人口流出の日本

   

人口が減少を始めている。実はこれは、純粋な意味では減少ではないらしい。小田原は10年以上微減状態である。困ったことと考える人が多いだろう。少子化対策の大臣もいる。それほど悪いことではないと考えている。日本という国土では、7~8000万人ぐらいがちょうどいい。今の半分ぐらいになれば、随分暮らしやすくなると思う。それぞれの、田畑、宅地が倍になるとしたら、大抵の人は喜ぶのではないか。それぞれの家庭レベルではそのことに気づきはじめているから、人口が減少を始めたということだろう。国勢調査が今行われているが、正確なところが出るのを、今から楽しみにしている。小田原行政の長期の展望などをみると、相変わらず人口増加が前提にされている。それが今度の国勢調査で、明確に減少局面に舵を取る必要が明らかになる。人口が増加しないようでは、国の経済が回らないとか、老人福祉対策が困るとか、現実としてはアンバランス問題は当然に起きる。

管政権は国会答弁で経済回復を強調していた。まさか本気とは思わないが、景気を良くするための補正予算を、などと発言している。世界の情勢から言えば、焼け石に水である。経済と人口問題を連動して考える人たちがいる。企業、大資本である。企業が拡大再生産を続けるためには、人口減少は大変に困る。それは確かだ。企業は国際競争力うんぬんを述べて、こんな状態なら日本から出て行く。有利な地域に移動したいなら、移動すればいいのである。人口が減少する局面では、まず、20歳以下の教育世代が減少する。実はこの段階は、一番ありがたい場面のはずだ。その次の20年後の段階で労働人口が減少する。一方比率として、働けない世代が急増加する。こうなるといよいよ深刻な訳だ。今起きているのは、団塊の世代が老人になったということだ。まだすべてが序の口である。

総合的に見れば、人口が減少する背景にあるものは、競争社会の激化からくる不安の増大である。中国が現れ、インドが現れ、アフリカ勢も、南米勢も侮れない。今までがそういうところで儲けさせてもらって、日本人の空中楼閣のような暮らしが成り立っていた。それが終わるという予感。だから人口は減少局面に入った。自然なことだ。人口の減少は国外流出ということが先行している。死亡者と、出生数はそうは差が無い。自殺者3万人以上も影響はも大きい。日本に来た外国人が帰ってゆく。日本人が外に出て行く。毎年10万人ぐらい流出人口があるそうだ。何かが起きているのだ。海外での仕事が増えているということもあるだろう。深く考えて見る必要があるのは、日本が出たくなるような社会になってきている可能性である。内向き社会というような分析は、どこで作られたものなのだろう。

昨日日本人で、ノーベル化学賞を受賞された学者2名が発表された。最高の感激である。一人の方は、アメリカの大学で教えられている。昔なら頭脳流出とか言って、国賊とか言われたりしただろう。しかし、最近では普通のことになっている。優秀な人が、一番仕事をやりやすい場所で仕事をされるのはむしろ望むべきことだ。地球という単位で、その研究の成果は利用させてもらえばいい。また、そうなっている。日本の為とか、日本人とか、科学の前ではどうでもいいことではないか。人にはそれぞれの役割がある。その役割を知って、精一杯生きることである。その人が最も生かされる場を探して、海外に行くのは素晴らしいことである。問題は日本が来たくなるような国になれるか、の方である。狭く考えれば、舟原は人間が暮らすには、素晴らしいところである。こうした時代でも、小田原が人口減少する中でも、毎年数軒の家が建てられている。このあたりを考えて見ることが肝心だろう。

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