリットドラム9号。小型のものである。舌も4つだけにした。紫檀で作った。持ち運べるようにして、例えばエイサーを踊りながら、敲ける。
タングドラムをスリットドラムに名称変更する。スリットドラムというと、金属のものが中心なのかもしれないが、名称としては一般的なようだ。天板に音の巾があるという事が良いスリットドラムのようだ。どの板もその樹木の音は当然する。そしてそれぞれに魅力がある。その魅力をドラムとして発揮させるためには、どういう構造にするかと考えた方が良いようだ。そして熱帯マメ科植物の系統の持つ反響の強い音は樹木の繊維構造によるもののようで、他に変え難いものがあるようだ。紫檀、黒檀、パドゥク。良い音とは敲き方や舌の長さ、形、厚さで音に変化が出るという事ではなかろうか。硬さだけでいえば樫は相当に硬いのだが、音の響きが強い訳ではないようだ。今のところ、日本の樹木ではケヤキが一番良い音がしている。つまり音に多様性がある。
スリットドラム10号 小型の天板紫檀材。天板の舌の数は大型のものと同じ発想で6枚ある。右端に止の音を入れてある。これは最初の重要な発見。止める音はドラム音楽の一定の調子に異質な音を入れるというような意味で、響きのない、違う調子という事なこと。一般の太鼓で言えば、枠の木を敲くというような感じの音だ。短い舌を一か所入れるという事になる。その舌を横から伸ばすようにすると全体のバランスがさらに良くなる。
天板花梨のスリットドラム11 天板が120×270×12ミリ
箱は杉板の10ミリ全体に薄く作ってみた。音の様子がだいぶ違う。花梨らしい音なのかなと思える音が出るまで、3週間かかった。つまり敲いているうちにだんだん音が出てくる。作り立てでは音が出ないという事もある。良い音の出ない舌を良い音にする方法が少し分かった。マレットを変えたり、敲くタッチを変えたり、強さを変えたりしている内に、少し良い音の出る敲き方が見つかる。見つかったらその敲き方で繰り返し敲いている。そのうち、少し強くしても出るようになってくる。一度良い音が出るようなればしめたもので、そのうち他の舌となじんでしまう。理由はよく分からないが、響きの波長のようなものをうまく引き出すことができるようだ。他の良く音の出る舌の波長の影響もあるようだ。
天板パドゥクの巨大スリットドラム12 天板が 420×750×22ミリ
箱は全体を楠で作り、高さが500ミリ。大きさが大きくなって、どのような音になるか作ってみた。今のところ響きが大きいという事はあるが、必要な音なのかどうかよくわからない。天板の構成でどのくらい魅力的な図柄が出来るの試みでもある。天板が絵になっている。
天板パドゥクの12号 箱は集積材。高さ45センチ。
箱の背丈を450ミリにして、箱は集積材の柔らかいものにした。箱が柔らかい場合の反響についての試験が主目的である。天板の音が底板に届けばそれなりの音はするようだ。むしろ箱の柔らかさが、独特の音になっているようだ。背丈が低い場合どうなるかも今作ってみている。これも天板が美しい図柄の絵になるように設計した。特に製材のこ目を生かした。自然の意図しないものには美しいものが潜んでいることがある。下の白い部分は材のシラタ部分なのだが、その対比の美しさを生かした。シラタ部分でも十分音は出る。
今後どの箱も柿渋で塗ってみようかと思っている。柿渋が乾いた後に、何か墨で文字を入れてみようかと思っている。玄関の丸い木板には、脚下照顧と書いてある。