自民党対民主党の農業政策
いよいよ衆議院選挙が近づいてきた。両党の主張する、分かりにくい農業政策を比較検証してみたい。前回の参議院選挙では地方での自民党の敗北は農業政策の失敗が上げられていた。小沢民主党代表の自給率100%や戸別補償政策が、内容は良く分からないが、今よりは良さそうだと言う事で、支持された格好であった。その後、自民党でも減反見直し論議や、所得増大政策など論議は色々されてきた。
大雑把にしか書けないが、自民党は「4ヘクタール以上の農家の育成。集落営農の結成。株式会社の農業参入。などの政策を通して、農業を合理化、大規模化して、国際競争力のある農業を推進する。」 と言う事になる。「農地を所有から利用へ」と転換する。そのために貸す人への補助を行う事になった。焦点の減反政策の見直しについては、結局行わないようだ。
一方、民主党は「補助金から所得補償へ転換していく必要がある。」としている。戸別所得補償制度については、農業が環境保全等の多面的機能を果たしているので、国民全般の理解は得られるとする。生産価格の全国平均と販売価格との差額を補償する。つまり、再生産できる価格分を決め。農家に価格保障する方式。お米の減反を取りやめる。代わりに生産数量目標を設定したかたちで調整を行い、所得補償によって米価暴落を防ぐ。
自民党案は理想論に聞こえる。こうあればいい。あって欲しいと言う、他産業からの要望論である。確かに4ヘクタール以上の農地に集積するほうがいい。今までやろうとしてきて、出来ない原因を探り、新たに可能な方策になっているかどうか。その具体策の検証。貸す人に補助金を出す。現在、1反15.000円の地代がもらえる。のに加えて、政府から15.000円がもらえる。倍になる。「農地集積加速化事業」公募の期間は、平成21年6月24日(水曜日)から平成21年7月23日(木曜日)まで。一方借りた側の法人にも、補助金が出る。経費の2分の1の保証や、一反18.000円の補助金がが出る。5年間の時限的な法律である。確かにこれならやろうという人が居そうな案ではあるが、今、結果待ち状態。問題は集積して国際競争力のある農業を、行なおうと言う法人があるかどうか。選挙前には結果が出る。
民主党案は、農家の痒いところに手が届く感がある。つまり、今のままで良いよ。こちらから出向くから。と言うように、農家を受身のままにしておいてくれる。米、小麦、大豆、菜種、自給率の向上に資する作物、地域の農業振興に欠かせない作物。に対し、再生産可能価格を決め、いくらで販売されたとしても、その差額を補償する。米が1俵60キロ15.000円だとして、5千円でしか売れないなら、1万円を保証してくれる。単純すぎて、ちょっと無理を感じる。これを細かくやると成ると、事務次官の指摘どおり、複雑で対応が出来ないだろう。一応、規模・品質・環境加算と整理されている。
両者の政策に抜けているのは、農業と言うか農地の管理をしている、かなりの面積が既に農業者でないという点である。販売農家数は170万戸なら、その数倍の自給的農家が存在する。面積的に考えれば、放棄地も入れて、半分以上がそういう農家の農地であろう。販売価格も関係なければ、農地貸してお金を貰おうとも思っていない。自分が作ることを楽しみにして、昔どおりにやっている。実はこの日本独特の農業文化のような、奥深い日本を安定させてきた、調整弁の存在。富国強兵の行きすぎた国策が大失敗をやらかす中で、何とか日本という国を支え、再度の復活を可能にした、農と言う文化的背景。減反保障でも、所得保障でも、この農民の文化的誇りを、ないがしろにしたのでは、全てを台無しにしかねない所がある。そうした農民文化の精神がどちらにあるかだろう。
昨日の自給作業:草刈、蓮池の整備3時間 累計時間:10時間