有機農業と放射能
有機農業が堆肥を使うということで、その作物には放射能が慣行農法より多くなるのではないかという、不安が言われている。そのことは、良い食べ物とは何かという意味に通じている。良い卵を作るために、生の草を与える。そのことは、放射能を0にはできないという意味でもある。放射能の影響について、有機農業研究会から、「福島第一原発事故が有機農業「提携」活動に与えて影響調査報告」が出た。全体の影響は甚大であるとのことである。あしがら農の会が受けた影響からも想像できることである。農の会の生産者に聞くところ、最近は影響はかなり小さくなってきたということである。笹村農鶏園の卵もそれなりに影響はあったわけだが、むしろ私自身の生産意欲が失われたということが、一番の影響のような気がする。食べていただく人に、喜んで食べてもらえない物を販売するということが耐え難いということだ。年齢的にもやめようという場面であったということもあり、廃業の道を進んでいる。
有機農業は有機物を土壌に投入する農業と考えてもいいだろう。一般には、堆肥や、家畜糞や、緑肥を土壌に入れる。土壌に腐食質を投入することで、土壌を豊かなものにしてゆく。豊かとは微生物が豊富で、さまざまなミネラルを含くんでいて、肥料成分を蓄える力がある土壌ということになる。福島の事故以来、有機農業は堆肥を使ってはならないという、確かではないが圧力がある。箱根の東斜面には、放射能雲がぶつかり、平野部より放射能が高い地域が存在する。100件を超える放射能測定をして、見えてきたことである。土壌でいえば、降り注いだ2年前の段階で、高い農地で100ベクレルから200ベクレルだと思われる。その後2年が経過して、全体としては半減した位である。しかし、場所によっては、さまざまな形で、集まってくる要因があれば、ほとんど下がらない場所もないとは言えない。作物の値は、当初茶葉や小麦のように直接降りかかった状況から見れば、土壌や枝や幹からの影響だけなので、半減以下になっている。田んぼの場合、水の影響が心配されたが、やはり半減程度という状態である。
27日にTウオッチから、中地先生と井上氏が小田原に見えて、5か所(川内村、小川町、那須、小田原、二本松?)で行っている放射能測定活動の中間とりまとめの会が行われた。今まで満遍なく、広く農産物や堆肥や土壌を測定してきた。このことでおおよその状況の把握が出来てきた。その結果を踏まえ、今後の方針を建てようということだった。全体の把握としては、1、小田原でも箱根山麓にはホットスポットのような地点がある。2、昨年、一昨年と比較して、放射能の影響はばらつきはあるが削減してきている。3、今後の見通しでは徐々に減少するだろうが、作物への影響は注意深く測定を継続してゆく必要がある。今後行うことの考え方として1、この地域では久野の農地が高い傾向にあるので、細かく土壌の変化を見た方がいいのではないか。2、水の放射能汚染がどのように変化しているか、一度確認の必要がある。3、そして総合的にどうすれば農作物への移行が減らせるのかを探らなければならない。
農地を見る場合、地形、水の流れ、風の淀みなど。どのような要因が土壌に変化が出てきているのかの確認がしたい。増加しているということがないまでも、減少しない場所と、大きく減少した場所の違いがあるが、この原因の推測が出来れば、対応策も見える。前回土壌の採種した場所を再度計リ変化をみる。変化の違いで、放射能の今後の対応が分かる可能性がある。水の測定は難しいが、前回と同じようなことを6月頃に行う。そのことで、一年経過した結果が分かる可能性がある。水の影響は当然稲には大きい。水の流れ込む田んぼの跡地の大豆にも大きいと思われる。カリウムの投入効果は確かにあるようなので、引き続き高いところでは行う必要があるだろう。放射能については、予想に限界がある。出来る削減対策は行ってゆく。