生ごみの堆肥化
小田原市の加藤市長はマニュフェストで、生ごみの堆肥化を取り上げてていた。そして当選した。その方針に基づき、生ごみ堆肥化の検討員会が設置され、2年間検討がなされ、最終報告が行われた。私のその委員に手を挙げて、市民委員になった。その最終報告に基づき、昨年度と今年度生ごみ堆肥化プロジェクトが行われている。1000軒づつ取り組んでももらおうということである。予定通り展開しているところである。このプロジェクトの基本は生ごみを100%堆肥化する事が最終目標である。その道筋が見えてこなければならない。その大目標があるからこそ、生ごみクラブも活動しているつもりだ。先日の市長面談の際も、この大きな枠組み、つまり生ごみ堆肥化の枠組みと方向性を再確認するよう、市長は発言していた。当然のことで、段ボールコンポストを中心とした取り組みは、あくまで生ごみの堆肥化の導入の活動である。10%の市民が堆肥化の体験を行う目標の達成と同時に、次の方向性が見えてこなければならない。
当然のことであるが、環境政策課に置いては、検討委員会の報告を全面的に受け入れている訳ではない。検討委員会の結論と言うものの位置づけが、議会や行政の中でどのように扱われるものが、当初から曖昧であった。そのこともあって、検討委員会ではどこまでも現実的な検討を行い、委員のうち半数の5名が生ごみの堆肥化の第一段階の行動を始めた。その活動は、それまで行われていた、段ボールコンポストの活動やEM堆肥法を含みこんで、現在動いている。3年目を迎えるにあたり、大きな枠組みの確認を行いたいと願っている。生ごみクラブの役割としては、段ボールコンポストの普及の協力と言うことが中心の役割である。同時に、この活動が生ごみの全量の堆肥化の道筋に方向付けられていなければならない。市長の言う、生ごみ堆肥化の市民の役割は一定果たしていると考える。
一方行政が行うべきことは、生ごみの家庭での堆肥化を行うと、いくらの財政的軽減が起こるのかの、確認である。検討委員会の段階から、何度も要望してきたが、財政的な明確な確認は行われていない。様々な要因が加わり難しいことではあるが、生ごみ処理の価格が定まらない限り、生ごみの減量を行う手法が見えてこない。将来、いかなる手法で生ごみを堆肥化するとしても、その財政的展望を作ることが出来ない。行政に財政的検討を行う意思ないのか、能力がないのであれば、生ごみの堆肥化の展望はドンブリ勘定になる。多分その為に60万円の基材補助を出さないと言うような不思議な結論に至る。それは生ごみの堆肥化の財政的理解不足である。60万の予算で、私の計算では最低でも100万円を越える、ごみ処理費の支出の削減が起こる。これをやらないのは、財政上の落ち度である。生ごみの処理費の計算が出来ないことに由来している。
行政がこのまま役割を果たさないのであれば、生ごみの堆肥化をボランティア的に続けることは、生ごみ100%堆肥化の道を曖昧にしていることにもなる。曖昧どころか阻害することにもなりかねない。しかし、これは小田原市だけのことではない。生ごみの堆肥化は一定量行われるまで、その財政上の効果はあらわれない。収集が週2回から1回に出来るとか、焼却の人員を減らせるとか、灰の処理費が減るとか。現状では数値に現われる状態まで来ていない。それは、ごみが有料化になった時に、生ごみを堆肥化した方が、家計の助けになると言う事が起きれば、明確に家庭での堆肥化は進む。今行っているのはそのために、周知期間のようなものである。その意味で、第2段階の地域での取り組みや、収集の問題にも踏み込まない限り、生ごみ100%堆肥化の道の展望は生まれない。