農地の下落14年。

   

農地は下落が続いている。連続14年というから、バブル崩壊後下がり続けている。農業が経営できない産業であり、農家以外が取引できないもの。上がる要因はない。それでも昨年あたりは、「農地は上昇に転ずる。」と言う経済評論家の意見も出ていた。株式会社が購入できるように成るという見込み。外資が新しい投資先を探している。バイオエタノールの生産で農業は新しい展開をする。いずれも見込みが外れ、農地は相変わらず下がり続けている。その実態と言うのは1坪価格がわかりやすい。小田原周辺で、1坪5万円が1万円ぐらいに下がった。と言う事である。地方では5千円ぐらいだったものが、2500円ぐらいになった。大雑把に言えばそんな調子だ。都市近郊はバブル的影響を受けやすいから、乱高下が大きい。農地価格は取り引数が少なく、又表に出ないことも多々あるから、思い込み価格と実態価格は大きな開きがある。調査の仕方で違っている。

農地の価格形成に強く影響するのが、公社の購入とか、公共事業の購入。農業の営農的価値から、農地は幾らぐらいなら、購入価値があるか。たぶん年地代が300坪10アール、15000円から18000円程度から計算する所が実態であろう。つまり、20年分ぐらいの地代が実質営農価値。あとは、いわゆる資産形成部分とで言えばいいか。結論は坪1000円ぐらいなら、購入して営農したほうが良いと成る。それからみれば2500円はまだ高い。しかし、何時返して欲しいと言われるか判らないとか、周辺に気を使うとか、農家としての立場の形成とか、こうした周辺部分の価格もあるから、当然単純ではない。単純でないのは、不動産投資評論家、などの見る金融的価値が加わり、多くの農家もこれに心理的に影響されている。地域で事情も全く異なる。単純に判断は出来ない。

今後の見通しであるが、まだまだ下がる。株式会社の農業進出は失敗する。農業方面から見れば、成功する要因がない。小泉改革が示した、国際競争力のある農業など、どう考えても特殊解であり、一般化しない。現実農地の集積して大型農家を、など言うが、せいぜい大きく集団営農にしてみて、100ヘクタール。規模ではこれでもオオストラリアなど海外には及ばない。だから、結局は大きくして、農家らしい農家に補助金を出す。こうなるのだろうが。補助金で支えられた産業の用地が、値上がりする訳がない。まだ限りなく、坪1000円に近づいてゆく。農地を解放するなら、市民に対してである。きちっと農業をする市民に対して、農地の利用を認めることである。営農的でないから、販売農家でないと、既存農家的思惑は、市民を排除することが、権益を守ることと考えてきたが、これが変わりつつある情勢。市民は販売しないから、価格という物がない。ここが株式会社とも違う。

市民は、買える物なら買うほうが良いと思っている。坪2500円は安い。こう感じる。自分の土地はやはり愛着がある。借地ばかりで農業をしているから、わずかの自分の農地で耕すことは、どこか違う。ただし市民が購入して、大規模農家の集積の阻害になってはならない。市民が買える農地を指定する。当然、農地の利用に限定する。使わなかったり、他目的に使った場合は、没収する。あるいは高額の税を徴収する。一番良いのは市民が利用できる農地を国が購入して、市民に貸し出すこと。それは今のところないだろう。現実には、農家が農業法人が市民の使える農地を提供する事業を企画する。簡単に言えば、摘み取り農園の拡大版。市民農園の新しい形の模索。農地の下落に日本の農業の行く先が、一番良く現れている。政治が何を提案しても。農家は何も信じていない。それが農地の下落。

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