特定秘密保護法の問答無用
特定秘密保護法が不安を残したまま、参議院でも強行採決された。今日にも本会議で決まりそうだ。ねじれ国会時代より、明らかに議論が減少した。この法律の持っている、秘密国家への可能性はぬぐい切れていない。特定秘密に指定する範囲が明確ではない。国防上ということだが、実は範囲を決めようとすると、すべての領域に広がる可能性が法文から読み取れる。石破氏が言うように、テロを取り締まることも重要な国防上の仕事である。そしてテロの範囲というと、反政府デモなどは、テロと本質的に同じではないかと考えているそうだ。ということは、反政府デモをやる人間をどのように取り締まる対策も、特定秘密になる。国がデモの参加者の情報収集するなどは、一切秘密に行われるということになる。いわゆる秘密警察のようなものが出来て、国民の情報収集を行う。もし、こういうことが行われているとして、それを内部告発するような人がいれば、それは犯罪ということになる。まさかと思うが、そのまさかが起こり得る情勢は整いつつある。
そこで必要なことは、情報公開法を同時に作ることが最低の義務だ。国防上必要とするものの範囲と同時に、国民の知る権利の範囲を示すことを明確にしておくことが、民主的な政治運営を行う上で、絶対条件のはずだ。このままでは政府は必要に応じて、特定秘密の拡大解釈が許されることになる。あの大音量のデモは、不愉快だから取り締まれ、そのために個人情報を調査しろ。こういう命令を下すとしても、誰にも分らない。当然、デモ参加者は、その結果から知らない間に差別を受けることになるだろう。当然公務員の就職はできない。税金の徴収などで、特別に厳しくされるなどということもあり得る。疑心暗鬼になるのが警察国家である。だから、政府のやっていることの範囲を情報公開する事は、必要なことになる。そしてどのような特定秘密であっても、20年くらいで公開すべきだ。個人情報は、集めようとすれば、逐一、日々の行動まで把握できる社会が近付いている。コンピューター完全管理社会が待っているのだ。
問答無用で、国会が進められるのは、国民が自民党に投票したことと、ゆがんだ選挙制度の為だ。次に選挙で、自民党と公明党に入れない以外にない。そもそも小選挙区制がダメなのだ。自民党内に異論を芽生えさせない制度になっている。文句を言うやつは、公認しなければいいと考えている。弱い立場のぺいぺい議員は意見など言える雰囲気もない。そもそも自分の考えのあるような人間は、自民党は候補にならなくなっている。そして、すべての方角が経済競争の正義である。景気が良くなるという一点で、自民党を選んだ。というより、民主党では日本経済は破綻すると多くの人が考えた。自民党の方が、悪いことはするかもしれない、官僚支配に又なるのだろうが、まだ、民主党よりはましと判断してしまった。その気分は私にもある。しかし、自民党は経済よりもなによりも、少々危うい方向を示し始めていないか。それが安倍政権を諜報活動して分かった、アメリカの不安だったのだろう。それがアメリカの安全保障なのだろう。
中国は、尖閣に次には上陸をするだろう。その時に何が起こるかである。日本政府はどう対応するか、決めていなければならない。アメリカ副大統領の中国訪問では、領空識別圏について、結果が出せない。中国らしい巧みな戦略に日米がハマりつつある。中国習近平政権は国内的に深刻な問題を抱えている。問題を押し込めるためには、外国との緊張関係を高めることになる。特に日本が標的にされることは目に見えている。そのきっかけの尖閣の扉を石原氏は開いてしまった。中国は北朝鮮とは規模が違う国家である。しかし、その政治体制は、似たようなものと考えねばならない。日本ですら民主主義が危ういのだ。国際緊張が高まる中、秘密保護法が必要なことはわかる。しかし、そのことで国民が暮らしに必要な情報まで、非公開になる社会になれば、民主主義はさらに悪化し、中国や北朝鮮のようになる。情報公開法の制定である。