民主党総裁選挙

   

民主党内の総裁選ではあるが、総理大臣を選ぶ選挙でもある。報道の政局がらみの話が詰まらないから、見ないようにしてきた。一体権力闘争の興味以外に、報道も政治家も日本をこんな国にしたいという具体的な展望を持っているのだろうか。今のところ、管氏も小沢氏もそうした方角は示していない。あるとしたら、衆議院選挙の時のマニュフェストが小沢氏の主張。参議院選挙の時のマニュフェストが、管氏の主張。確かにこれは一つの主張ではあるが、経済について言えば、今の事態とはすでにだいぶ違う。農業についてもすでに状況が違う。まして、マニュフェストの背景になる、この国の大きな枠組みについては聞いたことがない。選挙に勝つためのサービス合戦のようなマニュフェストの様相で、誰もが喜ぶようなことばかり並べたてられている。不都合なことも聞きたい。たとえば、消費税である。これを上げると言ったら選挙に負けた。こういう間違った分析が定着している。特に、小沢陣営では強くこれを主張する。

民主党が負けたというのも、おかしな分析で、自民党より得票は多かった。参議院選挙で民主が勝てなかったのは、普天間基地移転での鳩山氏の無能ぶりが際立ったからだ。アメリカと何の外交交渉も出来ない姿に、国民が失望をした。沖縄差別固定化に対する怒りが、国内にも渦巻いた。これをごまかそうと持ち出したのが、消費税である。困った時の憲法論議というのがある。政策の失敗や、政権党から汚職議員が出た時に、9条改定を持ち出す手法。消費税論議で「日米安保は何か。」という本来なら、参議院選で十分に議論すべき問題を見えなくしてしまった。今季で辞めるはずの鳩山前総理が、小沢氏を持ち上げてしゃしゃり出ている厚顔無恥。辞めた総理が権力闘争に一枚かむのでは話が違う。

鳩山氏が能天気で、「普天間基地は国外、せめて県外。」こう断言したことには、何の根拠も無かったのだ。この根拠ない様々な主張で選挙に勝った。農家の戸別補償がどういう流れで、日本の農業を良い方向にかじを切れると言うのか。具体的な段階を時系列で示してもらいたい。若い新規就農者が増えて来るような流れが、戸別補償のどの段階で起こるのか。どう考えてもそういうことはより起こりにくくなっている。戸別補償は既存農家の保護政策だ。新規就農者は補償を受ける可能性は極めて低い。補償を受けるような、低額の農産物を作っていたのでは、生活できないからだ。付加価値を付けて、工夫をして販売して、生計を立てようとしている。涙ぐましいそこまでの努力に対して、何もしない農家に補助金を付けて競争力を高めるから、いよいよ新規就農者は苦しくなる。つい長くなるが、北海道の大豆や小麦など、様々な補助金がついて生産される。だから、生産物はとても安く販売される。その為に新規就農者が大豆や小麦を作ることとても難しい。

本論に戻って、管小沢両氏には、この国の骨格を論議してもらいたい。細かなサービスはいい。どんな国したいのか。国民にできるだけわかりやすく、説明してもらいたい。それが民主党の政権党としての説明責任のはずだ。現状では小沢氏の昔の主張がなんとなく残っている。管氏については全く何もない。大臣になって以来、発言は控えているようだ。そばで鳩山山氏の失敗を見ていたから、唇寒し、官僚の書いたものを読む範囲にとどめている。何のために政治家になったのか、初心を思い出してもらいたい。市民運動から出てきたときの志が、やるなら今しかない。小沢氏に負けないためには、若いころの志を思いだして、国民にぶつけることだ。今のまま終わったのでは、頭を丸めて又お遍路に出るぐらいだ。小沢氏の力量は高くは言われている。この危機を乗り越えてくれるかも。そうも見える。しかし、その具体的な道筋を、希望を具体的には示したことがない。小沢氏の得意は、お金集めと選挙というような気もしないでもない。

蛇足
30日になって、小沢氏の不出馬に向けて、管氏と鳩山氏が声明を出した。トロイカ体制などと、まったく寝ぼけた話である。何とも情けない状況。だから、この話はもう少し無視していればよかった。小沢氏は馬鹿にされたのだ。ここでこそ怒るべきだ。

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