小田原市自治基本条例1
自治基本条例は早急に制定すべき条例です。以下問題点をあげさせていただきますが、問題があるにしても、まずは、制定し改定してゆけばいいと考えております。
「素案前文について」
この条例の崇高な理念が示される必要がある。現状説明部分は冒頭にある必要はないので、冒頭大きな理念目的を掲げるべき。「持続可能なまちづくりのため」が前文での目的とされているが、これが十分合意されているとは思えない。また、その意味も分かりやすいものではない。
「ひとりひとりが平和に暮らすことが、世界平和につながる。」こうした理想主義的なものを掲げてほしい。
自治基本条例の制定の目的のひとつは、「市民力と協働が自治の基本理念」とされている。またそうでなければ、改めて自治と名のつく条例を作る必要もない。市民自治がおこなわれる為には、条例がお飾りでなく、具体性のあるものでなければならない。出来る限り分かりやすい、誰にでも理解できる文章で作られていなければならない。
「観念的・精神的・玉虫色」こうした要素を排除することが、「市民と行政と議会が協働する。」という考え方が表現される、最初事業の姿である。制定に市民が参加するとか、オープンスクエアーを行った、ということだけが、市民参加ということではない。出来た条文の中にこそ、市民参加を文章として、表現されていなければならない。その意味でこの条例には、具体的な要素は、ほとんどないものになっているのは、何故なのだろう。学者的というか、お役所条文となっている。意識的に分かりにくく、どちらにでもとれるようにして、「あってなきがことき」を理想としているかのようだ。このような条例では、ないからといって何も困らないだろうし、あるからと言って、お飾りになる恐れが多分にあるだろう。
目につくところを上げて見たいが、正直、全文を変える必要があるので、個々を上げるのもむなしい作業である。(ホームページ掲載文章は、コピーアンドペーストできるPDFファイルに代えて下さい。このような配慮さえなされないで、市民に意見を求めるという姿勢からして、本当に市民自治を考えているのだろうか。と疑われるところである。他の市町村を参照すべきである。)
問題点1、第6条(地域活動)
「自治会は、地域活動の主たる担い手」
こでいう自治会とは何か。今存在する自治会を自治の基本に据えてゆく、と考えているように読める。ところが、自治会の実態調査をしているとは思えない。80%の加盟率と前段に書いているが、これは実態を反映している数字ではない。会費納入者数などで正確な参加者数ぐらい把握すべきだ。最低条件として、民主的な規約が存在しないものを自治会と呼んではならないと思う。総会があるのか。委任状の制度はあるのか。不明瞭な地区もある。規約もない組織が、どうして自治を表している、とするのであろうか。自治基本条例の精神をないがしろにしたものである。
現在の自治会における、自治はお上からの通達という自治である。現に、自治会総連合では、市民の意思を集約することはなく、中心メンバーの判断で独自に市に対し、様々な要望を行っている。その請願なり、陳情が、民主的な段階を踏んだことは、かつて一度もない。
自治会を自治の主たる担い手にしたいというのなら、どのような自治会を目指すのかを、具体的な段階的手順で示す必要がある。それが自治の第一歩であろう。民主的な自治を行うための規約の制定は、最低条件であろう。「自治会は地域住民の合議を持って、民主的な規約を作り、住民の参加しやすい運営を行う組織に改編し、自治会に変えてゆくように努力し、自治会を地域活動の主たる担い手となるべく努力する。」と明文化すべきであろう。それではじめて、自治会を文字通り自治たる運営の民主的組織にすることが、この条例の目的にかなうことになる。
現状の停滞を追認するような書き方では、自治とは自治会でやっているようなことらしいとなってしまう。自治会活動は、形式組織になろうとしている。もし本当に自治会が名前の示すような自治組織として生きているなら、今更自治基本条例などいらないともいえる。
問題点2、第9条(自治の担い手の育成等)
地域主権にむけて、自治の現状の把握。最重要項目
「繰り返し自治の学習が出来る仕組みの構築の必要性。」
小田原市は自治体ということになっている。形式的には自治を行っているはずである。国の指示に従うだけの自治体という実態が、全国で問題となり始めた。各地域の特性を無視した国の、形式的な国の通達。住民からの自治は、大きな目標として、ようやく掲げられている草創期が訪れたところである。各地の議会が改編を迫られ、紛糾しているのはその表れであろう。市民や地方からの要求によって、国の方針も変わりはじめ、各自治体の主体的な運営が予算的にも、移行し可能になろうとしている。しかし、市民の自治意識はまだ育っていない。このような移行期に作る自治基本条例では、市民の自治意識をどう育てるかが、重要な課題にならなければならない。
札幌市の「まちづくりセンター」のシステムはとても参考になる。北海道で、自治基本条例が先行したのは、歴史的、伝統的制約が無かったからであろう。小田原市でも、構想としては、地域単位の行政配置の構想はあった。住民自治を学んでゆくためには、各地域での「自治学習センター設置」を基本条例の柱にしなければならない。住民の自治についての学習組織を作るひつようがある。身の回りのことで小さな自治の経験を積むことで、自治の意味が確認されてゆく。この条例では具体的な方向は示されておらず。この不備な条例の欠陥をよく表している。
具体的にどうやって自治意識を育てるか、その仕組みをここでは示す必要がある。「自治学習センター地域の家」というような行政職員の配置を行い、そこでは地域で起こるあらゆる問題を、気軽に相談できるようにする。少なくともそうした方向性をここでは示さなければ、この自治の方向を示す条例の意味が無い。
問題点はさらに続きますが、息切れで後半はまた。
昨日の自給作業:稲刈り3時間 累計時間7時間