防災リーダーの役目
小田原の自治会には防災リーダーという役がある。舟原自治会では自治会長をやると、次に防災リーダーになるということになっている。こういう決まりの自治会は他にはないらしいが、舟原では昔からそういうことらしい。防災リーダーという名前からすると、地域の防災のリーダーということらしい。しかし、実際のところは何をやる役なのかよく分からない。そのために、何もやらなくてもいいから、名前だけ出してくれというので、決まったという自治会もあるそうだ。どうもそれでも何となく済んでしまうような役なのだ。もちろん本気で取り組めば、大変重大な役目ということである。特に舟原の様に、土砂災害の危険地区に指定されているところでは、気が抜けない。先日、防災リーダーのメンバーで飲み会が行われた。久野地区の各自治会から12名の人が集まった。この飲み会が、4回目に会うという言ことだった。2回が会議で、3回目が避難所の開設訓練。
どういう方かもよく知らない人で、集まって飲むというのも気が重いものではあったが、出ないといけいないかと思って出かけた。しかし、案外に楽しい飲み会だった。自由に話せた。皆さん防災リーダーと役目に困惑をしているようだ。防災リーダーは何をすべきなのか。どんな仕事なのか。こういうこと2時間ほど話した。避難指示が出ても逃げてはいけない。このように力説する方がいて、それに同調する人も何人かいた。その理由は逃げろと言って、その責任が取れないというのだ。防災は命にかかわることで、防災リーダーという立場がよく分からない以上、下手な動きをすれば責任問題になる。先日の避難所開設訓練でも、避難所への集まることの方が危険な地域も多数存在する。一律に一時避難所に集まるように指示することはできない。避難は各個人の責任でやる以外にない。
久野では避難勧告が年に1回ぐらいは出る。その時に集まる人は、1万人の人口のうち2人くらいだ。そのために、自治会長は準備で集まる。その避難勧告の根拠は下流域の水位が上がり、洪水危険水位になったということだ。過去何度か氾濫があった。しかし、これは下流域の問題で、舟原のような上流域では避難勧告が出てしまうだけで、避難しなければいけないような状況ではない。もちろんそういうことだから、私は避難しない。こういうことが繰り返されているうちに、避難勧告というものは出ても気にすることはないものだという意識が定着した。この点では防災リーダーの大体の人が、現在の避難勧告の出方に疑問を持たれているようだった。そこで、小田原市にこの点の改善をお願いした話をした。避難においては上流部と下流部を分けてもらいたいという希望である。そのためのデーター集めができるように上流部を整備してもらいたいということである。防災リーダーというものはそういうことをお願いする立場ではないという意見も出た。
結局、小田原市や自治会の行っている防災が、現実の災害時に役立つようなものになっていない。このことを考えると、実にもどかしい。形式を繰り返しているうちに、何か形式をこなすことが地域の防災の役員の仕事になった。そして、善意の心ある人たちがこの不思議な仕組みを支えてくれている。これはすごいことだとは思うし、有難いことだとも思うが、実にもったいない気がする。いずれにしてもこの飲み会で一応防災リーダーの役割は終わったようだ。ホッとした。公民館長の方の役割は、生き生きフェスタと、地区公民館祭りの手伝いに出れば終わる。いろいろの地域の役をしてきたが、これからは一切やらない。やる気がない。これで義務の役目は終えたと思う。地域で暮らしている以上頼まれたことは引き受けてきたが、私なりの義務範囲は果たしたと思う。