2010年 船原田んぼ

   

履歴:2007年より耕作を開始。2005年より耕作をしていなかった田んぼ。それ以前は慣行農法で耕作、そもそもは、江戸時代初期より以前に開かれた田んぼである。隣に、万治年間に作られたため池がある。3枚に分かれていて、上段:7畝、中段:8畝。下段:1反の2反5畝である。関東大震災で大きく崩壊し、棚田の石垣は積みなおされている。菜の花を栽培して、田んぼを始める。耕作の条件は棚田で、日照は比較的あるが、陽が沈む時間は早い。近隣を含め一時は周囲の田んぼがミカンの畑になったが、ここは田んぼの耕作が続いた。土壌は山土の客土が道路工事に伴い、10年前に行われた。粘土分はかなり少ない。縦浸透が大きく、減水深は200ミリを超す。これは年々改善の方向にある。

栽培:抑草の特徴は、ソバカスの田植え直後から一カ月まくことと、深水管理。栽培品種は最初は「あきにしき」2009年より「さとじまん」自家採取。苗作りは300穴のセルトレーに播種し、田んぼでの苗代作り。藁は持ち出し、冬季は緑肥作物を栽培、ここ2年はクリムソンクローバーの播種。毎年養鶏場の堆肥化した床材を一反あたり、300キロ入れる。2010になって、下段は無肥料で行う。

環境:久野川の扇頂部にあたり、川の南側の丘陵にある。水の取り入れ口は、船原集落より1キロ上部である。それよりさらに上流部2キロに13戸の和留沢集落が存在する。水路には家庭排水が、5軒分くらいは流入している可能性がある。よその田んぼの排水はほぼ入らない。水温は入水温度で初期15度に始まり、一番高くなる時期の昼間で21度である。生き物は豊かなほうで、イノシシ、すずめの害はある。

収量:2007年1152キロ  2008年1048キロ  2009年1125キロ

2010年耕作日誌
3月22日   浸種。もみ洗い。もみ洗いなど2時間
4月9日   田んぼ鶏糞まき 田んぼ鶏糞撒き1時間
4月10日   苗代作り苗代整備、2時間
4月17日   セルトレー288穴種蒔き。このころ天候不順、凍害あり。種蒔き4時間30分、苗床1時間30分 
5月6日   直播の実験。失敗に終わる。水がたまらないことが問題。田んぼ鶏糞撒き1時間
6月9日   クリムソンクローバーの種取り。
6月10日   苗採り
6月12日   代掻き、線引
6月13日   田植え
6月21日~7月5日まで  田車縦横を一回行う。転がし17時間
7月3日   さなぶり  
7月8日~28日  田の草取りをおこなう。こなぎが目立つ。合計17時間
8月16日  出穂例年より、5日早い。
8月23日  穂ぞろい
8月30日  案山子を立てる。 
10月10日辺りで、稲刈り。ハザ掛け。

総括:長くアキニシキを栽培していた。しかし、だんだん自家採取しているうちに交雑が進んで、登熟期に乱れが生じた。所が神奈川県の奨励品種からはとうに外れていて、種もみが無い。そこで、埼玉県から種もみを分けていただいて更新してみたが、どうも気に入らない結果だった。そこで、神奈川県があたらしく「さとじまん」という品種を奨励品種にしたということだから、思い切って変えて見た。何故そんな思い切ったことをしたかというと、私の尊敬している稲作農家の、加藤欣三さんと鍵和田喜作さんが、さとじまんの種もみを県から頼まれて作っていて、とても評価をしていたからだ。まだそのころは農林○号というような名前だった。神奈川県が思い切ってこの品種を奨励品種にしたのは、まつりばれの失敗があったからだと思う。きぬひかりがわせで、中手で何かというので、まだどこの県も取り上げないうちに思い切って、取り上げた。農総研のOさんあたりの英断だったのではないか。

アキニシキは特にそうだったのだが、自然栽培向きの品種だ。いわゆる肥料で作るお米でない。また、少し山間地の棚田のような、水持ちの悪い、水温の低い田んぼに向いている。勝手にそう結論した訳でなく、足柄平野のあちこちで作った結果だ。それで、今度のさとじまんもお二人の話から、そういう肥料でとらないお米のような気がしたのだ。まだ三年目だが、とても作りやすい。最後の粒張りがいい。分ゲツはなかなか取れないのだが、ともかく穂がいい。大きいし130粒が普通だ。その上味がいい。味がいいは勝手な思い込みだが、無肥料に向いている味だと思う。初期分ゲツを増やす算段は今後の課題となる。

昨日の自給作業:案山子を立てる1時間 大豆草取り:2時間 累計時間:14時間

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