白鵬とイチロー

   

不思議なことに日米で同時に、外国の人が、その国を象徴する国技で大記録を作った。モンゴルから来た横綱白鵬。60連勝。アメリカではイチロー選手が10年連続200本安打を記録した。不思議な巡り合わせである。その少し前に、日米通算3500本安打の記録を達成した。もしこれが大リーグ記録であれば、十番目ぐらいの記録になる。このまま行けば、ピートローズの持つ大リーグ記録すら上回る可能性もある。ところが、日米通算は日本だけの出来事である。アメリカでは、意図的ともいえる無反応で過ぎたようだ。それは当然ともいえる。もし朝青龍がモンゴルに戻り、モンゴル場所を新設して優勝して、日本とモンゴルを通算してと言われてもやはり困る。違う枠は違う枠。王選手でホームラン日本記録を世界記録のように主張していたのは、ちょっと恥ずかしかった。

マラソンでは世界記録がない。条件が違うから、世界最高タイムはあっても世界記録ではない。マラソン世界最高記録を出せるコースというのは作れるはずだ。地面はアンツーカーにする。今なら全天候型素材か。そしてスパイクで走る。全体を細霧冷房にして、呼吸を楽にする。風や太陽光が避けられるような、森の中のコースにする。まっ平らというより、前半緩やかに上って、後半下りにした方がいいかもしれない。でも何かつまらない。ボブ・ビーモンというアメリカ選手が、メキシコオリンピック幅跳びで驚異的な世界記録を作った。当時破れないとまで言われたが、23年後に破られたが、まだ世界2位の記録だ。メキシコシティーの標高が2300メートルと高いからと言っていた。スピードスケートではさらに記録はリンクの条件次第のところがある。

白鵬である。この勢いなら69連勝すら破るかもしれない。是非ともその姿を見て見たいものだ。伝説の双葉山を超えるのである。大鵬とも、千代の富士とも、違う。多分双葉山とも違うのだろう。白鵬の強さは普通に強いを限界まで増幅した印象である。大鵬は負けない相撲であった。相手を静かにいつの間にか押しつぶすような、包み込む柔らかな強さ。千代の富士は圧倒する強引な強さ。けた外れの運動能力で、相手を寄せ付けない。楽しいから強いという、正のエネルギー。見せる相撲として、際立っていた。白鳳は二人ともまるで違う。普通に勝つ強さ。3の相手には4になり、10の相手には11になる。どこまで行っても底知れない奥深い強さ。対する力士に勝ち方を描かせない相撲。残るは外国人大関の3人である。体力で上回るなら、「把瑠都」。昨日負けてしまった。早さで勝るなら、「日馬富士」。投げ技で勝負なら、「琴欧洲」と思うが誰が出ても、どんな側面でもそれを上回る。横綱白鵬に見える。

もし朝青龍がいたら、連勝は無かっただろう。朝青龍が白鵬に4連敗はない。これも巡り合わせの運命である。イチロー選手には是非アメリカで3000安打を打ってもらいたい。3000ヒットが大リーグの一流選手ということのようだ。後5年活躍すれば、厳しい記録ではあるが可能かもしれない。その間にもう一度200本安打を打てば、それはピートローズを抜いて大リーグ記録となる。すでに最多安打記録262本は作っている。この後が実は大変なことだと思う。40歳を過ぎると運動選手として、厳しい年齢に入るだろう。あと一回の200本安打も来年が一番可能性が高い。いよいよイチロー選手に注目である。野球の出来た国アメリカで、トップ選手になったイチロー。相撲の国日本で連勝記録に挑む白鵬。両者が魅力的でわくわくしてくる。

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