稲作高温障害
稲作主産地で1等米比率が過去5年間の平均に比べて下がっていた。神奈川県は8.6%全国第2位。新潟(75%→19%)、埼玉(89%→45%)、福島(91%→66%)、富山(83%→59%)で著しい。あしがら地域でも高温障によると思われる、品質の低下が目立つ。粒が小さく、くず米が多い。舟原については、まだ分からない。黒米のアントシアニンの蓄積が少なく、一緒に炊いても、白米が染まらないようなことになった。夏の暑いお天道様が立派なお米を作ってくれる。過ぎたるは及ばざるがごとしで、頭の切り替えにしばらくはかかるようだ。
- 高温障害とは何か。整理しておく。-
登熟期に27℃以上の高温が続くと,乳白米など白未熟粒が生じ,籾の充実度が落ちる現象.
受精障害: 開花期の高温による不稔の発生
登熟障害: 登熟期間中の高温による未熟粒および白濁粒の発生
白未熟粒: 乳白粒,心白粒,基白粒,背白粒,腹白粒の総称
ー要因ー
登熟期気温の上昇 。出穂期の前進と盛夏との重なり分げつ期高温による籾数過剰。 少肥化傾向による登熟期の窒素栄養不足。地力低下や作土層浅耕化など土壌管理の影響。登熟期の早期落水傾向 。作付け品種,経営規模など営農的要因。圃場の気象・用水環境の変化。移植時期の遅延。適正籾数への制御・誘導
ー対応策ー
疎植栽培。肥効調節型肥料の利用。早期落水の防止。地力向上と作土層確保による根系生育促進。高温登熟性の高い品種導入。作期分散や圃場地力の均一化,圃場環境・用水環境の改善
「晩生品種を使う」 「栽植密度」 「水管理」
●適切な水管理には、田んぼの温度を下げる、登熟後半まで光合成を維持するなどの効果があります。
●登熟期に1~2日おきに間断かんがいします。
●夜間通水をして、飽水状態(ヒタヒタ状態)をできるだけ収穫間際まで続けます。
●「胴割粒」の発生は、登熟前半の、特に昼の高温で助長されるので、登熟初期にかけ流しかんがいをして抑えます。
●用水量が増えるような水管理法(かけ流しかんがいなど)は、水利慣行の制約に注意します。
「土づくり」
●高温障害が発生しにくいのは、堆肥がしっかり入り、作土深20cm以上の圃場。
●高温の年でも収量が安定して高い圃場は、堆肥を長年入れ続けている田んぼ。
●登熟後半に安定して窒素栄養が行き渡ると、収量が増えるだけでなく、高温登熟障害が軽くなる。。
●作付直前に稲わらなどを施用すると、生育初期の窒素が不足するので注意します。
ー施肥法ー
●穂肥の時期に窒素が徐々に稲に供給されると、高温などの天候不良でも、順調に登熟が進みます。
●籾数が抑えられ、出穂前に茎に貯める炭水化物(貯金のような役割があります)が増え、しかも登熟期の窒素栄養が確保されるからです。
以上あちこちの情報を集めたもの。明らかに小田原でも起きているし、今後はいつでも高温障害を頭に置いておかなければならない。頭の切り替えが出来るだろうか。特に低地の酒匂川河岸地域での「きぬひかり」の作付は、止めた方がいいのかもわからない。水路が温かくなるような所では、かけ流し管理でも水温の低下は限界がある。サトジマンでも夏場の暑い時期を外す効果は少ない。晩生種をとりいれるとしたら、品種の検討も必要になる。まだ、高温対策の新品種は問題点もあるようで、取り入れる気にはなれない。